米中2大リスク インフレとゼロコロナ、短期解消の目途は立たないが潮目は探れるのか

どうやら今月の米FOMCでは、再度0.75%引き上げがコンセンサスとなりつつあるようです。背景にあるには、もちろん米国の激し過ぎるインフレ。
ここで気になるのは、原油価格です。これまでの米国は、いざとなれば、シェールオイルが増産され、世界の原油価格を押し下げてきました。しかしながら、今回は、ロシアの侵攻というこれまでとは相当程度に事情が異なるとはいえ、押し下がる気配がほとんどありません。

シェールオイルは採掘コストが高く、今の水準なら採算性は合いますが、直近では高利益も再投資率は高くないようです。さらに、米国はサービスコストへの転嫁が進んでおり、再投資のコスト自体も高くなっています。

いずれは気候変動重視に戻り、原油の長続きしないとみているとみられます。予断を許しませんが、例えば、1年後、さらに2年後、と踏まえると、じわりと気候変動重視に回帰するとみるのが自然ではあります。

https://energypost.eu/u-s-shale-production-is-rising-but-by-how-much-more-and-how-fast/

そのため、原油高で漁夫の利を得ているのが産油国である中東諸国ですが、価格を急落させかねないことから増産には慎重で、こちらもまた、気候変動圧力の低減は一時的なので、今は稼ぎ時とみている可能性は高いでしょう。

結局、この10年ほど米国ではシェールオイルが増産され、中東への依存が低減。その流れの中で、欧州に追随した気候変動対応を重視。他方で、突発事態で原油高となるも、シェールの増産は構造的に追いつかず、焦って、中東にお願いしても簡単には動いてくれず、結果、原油高がインフレの一因という構図であり、根幹の解消には容易には至らなさそうです。

ひとまず7月のFOMCでの再大幅利上げ以降、金融政策で、インフレを半ば強引に抑え込めるかどうかが注目点です。

さらに、中国。4~6月期の実質GDP成長率は、前年同期比+0.4%。これは、ゼロコロナ政策が原因とはっきりしていますが、日本で第7波が到来しているオミクロンBA.5になると、感染力は高くゼロコロナ対策でも、完全にゼロにするのは難しそうです。本来、5年に一度の党大会が開催される年は、景気動向にも大変な配力がされるのですが、今回ばかりは様子が違います。都市全体でなくとも、居住地域レベルでは再度封鎖されるリスクが完全には払しょくできそうもありません。

中国は世界の工場であり、特にICTサプライチェーンの中核を成しています。米中摩擦の影響は多分にありますが、根幹をなしていることには変わりません。こちらは、10-11月(事前予想より後ずれしているようです)に予定される党大会までは、ひとまず待つしかないかもしれませんが、党大会後も、何も変わらない懸念はあります。

最後に、日本の円安。これは、日銀次期総裁の人事が固まるころ、市場の反応は大きく変わり得るのではないでしょうか。その先行となるのは、7月末には審議委員が変わることでしょう。リフレ派とされた方は去りますので、注視する必要がありそうです。




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