見出し画像

エンゲージメント考(2)-エンゲージメントは原因か結果か-

今回は前回の続き。前回のものに加筆をしたら長くなりすぎたので、後半に書いてあったものを移動して加筆しました。

ここまでは、エンゲージメントとは何かの話をしていて、「交わりの度合い」なんじゃないかという話を書きました。今回はエンゲージメントは原因なのか結果なのかという話です。

論じたいのは、エンゲージメントサーベイ結果が原因か結果かという話ではなく、エンゲージメントが原因か結果かという話で、サーベイ結果なのだからそれは結果にほかならないというのははじめに書いておきます。

前置きが長くなりました。はじめますが、先に結論を書いておくと、エンゲージメントは関数みたいなものだということです。この説明だとぶっ飛びすぎだと思う方は先を読んでください。


エンゲージメントのサーベイ結果だけを見ても外部者は何もわからない

エンゲージメントが低いことが分かったのでなにかしたいと相談を受けることが多い。そして、そこではエンゲージメントサーベイ結果を見せてもらえる。

前回書いた通り、エンゲージメントは交わりの度合いなので各種の項目ごとにどの程度交わっているのかを程度で表すことが可能だ。だから、調査できるのである。

ただ、エンゲージメントサーベイの結果はあくまでも結果であり、「なぜ低くなったのか」は、内部者が聞き取りをして初めてわかることで、外部者がその原因を言い当てられるといったものではない。

内部者は、エンゲージメントが低い結果がでた原因には何がありうるかと仮説を出し、本人に確認を取った上で、それ以外の視点を求めて外部者に頼るのが筋である。

しかし、ほとんどの場合、仮説がない状態で外部者にサーベイ結果を持ち込み、神託を得ようとするため、外部者が内部者に仮説を聞くことを依頼するか、過去の経験からこんな事が起きているから聞いてみてねという話をすることになってしまい、施策が一歩遅れてしまう。まるで占いのような話が起きているだが、これ以上は読者にはどうでも良い話だと思うので割愛する。

エンゲージメントは他社や他部門と比較するようなものなのか

エンゲージメントを上げたいという理由が、「他より低いから」といったものである場合、根が深いと感じるときがある。

人事は、人は個性があってよいとよく言うのに、組織にはそれを認めないところがあるのだろう。職場ごとに個性があってよいのだ。

エンゲージメントは人に属するのか仕事に属するのか

一つ、個人的に重要と思う視点を書いておこう。仕事と人のいずれにエンゲージメントが属するかという視点だ。

エンゲージメントの高い職場にいる人たちをそっくり低い職場と入れ替える思考実験をしてみよう。

その場合でも、変わらずエンゲージメントは低くなると思える場合は、仕事の問題である。逆に、高くなると思える場合は人の問題である。こうした視点で見ることで問題が絞れることがある。(もちろん、両者で複合的にエンゲージメントを形成していることはああるので単純に二分法では語れない。)

仕事の問題と広く書いたが、仕事の問題とは、職場環境などの問題である。また、人の問題とはそこに勤める人に属する問題である。言い換えれば、組織の問題と人の問題となり、組織開発や人材開発という切り分けが好きな人はこの括りの方が理解しやすいかもしれない。

エンゲージメントは原因である

人によって、仕事によって変化すると思えた場合、それはエンゲージメントを規定するものが人が職場にあるという理解をしているということだ。

つまり、エンゲージメントの低い/高い人たちというのがいて、その人たちがエンゲージメントそのものなのである。また、同じく、エンゲージメントの低い/高い仕事があり、その仕事がエンゲージメントそのものなのである。こうしたものを変えるのは難しい。変えられない定数だからだ。

エンゲージメントは結果である

逆に、人や仕事に属さないと考える場合、例えば同じような仕事をしていて、同じような人たちがアサインされているにも関わらず、エンゲージメントに差があるという場合は、エンゲージメントは結果なのだ。だから、変数を検討する価値がでてくる。

エンゲージメントは関数である

つまり、エンゲージメントは関数みたいなもので、y=xやy=aになる場合は原因だといえて、そうでない場合は結果ということなのではないかと思う、とど文系が書いてみました。

今回、ややこしいかな。わかりにくければ書き直します。

余談

かねてからモラールやモチベーション、コミットメント、従業員満足(ES)などの類似語もある。また、サーベイというところでは、モチベーションサーベイやESサーベイなどもある。これと置き換わりつつあるのがエンゲージメントサーベイだ。上位互換するようなものなのだろうか?

また、従業員は会社に対して何を誓約し、ているのだろう。雇用契約だろうか。そんなはずはない。まず、「何を」誓約しているのかを明確にする必要がある。

次に、「何に」の話だ。エンゲージメントとは、何に対してのものなのだろうか。会社なのだろうか、仕事なのだろうか、それとも部署や、仲間なのだろうか。はたまたそれらの複合体なのだろうか。

このように言葉の目的語を直接目的語と間接目的語に分けたときにそれが明確であることが「言葉の範囲」を定めることだ。

これらの点に関しては、もう少し突き詰められそうなので、別な記事で書きたいと書き漏れフラグを立てておく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?