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相続(1)

父方の祖母の相続をやることにやった。きっかけは相続されていない不動産の相続人に課税されることになったこと。

僕はややこしい相続なので前提を書いておく。数次相続(相続が終わる前に相続人が亡くなった相続)であり、本来の相続人の父の代わりにその子である僕が手続きをすること。

また、祖母は大正末の生まれで100歳近くで亡くなっており、現行の戸籍制度以前の親家制度的な要素の強い戸籍が登場すること。亡くなってから12年が経過していること。相続財産は不動産のみである(とされている)こと。特別区に住んでいること。これらはなかなかないことであるが、今後、上の事情で相続する人もいるだろうし、類例がすくなそうなので、参考になるかなと思った。

整理したところ、やるべきことは以下だ。これらをそれぞれ書きたい。

  • 相続財産を確定する

  • 遺言書の有無を確認する

  • 相続人を明確にする

  • 遺産分割協議書を作る

相続財産を確定する

まず、相続財産を確定する。相続財産が決まらなければ、相続人と話し合いをするための遺産分割協議書は作れない。遺産分割協議書をつくっても遺言書があったら手戻りになる。また、財産の額が分からなければそもそも何を分割するのかわからない。

財産には

  • 動産

  • 不動産

がある。

動産の確定

動産はタンス預金や銀行口座を調べる他、価値ある絵画等のものが含まれる。主には、現金だと考えておけばよい。

銀行口座の残高や取引履歴を銀行で調べるには、相続人であることが分かり、被相続人が亡くなっていることがわかればよい。

なので、戸籍を取って、身分証とともに銀行に持参する。僕の場合は代襲相続の相続人なので、僕と父、父と祖母の関係がわかるものが要る。ときに、印鑑証明と印鑑を求められることもある。

銀行は合併で行名が変わることがある。取引銀行は合併しており、かつてのメインバンクはわかるが、口座番号もわからないところからスタートした。また、死亡時の残高、及びその数年前までの取引履歴が必要になる。なお、銀行の履歴の保管は10年間なのだが、今回は平成15年以降の履歴、つまり約20年分を照会できた。ありがたい。

なお、民法改正によって、死亡時のみならず、その数年前までに引き出された財産についても内容次第では相続の対象になりうることが明示されたそうだが、僕の場合、遡及法になるので関係なさそうだ。

不動産の確定

これは、固定資産税から確定する。ネット検索したところ、市役所にいけばよいとあったが、特別区に住んでいる場合は、区役所ではなく、都税事務所に行くことになる。

都税事務所では、相続人であることがわかれば、住所から固定資産税の納税額と路線価ベースの資産評価額がわかる。なお、資産評価額を相続額とするかはまた別な話で、これが相続でのややこしいことになる原因の一つである。

基本的に、都税事務所では、その区の不動産についてしかわからないので、他に不動産がある場合は、この方法では調べられない。

遺言書の有無を確認する

基本的には相続人によって、その権利の割合があり、それに基づいて相続分が決定するが、遺言書があるとそれがひっくり返る。

遺言書には種類がある。公正証書遺言と自筆遺言があり、公正証書遺言は公証役場に行って確認する。公証役場に遺言書を出す人はさほど多くなく、リテラシー高めで財産多めな方になるだろうから、おそらくないだろうと思いつつも、人のことはわからないので一応調べに行った。

結果としてなかったが、あるかもしれない(未確定)と、ない(確定)では全く意味合いが違うので調べた価値はあった。

なお、自筆遺言は要件が厳しく無効になりやすい。手書きメモのようなもので、日付や内容が曖昧なものや、パソコンで書いたものは無効になる。あくまでも自筆なのだ。自分に何かあるときに向けて、公正証書遺言は書いておくべきと感じた。

相続人を明確にする

一番大変なものがこれだった。銀行の残高を知るくらいなら血縁が証明できればよいが、最終的には出生から死亡までに他に相続人がいないかなどを掘らなければならない。遺産分割協議書には相続人全員がサインする。それには相続人を確定する必要があるからだ。

自分の知っている家族以外にも家族がいる可能性を探る。親世代があえて言っていないことなどもある可能性があるからだ。

僕の場合は、代襲相続なので、戸籍を確認して、自分が生まれる前の父の戸籍の移動の有無を確認し、他に兄弟姉妹がいないかを確認する。兄弟姉妹はいなかった。

その後、祖母の戸籍から出たところからが長かった。七尾市の前は目白、その前が目黒、そこで祖母及び祖父の戸籍がなくなる。現行制度では結婚で新しい戸籍が作られるが、昭和初期はそうではない。

つまりどういうことかというと家制度が登場するのだ。それはつまり祖父母の上世代、つまり曽祖父の戸籍にあたらなければならなくなる。

曽祖父の戸籍は同じ目黒にあり、次は渋谷(豊多摩郡渋谷村上渋谷)、そして渋谷区に行ったところで再び足取りが消える、戸籍が廃棄されているのだ。

時系列を遡るアプローチはここで中断となった。

ただ、当時の戸籍には出生時の戸籍があるので、そこから再びたどる。祖母の結婚と戸籍入り、渋谷への移動が確認できればよいのだ。

ところがそう簡単にはいかなかった。石川県からの移転先は、東京市芝區白金、今度は芝區、つまり港区役所だ。港区女子だったのか。そこから渋谷系に至るプロセスを調べる。渋谷区では廃棄だったので、薄い期待で訪問すると残っていた。次の移転先は渋谷。。。だが、場所が微妙に違う!

ということでまた渋谷にいき、解決となった。

遺産分割協議書を作る

ここまでの活動は、他に相続人がいないか、不動産は何があるか、動産はいくらかといったファクトを積み上げる活動だった。

ここからは、相続人の利害に直結する話になる。僕のケースの場合は、遺留分が時効(10年)を迎えているため、遺留分は請求できない。つまり、相続人はこの遺産分割協議書で全てを決めることになる。

とくに、今回の場合は、数次相続であり、その後の相続もあり、更に法改正もあるのでややこしさがある。

ここは現在進行系であり、また、高齢の親族が多く、更なる相続が発生することもありうるし、自分が遠方の親族とやりとりできるほどの余裕がないため、叩き台は書いたものの、やや遅延している。また、ノウハウが溜まったら書いてみたい。

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