2023年6月議会質問原稿

6月議会の一般質問では、7名中最後の質問となります。
どうぞよろしくお願いいたします。

私からは3つのことにつき、質問いたします。
まず、マイナンバーカードと健康保険証の一本化への対応についてです。
これは国の制度ですから、地方政治に関係がないと思われるかもしれませんがとんでもありません。
町民の生活と町役場の業務に多大な影響を及ぼす恐れがありますので、質問いたします。
次に、チャットGPTなど生成AI=人工知能の活用についてです。
これも急を要する課題には思われないかもしれませんが、相当に準備をしっかり行わないと、のちに大きな問題を引き起こすことが十分に予見されることと思い質問いたします。
3つ目として、主に町役場における男女共同参画について質問をいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。

1 マイナンバーカードと健康保険証の一体化への対応について

まず、マイナンバーカードと健康保険証を一体化することについて質問します。
現行の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードと一体化する「マイナンバー法など改正案」が国会で可決されました。
このことにつき、連日様々な問題が報道されています。
口座への誤登録数が家族名義で13万件、別人の口座登録が748件にも上ることも明らかになりました。
これまでに、全国で別人の保険証情報が誤登録された件数は7,313件、マイナンバーカードで受診したところ、資格情報が確認できず、医療費を10割負担することになった件数が533件となっています。
最新の世論調査では、「マイナンバーカードと保険証を一本化」の延期や撤回を求める声が72.1%。
マイナンバーカードの活用拡大に「不安」「ある程度不安」との回答も71.6%という結果も出ています。

この問題について、質問します。
まず、
中之条町におけるマイナンバーカードの取得状況(年代別、男女比)の現状について答弁を求めます。 
また、そのうち保険証と紐付けられている数・割合がわかるようでしたら、合わせて答弁を求めます。

現状、マイナンバーカードの申請・登録において町民の公金受取口座の誤登録などのトラブルは生じていますか。答弁を求めます。 

2024年、来年秋の保険証廃止にともない、マイナンバーカードの未取得者に「資格確認書」を発行するとしています。
「資格確認書」の有効期限は発行から最長1年で、取得には本人の申請が必要です。
現行の保険証は申請しなくても交付・送付されていますが、保険証が廃止された場合、保険料(保険税)を支払っていても自動的には交付されません。
申請が困難な人などは無保険になる可能性があり、カードの取得は『任意』といいながら、事実上の強制と言えます。
これは国民皆保険制度の根幹が崩れる事態とも言えます。
厚生労働省の担当者は、高齢者や認知症の人など「申請が難しい人は代理人が申請できる」「『申請が難しい人』の判断は市町村など各保険者がする」と報道されています。
ここで伺います。
現行の健康保険証が廃止されることで、無保険者が生まれるなど町民の医療を受ける権利が損なわれることに繋がる恐れがあると考えますが、この問題についての町長の認識はいかがでしょうか。答弁を求めます。 

保険証の廃止に関わる具体的な業務は町役場の窓口業務にも関わってくると思います。
マイナンバーカードの申請のために窓口へ行くことができない町民、今後健康保険証と替わる「資格確認書」の申請・更新のため窓口へ行くことができない町民への対応をどのように行うと考えていますか。答弁を求めます。

健康保険の医療資格は就職や退職などで変わります。そのたびに、新たな資格情報とマイナンバーとのひもづけをするのですから、誤登録を“ゼロ”にすることが出来るとは、とても思えません。
一連の誤登録は、紙の保険証では起きようもないことが、マイナンバーカードでは起きてしまうことが、明らかになりました。
紙の健康保険証は、国保なら自宅に郵送されます。健康保険では職場を介して本人の手元に届きます。
その時に、名前などが間違いないか、本人が確認することができます。
厚生労働省は、新たなトラブルを防ぐとともに、来年秋の切り替えをスムーズに行えるよう、対策チームを設ける方向で調整を進めているという報道です。
対策チームということですが、対策は簡単です。
現在の紙の保険証を存続させること、これで解決できる問題です。

この間、マイナンバーカード取得のために、窓口には沢山の町民が訪れ、職員の方は本当に丁寧に対応をされている様子を拝見しました。
国による新しい制度の導入により起こる混乱への対応も含め、職員の皆さんの献身的な業務の様子に敬意を評します。

中之条町に置いては、本人の意図しない紐付けがなされたという答弁がございました。
マイナンバーカードの所得は任意/保険証を紐付けることは事実上の強制です。
これでは、トラブルは起こるべくして起こる。
そう言えると思います。
これだけの数のトラブルが全国で生じている実態をみると、今後中之条町においても同様のトラブルが発生することが十分に予見可能だと思います。
こういったトラブル対応のために、本来行うべき町民の福祉向上のための業務に支障がでるような事にならないか、強い危惧を覚えています。
保険証が廃止されることで、制度を理解できない方・寝たきりの方・施設入所者・長期入院者・障害のある方など、最も医療が必要な人たちが無保険になる恐れがあります。
このことへの対応は、本来であれば制度を変更する国に責任があるわけです。
しかしながら、現場である町役場の窓口や職員の方が一義的に対応を行う必要が生じてしまいます。
職員の方が本来担うべきは、住民の生活/福祉向上のための働きです。

住民の医療を受ける権利が脅かされるような事態にならないよう、制度運用の問題点も含め、町としてしっかり国や県に対しても意見を言っていく。
そのような姿勢が本当に大事になってくると思います。
私からは、
・町として国に対し紙の保険証を存続させるよう意見を上げていくこと。
・無理な紐づけを中止するように求めていくこと。
この2点を求めて、最初の質問を終わります。


2 生成AI(チャットGPT)の活用と対応

次に、チャットGPTなどに代表される生成AI(人工知能)の活用と対応について伺います。
ご存知の通りチャットGPTは文章や歌、画像などを作成する生成AIの一つで、質問に対して、人間のように回答したりします。
先日の新聞報道によれば、伊勢崎市では議会での一般質問に対する市長の答弁にも活用されたとのことでした。
まず、伺います。
現状、町役場の業務において生成AIを活用している実態はありますか。
答弁を求めます。

今後、行政文書の作成や教育現場において生成AIを活用することを検討していますか。
活用するのであれば利用についてのガイドラインを策定するなど、対応を行う予定はありますか。
答弁を求めます。

私は、新しい技術を活用し自治体業務を効率化していくことには基本的に賛成ですし、良いものは大いに進めて行くべきだと思っております。

チャットGPTなどのAI(人工知能)がどういうプロセス・順序を踏んで解答をはじき出してくるのか、私たちは一切知ることができません。
AIは膨大なデータを学習し、文章をまことしやかに書きますが、それは学習データやネット空間のいろんな言説を反映してつくられます。
そのプロセスがブラックボックスだということが最大の問題です。
そうして出てきたものは一見、正しそうに見えます。
ただ、真偽の部分は全く分からず、事実として間違ってしまう場合もある。
価値判断をAIはできないので、奇妙なものが出てきてしまう可能性もあります。
そういうものが今後、行政文書の作成や学習現場で利用されてしまうと、真偽も検証もできないものを、私たちはあたかも事実であるかのように読まされてしまうことになります。
行政や教育のあり方自体が根本から問われる問題です。
そういった問題をはらんでいるものであるという認識を十分に持って、相対していくことが大事になってくると思います。

生成AIについては今述べたように公共の公益に叶うものとはまだ言えないと思います。
世界的にも、”公益に資するネット空間をつくるためのルールづくり”が、求められています。
今後の活用に、しっかりと公共の利益にふさわしいルールを作ることを求めたいと思います。


3 男女共同参画の取り組みについて

最後に、町における男女共同参画の取り組みについて伺います。
まず、
現状の町職員総数における男女比、また課長・係長級職員への女性の登用率はそれぞれ何割でしょうか。

次に、
これまでにおける町職員の、男性と女性の育児休暇取得率はそれぞれ何割でしょうか。
答弁を求めます。

最後に、
男女共同参画社会の実現に向けて、町としてどのような取り組みを行っていく予定でしょうか。町長の心構えをお聞かせください。

2021年に「世界経済フォーラム」が統計をとったジェンダーギャップ指数においては、日本は世界152カ国中120位という、先進国の中では最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN 諸国より低い結果となっています。
ジェンダーギャップとは、男女の違いにより生じている様々な格差のことです。

なぜ、そうなっているのか。
分析されています。
日本では、昔から「男は仕事、女は家庭」といった「固定的性別役割分担意識」が根強く残り、こうした背景から、経済や政治分野での女性参画が進んでないため、順位を大きく下げています。
これは、私の意見ではなく「ぐんま男女共同参画センター」による分析です。

また群馬県の「指導的地位」に女性が占める割合は、「市町村の審議会等の委員に占める女性の割合」、「自治会長に占める女性の割合」ともに、全国最下位です。

一方で群馬県7月1日付の人事では、部長級13人のうち女性は6人と、比率は46.2%となり、都道府県で最高を維持するという報道です。
山本知事は「(女性の登用は)世界的な常識。将来的には管理職の女性比率を50%にできるような流れをつくりたい。」と記者会見で述べたと報道されています。
中之条町においても、男性も女性も共に活躍ができるような状況を作っていくことがとても大切だと思います。

この間、町職員の方に働く現状について伺いました。

  • 子どもがいるとステップアップがはかれない現状があること

    • これは、休暇期間があることで昇給に影響が出てしまうことの表れだと思います

  • 昇給を辞退したり、いざ昇給というタイミングで辞めてしまう職員がいること

    • 職責の重さと、管理職の労働環境に大きく関わってくることだと思います

  • 全体として職員数が少なくなってきている実態があること

    • 退職者に対して採用する数が少ないということだと理解しています

  • 一人係長で仕事をしている部署も多く替わりがいない

  • 部分休業などの制度があっても、事業課であれば休みが取れない現状があること

  • 育児をしながら働き続けることに対し、上司や同僚の理解があっても実態が許さない状況

    • 仕事量がそれを許さない現状がある

などが語られました。
先日の報道で、高崎市は男性の育児休暇について2025年度以降100%を目指すとのことでした。
現状から一足飛びに職場環境の整備を行うことは簡単にはできないものだと思います。
しかし、できることからやっていくことが大切です。

そして、こういう問題について必ず問題になるのが、ハラスメントのことです。
セクハラ、パワハラ、アルコールの場でのハラスメント、妊娠をしたことによるマタニティ・ハラスメントなど、職場でのハラスメントは日常的に発生する可能性を秘めています。
ここで伺いたいのですが、ハラスメントを受けた職員がいた場合は相談できる窓口はありますか。

ハラスメントを防止しながら、職員の働き方の改善を図っていくことが大事だと思います。
具体的には、

  • 休暇簿のペーパーレス化

    • 現状町役場の休暇届は紙で提出されていますが、やはり人、特に直属の上司に届けを出すのは躊躇するものです。このような分野でこそIT化を進め、オンラインで決済が取れるような仕組みが必要だと思います

  • ジェンダー・ハラスメントの防止研修

    • 本人が期せずしてやってしまうのが特にジェンダー分野におけるハラスメントです。何がハラスメントに当たるのか、どうすれば防げるのかなど、専門家を呼んでのセミナー・研修などぜひ職員に対するおこなっていただきたいと思います

提案も含め申し上げましたが、女性が働きやすい職場をつくることは、そのまま男性にとっても働きやすい職場をつくることにつながると思います。
そして町役場の職員の方が働きやすい職場で仕事ができるということは、そのまま町民生活の向上に直結します。
そしていま役場で働いている人たちにとってだけでなく、これから仕事に就く若い人たちにとっても町役場が働くのに魅力的な環境になっていくことが大切であると思います。
町役場で環境整備が進めば、「役場がやっているんだから」ということで民間企業にも波及していくのではないでしょうか。
私は、議員としてともに町に働く立場として、この男女共同参画の問題について、これからもしつこく取り上げていきたいと思っております。
このことを申し上げ、質問を終わります。

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