短編小説#9 道のり
君と付き合いたくて、僕は眼鏡をやめた。
コンタクトにしてから世界の見え方が少し変わった。
君に好きになって欲しくて僕は髪を短くした。
髪を短くしてからワックスを買うようになった。
君に話しかけたくて興味がなかった音楽を嗜んだ。
音楽はこんなに波があって愛があると知った。
君とデートに行きたくてデートスポットをネットで調べた。
初めて行く場所は緊張するから下見にも行った。
君に告白するために僕は手紙を書いた。
君からYESと書かれた手紙が返ってきた。
君と手を繋ぎたくて僕は繋いで良い?と聞いた。
君は答えることなく手を握ってくれた。
君と交わりたくて君にお願いをした。
君は俺を受け入れてくれた。
君との一年記念日を祝いたくて、俺は旅行を提案した。
君は行きたい場所をたくさん話してくれて旅行は堪能できた。
君と結婚したくて指輪を買った。
君はその指輪を左手の薬指にはめてくれた
君と俺の子供の三人でいっぱい旅行に行くために働いた。
君達は玄関でいつもおかえりと言って迎えてくれた。
子供の受験で喧嘩した。
子供が二人の中を戻してくれた。
子供が一人暮らしを始めたいと言ってきて俺は反対した。
君は笑顔で見送ろうと言って少し寂しそうだった。
子供が結婚した。
泣かないと決めていたのに声を出して泣いてしまった。
君と一緒に孫に会いに行った。
孫はおじいちゃん好きと言ってくれた。
私の体調が突然悪くなった。
君は笑顔で大丈夫と手を握ってくれた。
私は部屋から出れず寝たきりになった。
君はたくさんの思い出の写真を見せてくれた。
私はもうダメだと悟った。
君はもう十分頑張りましたと褒めてくれた。
私は君に最後、愛している。と伝えた。
君は私に最後、ずっと愛していると答えた。
僕、俺、私は、来世もきみにあいたいと思った。
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