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けん玉と国際交流

おはようございます。
世はクリスマスで賑わっていますが、私は特別なことはなく変わらぬ日常を過ごしています。これも幸せなことです。

さて、今日の記事は、私が感じた世界に通じる文化と平和、交流についてです。

私は以前国際ボランティアでパレスチナ難民キャンプの小学校で体育教員をしました。その時にけん玉をしたお話を綴っていこうと思います。

ヨルダンではサッカーがとても人気です。
子どもも大人も、「برشلونة バルシャルーナ(バルセロナ)」「مدريد マドリード(レアル・マドリード)」のどちらが好きかを聞いてきます。
2チームの勝敗をいつも気にしています。

ほとんどの学校の体育の授業でもサッカーしかしていません。
そもそも体育の専任教師がいないことがほとんどなので、体育科教育という教育法が根付いていないことが原因です。日本のように体育大学があるマケではないので、当たり前と言えばそうかもしれません。そのほかにも、情操教育としての音楽や美術などもあまり重要視されていません。受験科目にありませんからね。
そこで、国際協力員として、日本式の体育科教育を普及するためにボランティア員が派遣されます。ボランティアといっても私たちは給料をもらっています。現地のインターンとしてボランティアしている現地の方は無給です。

サッカーしか実施されていない体育の授業に、ドッジボールやポートボール(バスケットボールを簡易化したもので、ゴールマンがいて、シュートされたボールを肩より上で捕ると得点が入る)、縄跳び、リレーなどを取り入れていきます。ここでいうサッカーの授業とは、チーム分けをして試合をするだけです。ウォーミングアップも練習もありません。
また、雨が降ると体育は中止となり、国語や算数など主要5科目に変更されてしまいます。
そこで、雨が降っても教室でできることをしようとけん玉を提案しました。けん玉は私がダイソーで買った一つ300円するものをいくつか持っていきました。
日本のおもちゃを使って遊べる時間は、彼らにとってかけがえのない時間となったようです。

英語は世界共通語として知られていますが、コミュニケーションを取るツールとして他に何があるのかを考えたことがあります。
私自身小学1年生〜高校3年生まで野球をやりました。もちろん、海外生活でも野球を続けたかったですが、野球は先進国のものという認識が強いです。道具と資金が必要で、試合になると最低でも9人対9人+α(審判や場所など)、さらにルールが複雑であり、技術も相当な練習がないと習得できません。
一度やってみてできないと、これはつまらないという彼らにとって、新しい種目というのは「مش كويس ミシュ クワイエス(よくないね)」となるのです。
このように、新しい種目を取り入れることは容易なことではありません。
サッカーはボールが一つあれば、一人でも大勢でもできます。例えば、ダンスは体があればどこでも誰でもできます。音楽はその国、文化それぞれに特有のものがあります。
このように受け入れられるものはないかと考えた結果、私はけん玉に辿り着きました。
日本の文化を世界に発信しつつ、けん玉でコミュニケーションを取り、笑顔が生まれて、いつでもどこでも誰でもできる遊びです。これだと思いました。

けん玉の良さは、一度では決まらなくても、玉を引き上げてぶらぶらさせているだけでもなんだか楽しい、けんと玉がぶつかると「コツン」と心地良い音が鳴るなど飽きない要素があります。そして、何度も挑戦しているともう少し、あともう少しと微調整が加わり、その瞬間が訪れます。玉がお皿に乗る、玉がけんに刺さり最高の気分を味わえるのです。いわゆる成功体験です。これが快感となり、次はここに乗せる、次はこうやって刺すというように挑戦していきます。

けん玉は2014年に「第一回 けん玉ワールドカップ」が広島県廿日市市で開催されました。以後今年第10回大会が実施されました。

このように、けん玉は世界中で人気となり、各国にメーカーやプロ契約をしている選手が存在し、切磋琢磨しています。

いつかけん玉がオリピック種目になること、国際博覧会会場でけん玉パビリオンが建設され、世界から訪れるお客様の前でパフォーマンスされるような光景が見られることを楽しみにしています。

世界の人々がけん玉を通じて笑顔になること、平和になることができると信じています。


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