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クリスマスの小さな奇跡

リビングに置いていた水栽培の球根から花が咲いた。花の色の鮮やかさだけではなく、アロマを焚いたかのような優しくて爽やかな香りに満たされて、癒されている。

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花の香りに気づいた夫が話しかけてきた。

「この花、何て言ったっけ、んー、サン、、サンフランシスコだっけ?」

夫さん、遠くはないが絶対に近くない。サンフランシスコとヒヤシンス…サン・サーンスはフランスの作曲家、組曲の白鳥も、ここでは遥か遠い。

これらの語感で思い出した話がある。それが、クリスマスの小さな奇跡、の話。

当時の次男は小学生。

「ねえ母さん、これ、花瓶にしてるけど、理科室にあるよね、何て言うんだっけ、これ、ビーカー…じゃなくて、えっと」

ダイニングテーブルの上の三角フラスコをじっと見つめて、悩む次男。

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りんごジュースをちびちび飲みながら次男が導いた答えは

「わかった!フランシスコだ!」

「それ、ザビエルじゃん」と爆笑の長男。


「ねえねえ聞いて、うちの息子がね」と、この話を私は翌日、同僚に話した。20代の彼女は、「超ウケるぅ」と笑い転げて、この一連の流れをその夜、彼氏に話した。話の前に、私が花瓶にしている画像を彼氏に見せて、「あのね、冷茶さんが花瓶にしているこれの話なんだけれどね」と始めたら、缶ビールのプルトップを引きながら彼氏が本題の前にいきなり言った。

「おお、懐かしいね、これ、ザビエル」

三角フラスコからのフランシスコからのザビエルが時空を超えた。

ところで、なぜこの小さな奇跡がクリスマスの奇跡なのか、というのは単純な話で、20代の彼女の姓が「くりす」さんだったからだ。彼女はご結婚されて今はくりすさんではないけれど、可愛いお子さんと素敵なクリスマスを過ごされていると思う。メリーくりすマス。

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