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詩 『糸/音』

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音にすると 少し離れる。 たけど繋がっている。
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2024年4月の記事一覧

餞

獅子は十六匹の群れから
若い兄弟たちが旅立つ
さようならさようなら
春は別れの季節だから
ただそうなる
そのようにある

四肢の十六本をもてあまして
あとの十二を切り離した
さようならさようなら
ふたりは対のままで
ひとりとは縦に裂いたエリンギとなる
ただそうあるしか

はなむけの言葉に裏打ちされた
自信をひとつ
胸に

支持十六票の提案を捨てても
一分につき何千リットルもの泉は涌く
さようならさ

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