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詩 『糸/音』

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音にすると 少し離れる。 たけど繋がっている。
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2023年12月の記事一覧

詩「シュトーレンと光」

詩「シュトーレンと光」

まんなかにナイフを入れて
五ミリずつ 七ミリずつ
ドライフルーツがよく馴染んで
今日より明日 もっとおいしくなる
粉砂糖をまぶしたそれは
おくるみにくるまれたキリストの姿

まんなかにナイフを入れて
五ミリずつ 七ミリずつ
分断した傷口は開いたまま乾いて
今日より明日 もっと凄惨になる
硝煙や砂、血にまみれて
父が子の内蔵をこぼさぬように抱く

寿ぐ言葉よ
夜のあとには朝を与えよ

2023.12

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めかくし

めかくし

わたしのピンクのスニーカー
もしかしてPUMAのかもしれない
靴箱の片方だけを開けて
みないふり
みないふり

「ねえわたしの靴のしたにやわらかなあかちゃんがいるの」
「ここでジャンプしてもいい?」
「ハンバーガーのおもちゃもあげよう」
「きっと喜ぶよね」

踏みつけて踏み抜いて
瓦礫の下へ追いやって
みないふり
いないふり

2023.12.09

靴底にいのち感じてしまうかも
てんとうむしの音

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