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少子化対策として始めた婚活事業を10年後に振り返ってみた
10年前に少子化対策として始めた婚活事業を振り返ってみると、1万人を超える会員数や成婚数などの結果を残すことはできたが、県全体の成婚数を増やすところまでは結果を残せなかった。ただ、結婚適齢期の女性人口が大きく減少している中で、成婚数を増やすということはそもそも困難であった。県全体の婚姻数の増加につながっていないという理由から、本県では4年前に少子化対策の施策から結婚支援を外し、婚活事業は民間譲渡していた。こうなることは想定内であり、これまでに育てたボランティアが思いを込めて、今でも独身男女の出会いの場づくりをコツコツと続けてくれていることに感謝である。
10年後の振り返り
本県では、少子化対策として婚活事業を2015年に開始した。
初年度は奇抜で話題性のある広報プロモーションと多種多様でインパクトのある婚活イベントを毎月開催し、多数のメディアに取り上げてもらうことで認知度を高め、会員数を増やしていく戦略をとった。
また、地域で婚活イベントを行っているボランティア団体とも連携し、県全体で独身男女の出会いの場づくりを行った。
2年目は、予算がなくても会員からの参加費だけで婚活イベントができるよう、飲食店などの店舗からの協力を得て、さらにボランティアの育成に力を入れて、婚活イベントの自走化を図った。
その結果、会員数は1年目で約4千人、2年目は8千人、3年目の途中で1万人を突破した。
また、成婚報告は2015年から2023年までの間に約900組から報告があった。この数字はあくまでも報告数であり、こいのわで出会い、結婚した人たちはその何倍もいると思われる。
残念ながら、婚活で出会って結婚したということを伏せておきたいというネガティブな感覚を払拭することはできていないのが現実である。
行政が婚活事業を始めたことにより、民間の婚活事業も活性化
元々はお見合い事業の準備として本県では婚活イベントを重点的に実施してきたわけであるが、これまでの活動により、様々なメディアに婚活がポジティブな雰囲気で発信され、婚活への参加という心のハードルが下がり、本県での婚活市場が活性化され、我々の取組開始前には大手の結婚相談所がほとんどなかった本県に、多数の婚活関連企業が進出してきた。
本県で婚活事業を始めるにあたって、民業圧迫ではないかと考え、婚活関連企業へのヒアリングを行ったが、行政が婚活事業を実施するほど婚活市場が活性化することになるから大歓迎だとまで言われた。
また、2020年からはコロナ禍に入り、リアルイベントは激減したが、マッチングアプリの普及により、さらに婚活への心のハードルは下がりつつあると思われる。
取組の結果として女性の有配偶率がキープ
我々の取組目標として25~39歳の女性の有配偶率の改善を掲げていたが、少子化対策のターゲット層であった25~29歳の女性の有配偶率はわずかに減少したが、30~39歳の女性の有配偶率はわずかであるが増加した。
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その結果、25~44歳の本県の女性の2020年の有配偶率は59.7%となり、我々が婚活事業を始める前の2010年の有配偶率とまったく同じであった。我々の結婚支援の取組が減少していた有配偶率に一定程度、効果があったものと考えられる。
しかし、出生数については2019年までに回復の兆しを見せていたが、2020年以降は減少に転じている。
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このことは、25~29歳の配偶者のいる女性の子供を持たない割合の減少が影響していると思われる。25~29歳の配偶者のいる女性の子供を持つ割合は、2015年までの約20年間も65%あたりで維持していたが、2020年の調査で59.1%となり、2015年と比較して5ptも減少していた。
少子化対策を進める上で、こうした若い世代の子供を持つという課題も結婚支援と同時に解決する必要が出てきた。
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残念ながら本県での婚活事業は終了
しかし、残念ながら本県では、県全体の成婚数が伸びていないことから、婚活事業の成果が出ていないという理由で、2021年から婚活事業を民間へ事業譲渡を行うこととしたそうである。
なお、この取組の実績としては、毎年の成婚報告数がコンスタントにあること、ターゲット層の有配偶率が一定割合でキープを続けていることから、取組の成果はあったと考えられる。
なお、25~39歳の女性の有配偶率がキープを続けているのに、県全体の成婚数が伸びていないのは、25~39歳の女性人口の減少が大きく影響している。今後もこの層の女性人口は減少するため、成婚数の減少を止めることはできないが、有配偶率をキープするための取組は必要であると思う。
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なお、近年では民間のマッチングアプリをきっかけにした結婚も増えてきている。
結婚願望はあるが、出会いのきっかけがなく、結婚のチャンスを逃している人たちのために、行政が男女の出会いの場を作る取組の必要性は薄れてきているかもしれないが、行政が婚活事業を実施することによる婚活潜在層へのアプローチにより婚活市場の活性化を促し、マッチングアプリを含めた婚活参加への意識のハードルを下げるという効果はあると思う。元々、本県の取組である『こいのわ』の出発点がそうであったように。
2025年の国勢調査において、本県の25~39歳の女性の有配偶率が下がっていれば女性人口の減少も相まって、既婚女性数が大きく減少することとなり、少子化への加速はさらに進むこととなる。
本県では、結婚支援を少子化対策の施策から外しているので、もうどうにもならないが、今後は、結婚したい男女の夢を叶えるべく、自分も引き続き、ボランティアの一人として、のんびりと応援していきたいと思う。
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