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隣県との共催で独身男女を集めて婚活イベントを開催してみた

トップ同士の会談で両県の共催による婚活イベントを開催することとなった。本県に比べて人口が少なく、婚活の対象者が少ない隣県との共催はメリットを感じられなかったが、宮島を舞台に独身男女100名による婚活イベントを盛大に開催した。そして、この婚活イベントは翌年以降も交互にそれぞれの県が担当となって行うこととなった。


隣県の婚活事業の状況

本県の婚活事業とほぼ同じ時期に隣県も婚活事業を実施することとなった。隣県では他県の成功例を参考にして初年度からお見合い事業を核として事業展開することとし、他県で成功しているお見合い用の専用サイトを導入していた。

お見合い事業を当面見送っている本県としては、お見合いを実施するボランティアをどのように育てているのだろうか、お見合い会員をどうやって集めるのだろうかと疑問であった。

こんな中、東京で開かれた少子化対策の都道府県会議でその隣県の担当者と話しをする機会があり、婚活事業の現状を聞くと、本県と同様に、都心部では順調に会員が集まっているが、地方での会員集めに苦戦しているとのことであった。

特に、本県との県境の地域では独身女性が少なく、お見合いそのものが実施できていないとのことであった。これは本県の都心部に独身女性が流出しているのが要因であった。

隣県との合同で行う婚活イベント

トップ会談で開催が決定

これまでに書いてきたとおり、近隣県の若い女性は進学や就職のタイミングで本県の都心部に移動しているというデータがある。県境にある隣県の市から本県の都心部は地理的に近いこともあって、若い女性の人口移動は顕著であった。

そのため、両県で合同して婚活イベントを実施しないかと隣県の担当者から申し出を受けていたが、本県としてはまったくメリットがない話しであったため断っていた。

そんな中、両県のトップ会談で少子化対策が議題にあがり、このトップ同士の会談の中で、両県の少子化対策を一緒に解決するために合同で婚活イベントを行うという合意がなされてしまったのである。トップ同士が決めたことなので、渋々ではあるが隣県と話しをしながら開催に向けて準備することとなった。

隣県との共催イベント

最初のイベント開催は本県が担当となった。両県在住の独身男女が参加しやすい場所での開催ということで、開催場所は宮島とした。

宮島は、山陽本線の宮島口駅から歩いてすぐのところに宮島へ渡るフェリーのターミナルがあり、このフェリーターミナルからフェリーに乗って10分程度で宮島に到着する。本県からも隣県からも電車での訪問が容易であることからイベントの開催場所を宮島で決定した。

募集人数は、両県各50名として、男女それぞれ25名とした。つまり定員100人の大規模婚活イベントである。婚活イベントの内容は男女グループによる宮島の島内散策と名物のもみじ饅頭の手焼き体験をベースとした企画にした。

隣県からの参加者はクセが強かった

隣県との共催の婚活イベントの当日は晴天でまさに散策日和であり、観光客が続々と来島していた。

早朝から宮島のフェリー桟橋において、イベント参加者の受付用の簡易テントを立てる作業を行っている最中にも、観光客が興味を持って、「こいのわって何ですか」や「宮島で婚活イベントをするんですか」と面白がって声をかけてきた。

今回のイベントは宮島島内で朝から夕方までの長時間の婚活イベントで、島内散策により交流を深めるものであったため、本県からの参加者は募集時に年齢層を若く選定した。

しかし、隣県では参加年齢を限定すると参加者が集まらない恐れがあったため、参加年齢の条件設定は行わずに募集を行った。

そのため、隣県からの参加者はバラエティにとんでいた。受付テントで参加者を待っていると、隣県の受付では年齢層が高めの参加者が続々とやってきており、この婚活イベントのマッチング率は高くならないだろうと朝から諦めた。

さらに、隣県の参加者の中には、全身を黒の服でのコーディネートした参加者がいたり、登山仕様の服装であったりと、かなりクセが強い参加者もおり、婚活イベントがうまく進行できるのかと不安にもなった。

1対1トークタイムの様子

宮島での婚活イベント開催

島内散策は男女各5名の10名グループで行うこととし、天気もよく順調に進行することができた。散策中に参加者グループと遭遇したら男女グループのチェンジを行うというルールで、なるべく多くの参加者と交流できるようにしていた。

中には盛り上がりすぎて行方不明になる男女グループもいた。この行方不明になった男女グループは盛り上がって意気投合したので、女性グループの提案により、宮島の御神体である弥山の山頂までロープウェイに乗って登ってきたとのことであった。

また、宮島水族館に入ったり、表参道商店街で牡蠣やもみじ饅頭の食べ歩きをしたりと、男女グループをチェンジしながらしっかり宮島散策を楽しんでいた。

この婚活イベントの終盤では、宮島のフェリー桟橋の近くの観光施設で、もみじ饅頭の手焼き体験も行った。もみじ饅頭の形をした焼き金に具材を入れて一つずつ焼くのである。これは男女ペアで二人で協力して焼いてもらい、自分で作ったもみじ饅頭は参加者のお土産とした。

男女ペアによるもみじ饅頭の手焼き体験

この婚活イベントからも成婚報告が

婚活イベントの最後にはマッチングも実施し、12組のマッチングカップルが生まれた。なお、このマッチングカップルの中から翌年に成婚報告があり、本県の男性参加者が隣県の女性参加者と結婚したとのことであった。

この報告は、翌年以降も同様のイベントを行うきっかけとなり、コロナ禍になるまでの間、両県で交互に婚活イベントを開催することとなった。

この婚活イベントもメディアで広く取り上げられた。隣県のクセが強い参加者はテレビ局の密着取材を受けており、マッチングは成立しなかったものの、「こうした取組を行政で行ってくれるのはありがたいし、参加しやすくなる。」と取材で語ってくれていた。

この放送を見て、自分も婚活イベントに参加したいという隣県から問い合わせが増えることとなった。また、隣県の独身男性の母親から「うちの息子にもいい人を見つけてほしい。」という電話もあったのだが、すべて隣県の結婚支援事業に丁寧につなぐこととした。

隣県開催イベントの様子

 <隣県と共催したこいのわイベントの進行>
   9:00 宮島桟橋でイベント受付開始
      受付後は徒歩で会場となるホテルへ
  10:00 1対1トークタイム
  11:20 島内散策フリータイム開始
  14:30 もみじ饅頭手焼き体験での交流
  16:00 ホテルに戻り、マッチングカードの提出
  16:20 マッチングカップル発表
  16:30 イベント終了

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