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30歳をこえて、金髪にしたら | 金曜日のひとりごと

はじめて髪をブリーチしたのは、たしか27歳だったか。結婚を機に、新卒で入社した会社を辞めたあとだった。

そのときは全体を明るくする勇気はなく、インナーカラーにとどめて控えめの色を入れたのだが、「もっと思い切ればよかった」という気持ちと「これだけでも、実行した自分に拍手」みたいな気持ちが両方あった。

すぐに新しい仕事の面接が入ったので、結局1ヶ月程度しかその髪色ではなかったはず。

そんなわたしの髪はいま、32歳にして大変貌を遂げた。

この間の三連休最終日、美容室から向かった待ち合わせ場所で、わたしをみつけた夫は開口一番こう言った。

「金というより、白だね」

いまは、髪全体がそんな色なのだ。

「髪を明るくする」それだけのことなのに、わたしにとって勇気が必要だったのはなぜだろう。かつてのように仕事の関係でできなかったことは、たしかにある。

でも、制限される環境にいるわけではないのに「誰かの許可がなけれできない」と頭の片隅でずっと思い込んでいたような気がする。

「どうせなら思い切りやりなよ」と言っていたのは夫だった。だから結局、夫に背中を押された部分はあるのだけど、そんなきっかけだったとしてもやってよかったと思っている。(人前では「遅れてやってきた反抗期です」とかふざけてしまうこともあるけど…)

似合っているかどうかはまあ別として、わたしは気に入っている。それから"スーパーサイヤ人"的な無敵モードになった気がしている。

それが見た目に限った話ではなくて、メンタル的にもなのだ。

「やってみたいけど、できない」と、自分でつくっていた足かせを外せたのだと思う。鏡を見てわかりやすく"変身"した自分を目の当たりにできるのも大きい気がする。

「髪を明るくする」という、たったこれだけのことだけど。

30歳をこえてもなお、未知の自分がいる。そんな新しい自分の感情を知るのと同時に「わたしは『自分のやりたいこと』を叶えられる」という小さな自信を得たのだ。

どんなにささやかでも、そんな自分の心の変化に気づいて大事にしてあげられるわたしでいようと思った出来事だった。

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