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意識の地図

人の意識がどのように進化し得るか、

それは人によってまちまちで、

自分自身がどんなプロセスを経てここまで成長できたのか、

それをハッキリと自覚している人は

おそらく意外と少ないだろう。

人を指導するのは難しい。

相手が今、何を目的にどんな課題と向き合っているのか、

それは外からは理解し難く、

当の本人も自分が今どこへ向かって進んでいるのか

分かっていないケースが多いだろう。

「精神性の時代」を迎えようとする昨今。

これからは「意識の地図」が、

必要不可欠となるだろう。

自分は今どこにいて、
どんな課題と向き合い、
どこへ向かおうしているか。

それが分かれば心理的負担は大いに軽減でき、

人が精神的に追い込まれるのは、

何をどうしていいか分からない時が多いはず。

どれだけ複雑に見える問題も、

対処法がハッキリと理解でき

「この問題は自分で何とかできる」という自己効力感があれば、

ほとんど苦にはならない。

人がどんな経験を経て、どのように成長を遂げるかは、もちろん一人一人異なるが、

そこにはある「一定のパターン」が存在する。

今、袋小路にはまっている人も、

そうした共通のパターンを把握できれば

そこから抜け出るヒントを得られるだろう。

由佐美加子さんの『ザ・メンタルモデル』は、

これからの行く末を示す「意識の地図」として

大いに活用できるはず。

どんな転機を経て、どう変容を果たすのか。

『ザ・メンタルモデル』によると、

そのステップは以下の通り。

適合期
直面期
自己統合期
体現期
自己表現期

「適合期」は常識や固定観念に縛られ、

いわゆる「空気を読む」ことで

周囲に迎合しながら生きる時代。

「違和感」や「ズレ」を感じつつも、

それを「見なかったこと」にして

自分の本音を抑圧する。

しばらくはそれでOKでも、

やがてたまりにたまった「鬱憤」や「怒り」は

様々な出来事が「トリガー」となり爆発する。

そして迎える「直面期」において、

人は「自身の闇」と対峙する。

これまで抑え込んできた「ドロドロした感情」が

これでもかと自分の内からえぐり出され、

「自分はこれほど腹黒い人間だったのか」と

ほとほと自分のことがイヤになる。

けれども、

そうした「内なる自己」との対話を繰り返すことで、

自分の「本心」を思い出す。

「あぁ、そうか」
「自分はこれが好きだった」
「自分の本音はこれだった」

自分で自分についたウソが、

この段階で暴かれる(自己統合期)

実存的変容。

自分自身のCOREとつながり、

本来の自分を生きること。

こうして自分の「本音」に気づけると、

次の「体現期」へと歩を進め、

「本来の自分」を生きられる。

自分自身を素直に表現することで社会に貢献でき、

自他共に喜びあふれる「win-win」の関係が築かれる。

自分本来の望みを通して社会の進歩に貢献することで、

「自己の幸福」と「全体の調和」が高いレベルでバランスする。

こうして自己の「自由度」や「影響力」が増してくると、

最後は「自己表現期」へといたることで

「マスター」と呼ばれるような唯一無二の存在となる。

誰であっても大筋では、

このような経路をたどるという。

『ザ・メンタルモデル』では「トラウマの4分類」も示されており、

これは人間であれば誰もが持つ「心の痛み」を4つに分け、

それぞれの特徴を分かりやすく述べている。

カンタンに要約すると以下の通り。

【価値なし】
「自分には価値がない」という心の痛み
「価値がない」と思い込んでいるため、自身の価値を証明しようと、ガムシャラに努力する
大企業で出世競争に邁進する人などに多く見られるパターン

【愛なし】
「愛」の欠乏に心を痛め、それを得ようと躍起になる
「愛」を欲するが故、恋愛においては「尽くして尽くして捨てられる」というパターンを経ることが多い

【ひとりぼっち】
強烈な孤独感を抱え「自分は誰にも分かってもらえない」と自分の内に閉じこもる。
人とは違う見方や発想を持つことが多く、そのため周囲に溶け込めず、いつも「孤立無援」といった思いを抱え生きている

【欠陥欠損】
「自分には何かが欠けている」という思い込み。
「価値なし」と似ているが、「価値なし」が出世や昇進など自己顕示欲を満たすことで心の隙間を埋めようとするのに比べ、「欠陥欠損」は資格の取得にコツコツと励むなど「自己完結型」である場合が多い

由佐さんによると、

誰もがこの4つのどれかに当てはまり、

それぞれに効果的な対処法があるという。

『ザ・メンタルモデル』には

自分がどれに該当するかを確認できる診断書もついているので、

「本当の自分を知る」という副題の通り、

自己分析にはもってこいの一冊だ。

自分の現在地を知り、

その行く末や目的地を自覚すること。

「複雑性の時代」と呼ばれる今、

誰にとっても求められるスキルだろう。

経営者や管理職、あるいは人事担当者にも

オススメできる一冊です。

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