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がんの転移について ファシアから考える


 がんの遠隔転移を考える中で、気になったのが、固有筋層への腫瘍の到達です。
 粘膜下層への到達により、血管やリンパを介して転移が生じるとしても、それがより激しくなるのが固有筋層の突破です。これはバリアとしての筋層に到達したように考えていましたが、もしかしたら腫瘍と筋層が接触することで、上皮間葉転換(EMT)といった質的な変化が生じ、それによって固有筋層そのものが変化してしまう、ということもあるのではないか。こうした質的な変化は何らかのシグナルによって遠隔に作用したら、EMTを別な組織でも促進することがあるのではないか、という考えです。
 この辺りは、私自身が研究の現場にいるわけでないし、がん治療の最前線にいるわけでもないのではっきりしないのですが、転移に関しての不明な点も少しでも説明可能になるのではないかと思い、メモしてみました。
 こうした変化は当然、線維化も招来するでしょうし、そもそも線維芽細胞に幅広く変化を促すことも予測されます。
 まあ、真実は分かりませんが、既存のストーリーとは別の展開を時に考えてみることも、発想の転換には必要ですので、メモしてみました。
 いずれにせよ、線維化・コラーゲン・ファシアなどの周辺的、「土」的な要素の重要性は今後、ますます増してくるのでしょうね。

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