統合医療における「効率化」を考える

 10年以上前の記事ですが、少し書き換えながら改めて「効率化」を考え直してみました。
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 速さを求められる現代、なぜスローが重要かを少し考えてみたいと思います。統合医療における「効率化」の意義です。

 物事のスピードアップは、無駄なことを省いてより短い経路で物事を遂行していきます。結果「無駄」がなくなるので、経済的なわけです。
 しかし、この調子で続けていけば何事も際限なく、スピードがあがるわけで、人間の本来持つ速さ(もしくは対応可能な速度)を上回るような日が来てもおかしくないわけです(AIによりこれらは確実に実現していますね)。現に、それに対応すべく、さまざまな機器が発達し続けているわけです。

 こうした速度の上昇は一方で、その経路を短くもします。わかりやすくいうと、株の取引などで極めて短時間に超多額のお金がパソコン上を動くわけです。一昔前とはその速度が異なるわけで、これにより一部の人が大金持ちになり、社会の二極化も速度を増すというわけです。

 こうしたことは人間の体でも起こってはいないでしょうか。いろいろな薬が出来たことにより、症状の改善(もしくは変化)がよりスピードアップしうる時代になりました。
 しかし、一方ではそのための問題も散見されるようになったわけです。こうした健康への素朴な疑問や心配が、スローダウンの風潮の基底にあるように思います。

 効率化に関しては、サプリメントなどが良い例です。なぜサプリが必要になってきたか、それは、昔は米を食べるとしてもきれいに精米して食べるということはないわけです。一見無駄なものが、たくさん付いていたわけです。
 しかし効率化によりエッセンスのみを取り出すようになるなかで、以前はゴミと思われていたものの中に、大切な栄養素がたくさん含まれていたというわけです。無駄を切り捨てるなかで、本当に必要なものも捨ててしまっていた、ということもあるわけです。これこそまさに短絡化することの弊害と考えて良いと思います。(この辺りは「分かりやすさ」を過剰に求める風潮との関係で今月のジャングルカフェでも対話していきたいところです)

 人の身体も同様で、一見面倒な生活改善をせずに、薬物による短絡化を安易に取り入れることの弊害もありそうです。何事も簡略化・短絡化が最良というわけではないのです。
 統合医療といういわばEBMからはみ出した医療について考えるにあたって、こうした効率化の功罪を考えてみることは新たな視点をもたらしてくれるだろうと思います。

 10月14日のジャングルカフェは100分de名著の『群集心理』を扱います。こうした効率化と合わせて、社会現象から一緒に統合医療について考えてみましょう!

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