第104椀 たま麩だけのお味噌汁
初出:2023年7月9日
<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから
テーマ:『◯◯だけのお味噌汁』
第104椀 たま麩だけのお味噌汁
普段は自由なテーマで書かせていただいてますが、久しぶりにお題に沿って投稿してみたいと思います。私ごとですが、地元で万歳保存会に入っております。バンザイではなくマンザイ。そして漫才ではなく万歳。万歳と言いますのは、祝福芸、門付芸の一つで、平安時代にはすでに職能として存在していたと言われている伝統芸能です。戦国時代には矢避けの祈祷などのため、かの徳川家康も万歳師を引き連れて戦場に赴いていたそうですよ。
私の地元の万歳は、三河万歳の名人だった左官職人より伝授されたものだったそうですが、そんなご縁もありまして先日保存会40周年記念の研修で三河安城へ行ってきたんですねぇ。
それがお味噌汁と何の関係があるのだ?と言いますと、前置きが長くなりましたが、帰りに三河のお土産として売っていたのが「たま麩」。一見すると肉まんみたいな大きな麩なんです。ここでふと、今月のお題『◯◯だけのお味噌汁』が頭によぎって買ってきてしまいました。
調べてみますと、伝統的に三河地方で作られていたものというわけではありませんが、このような大きい麩は、「たま麩」、「おわん麩」、「まんじゅう麩」などという名前で、結構全国にあります。お近くで売っていましたらぜひぜひ。
今回の出汁は、昆布を漬けておいたお湯で、もやしと鶏むね肉を茹でた残り汁を使いました。我が家では前日に茹でたものをおかずで食べて、翌朝に茹で汁はお味噌汁というのは夏の定番になっています。味噌は三河ってことでやはり八丁味噌でしょう。また、お正月のとろろ汁で使った駿府の相白味噌がまだ残っていましたので合わせてみました。無理やり家康つながりってことです。
お椀に汁を張って、汁が染みやすいように底に箸で穴を数カ所空けておいた「たま麩」をぷかりと浮かべます。おー、なんかインパクトすごい。汁を吸ってくたっとなったのを食べますと、もちもち~。お麩しか入ってないのに、なんだか楽しめました~。
***
「たま麩だけのお味噌汁」
出汁:昆布、もやし、鶏むね肉の茹で汁、ゴマ油
具材:たま麩
味噌:八丁味噌、相白味噌