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第73椀 こくしょ

初出:2020年4月9日

<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから

「お味噌汁復活委員会」は、味噌汁の大切さをあらためて発信していこうと、2014年夏にFacebookページにてスタートしました。世話人、お味噌汁復活ライター、一般読者が思い思いの味噌汁を投稿しています。

味噌汁の出汁・味噌・具材を、それぞれに深く楽しく考え広め、毎日の食卓に味噌汁をいただく習慣を復活させるべく、活動の場を広げています。

私コイタは第1期からお味噌汁復活ライターをさせていただいております。ここでは私の書いた記事をまとめて紹介しています。

テーマ:こくしょうシリーズの2
「こくしょ 」

先月「けんちん汁」を味噌で味付けしたものを「こくしょう汁」と呼ぶというお話を書かせていただきました。

調べてみますと、「こくしょう汁」や「こくしょう」と呼ばれる郷土料理は全国各地に点在しています。由来は諸説あるそうですが、伊豆の「国清寺(こくせいじ)」発祥の精進料理だからという説をよく聞きます。実は「濃漿(こくしょう)」という、肉や魚などをよく煮込んだ濃いみそ汁(今でもある料理で言いますと、「鯉こく」は鯉の濃漿の略だと言われています)が本当のところではないかな~と睨んでいるのです。あくまで私個人の見解です。

実は先月の記事を書いている時に「はっ!」と気づいたのですが、岐阜県の中津川市付知町にも「こくしょ」と呼ばれる、お葬式などの時にいただく、切昆布、根菜、豆腐やコンニャクなどを煮た具沢山な汁物があったのです。ちなみにこれは醤油で味付けしていますが、醤油と言っても、このあたりの昔の田舎で各家庭で仕込まれる、柔らかめの味噌に竹ザルを突っ込んで汲みとった「たまり醤油」を使うのが一般的だったようです。

今回はその「こくしょ」を手前味噌で作ってみました。実はこの料理は私の住む恵那地域で大晦日に食べる「年取りのおかず」という料理とほとんど同じものなので、とても大好きなのですが、味噌味にするのは初めてだったのでちょっとドキドキでした。

作り方は、大ぶりに切った具材をたっぷりの切昆布と一緒にただ煮るだけです。具材はその時あるものでオッケー。ただ精進料理ですので動物性のものは入れずに作ります。ある程度具材が柔らかくなったところで味噌を溶き入れます。普通の味噌汁ならこれで完成ですが、この料理はここからさらにグツグツ煮込んでからいただきます。サトイモが煮崩れようが、豆腐に鬆(す)が入ろうがおかまいなしで煮込みます。むしろ鬆が入って固くなった豆腐に味が染み込んで美味しいんですね。今回は厚揚げで作ってみましたが、これもまたコクが出て良いものです。

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「こくしょ」
出汁:切昆布、乾シイタケ
具材:切昆布、乾シイタケ、サトイモ、厚揚げ、コンニャク
味噌:手前味噌


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