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ハイゼンベルグの不確定性関係

量子の位置と運動量は同時に正確には決めらないというのがハイゼンベルグが提唱した「不確定性関係」である。どういうことだろうか。ハイゼンベルグは次のような思考実験を行った。

例えば、電子を観測しようとするには顕微鏡が必要となる。この場合、電子の位置$${x}$$を測定しようとして光を当てたとすると、光の波長$${\Delta x \approx \lambda}$$程度の誤差が生じてしまう。

電子の位置を正確に求めようとすると、波長の短い光を使わなければならない。ただ、光は電子と相互作用をしてしまい、電子に運動量を与えることによって位置をずらしてしまう。そのため、光の運動量はできるだけ小さくしなければならない。光子1個程度にする必要がある。光子の運動量$${p}$$は波長と$${\lambda}$$とは$${p = \hbar/\lambda}$$の関係がある。ここで出てくる$${\hbar}$$は、プランク定数を$${2\pi}$$で割った定数。

そうすると、電子の運動量の誤差$${\Delta p}$$は$${\Delta p > \hbar/\lambda}$$となる。$${\Delta x \approx \lambda}$$をこの式にいれれば以下になる。

   $${\Delta x \Delta p> \hbar}$$

これが不確定性関係と呼ばれるものである。量子の位置を正確に測定しようとすればするほど、運動量の誤差が大きくなり、逆に量子の運動量を正確に測定しようとすればするほど、位置の誤差が大きくなる。つまり、ハイゼンベルグは不確定性関係を、観測や測定に関わる問題としていた。しかし、これは量子が持つ特有の性質で、「不確定性関係」ではなく「不確定性原理」とも呼ばれている。量子の本質はゆらぎであるということである。

ファインマンは世界中で読まれている教科書「ファインマン物理学」の中で、不確定性原理について次のように述べている。
The uncertainty principle “protects” quantum mechanics.
(不確定性原理は、量子力学を“防衛”するものである。)

量子論は危うい関係性のもとに築かれている。


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