見出し画像

量子コンピュータとはなんだろう

量子コンピュータに対して、これまでのコンピュータは古典コンピュータと呼ばれます。現在、使われているパソコン、スマホ、スーパーコンピュータも古典コンピュータです。
量子コンピュータと古典コンピュータの違いは何でしょうか?

古典コンピュータで使われるビット(古典ビット)は、0または1のどちらかしか取ることができません。量子コンピュータのビット(量子ビット)では、量子力学の重ね合わせの原理を使って、0と1のどちらも取ることができます。古典ビットはどちらかの値しか取れないため、2つの値をとれる量子ビット1つに対して、古典ビットは2つ必要になります。

古典ビットと量子ビットの違い

量子ビットが2つになると、00、01、10、11の4つの状態が作れますが、古典ビットでこれを実現するためには、4つのビットが必要になります。
量子ビットが3つになるとどうでしょうか?
000、001、010、100、011、101、110、111の8つの状態を3つのビットで実現できますが、古典ビットは8つ必要になります。
量子ビット10個では、古典ビットは1024個が必要となり、量子ビットの100倍ものビット数が必要となります。N個の量子ビットに対して、古典ビットは2のN乗個が必要になります。量子ビットが50個にもなれば、古典ビットは1兆の1000倍ものビット数にもなり、現在のスーパーコンピューターと同等のビット数を扱うことができるようになります。

このように、量子コンピュータは、量子力学の重ね合わせの原理をたくみに活用します。その他にも、量子もつれやコヒーレンスといった量子力学が持つ性質をうまく活用して、量子コンピュータは動作しています。

2019年、Googleは量子コンピュータと世界最大のスーパーコンピュータを比較し、量子超越を実現しました。量子超越とは、古典コンピュータよりも、量子コンピュータの計算能力が高いことをいいます。Googleが使ったのは、53個の量子ビットでした。量子コンピュータはスーパーコンピュータよりも10億倍速いことを示したといわれています。

ただ、現在の量子コンピュータは、ノイズに弱いため、計算エラーを訂正するために必要なビット数をまだ実現できていません。Googleは、ある特定の計算アルゴリズムについて量子超越を実現しました。そのため、現在、実現できている量子コンピュータは、NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer)という誤り訂正のない中規模の量子コンピュータといわれます。誤り訂正の機能を持つ量子コンピュータが実現されるのに20年かかるともいわれています。

誤り耐性型の汎用量子コンピュータが実現されれば、新薬の創生や、古典コンピュータでは難しい計算など、さまざまな分野で、我々はその恩恵を授かることになるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?