合格の先の世界
はじめに
資格試験を一度も受けたことがないという人はおそらくほとんどいないのではないでしょうか。私自身もこれまでにいくつかの試験に挑戦してきました。その経験を生かし、ワインスクールでも資格試験対策講座の講師を13年間務めています。
そして大事なのは、「その資格取得を、その後の人生にどう生かせるか」ここに尽きます。
私の業界で言うと、「ソムリエ」の資格を持っている人は約3.3万人(2020.1月時点のデータ)。2020年と2021年の合格者を含めるとそれ以上となりますが、その中で実際にソムリエとして専門の職業に就いている人はどれだけいるのか数値化をすることは難しいですが、実際のところそう多くはないと考えています。
トップソムリエと呼ばれるための一つの指標となっている各種ソムリエコンクール。そこに挑戦するソムリエは、私の時代で言うと100〜200名程。コンクールで良い結果を出すには、相当な訓練とその継続が必要をなりますが、数字を見る限り、挑戦者は資格保有者の中でもほんのわずかということになります。
もちろんコンクール出場だけが、研鑽の継続の指標になるわけではありません。ワインや各種飲料を取り扱う仕事の現場や、それに関連する仕事に従事したり、目標を立てて継続して勉強を続けられている方々も多くいらっしゃるでしょう。
資格を取得してから継続してその分野に関わるモチベーションを保てるかが、それまでに費やしてきた時間と努力を、本当の意味で形にできるかにつながっていく。より理想的なのは、たとえ次の資格を目標にしなくても、磨き続ける努力を継続できる状態だと考えています。
資格を取る理由
資格を取るまでの努力の過程自体が自分の能力を向上させるのは確かです。難関資格合格を達成できるほどの努力の継続は、確実に自分を成長させてくれていることは間違いないでしょう。まして自分の専門外の勉強であれば、それに対する時間の捻出ができていること自体、相当な努力と意識の高さが必要となります。
ただし、資格を取ったからまた次はどれにしようか、というのを繰り返していると、なかなか努力の成果は積み上がっていかない。「あるレベルに達したところでまた別のことを振り出しから」ということを繰り返すのは、あまりおすすめできません。
今、多くのことに挑戦できる時代だからこそ「特化する」ことの重要性が増してきていると実感しています。
ある業界で結果を出している人は、必ず積み上げができている。誰もが最初は初心者。一歩ずつ着実に積み上げを重ねてきたからこそ、その分野で一目置かれる存在になれるのです。
能力の分散化ではなく、取得後も継続して同じ道のその先を目指して走り続けることが、本当の意味での資格取得につながる。資格はその入り口となる。
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