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SNSとの向き合い方


ソムリエである私が、こうしてTwitter(ツイッター)に関するお話をするのは、珍しいことかもしれません。

昨年から言われ続けている「変化の時代」

飲食業界にいる私が、これまでこの仕事に向き合ってきて、出した一つに答えが、ワインディレクターという働き方であり、講師という道でした。

変化を受け入れ、新しい形を作ることが求められています。

戻ることを待つのではなく、前に進めるための行動を具体的に起こすこと。

その一つの形が、私の場合、「話して伝える力」に加えて「書いて伝える力」を伸ばし、発信することでした。

なぜTwitter発信を復活させたのか

それはズバリ、「コロナの影響」です。

緊急事態宣言が出された昨年の春。正直私は混乱しました。ワインディレクターを務めている各レストランはほぼ営業もできない状況。
講師を務めているワインスクールでは、対面での講座の中止を余儀なくされました。

幸い私は、ワインや日本酒に関わる業務に複数の形で関わっており、ワインのセレクトや解説の作成、WEBや雑誌の取材、スクールの授業の動画撮影等、リモートでできることも含めて、自宅でできる仕事があるため、仕事が完全になくなるということはありませんでした。

とはいえ、多忙を極めていたコロナ以前から比較すれば、やはり時間に猶予があり、関わっている各社にも思うように貢献できず、もどかしい日々が続いていたのです。

そこで思いついたのが、2010年に開設し、その後ほとんど動かしていなかった「ツイッターの復活」でした。

緊急事態宣言の直前に、たまたま本屋さんで見つけた「寄り添うツイッター」という本を、自宅で読みふけりながら、「自分に今できるのはこれだ」と直感的に思ったのです。

それまでに放置していたツイッターを久しぶりに開き、呟きを再開しました。

ここで自分への約束として誓ったのは「毎日必ずツイートし続けること」
これまでに積み重ねてきたワインの勉強と同様に、何事も成果を出すためには、地道な継続が必ず必要となる。

そこからは誓いどおり毎日ツイートをしました。少ない日でも5ツイート。多い日は15ツイート前後を発信し、フォロワー様にとって、できる限り有益なツイートを心がけました。


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Twitterフォロワー数 0⇨1,000/10年⇨4,800/9ヶ月

復活をさせた当初、フォロワー数は、およそ1,000名様ほどでした。普通に考えれば、これでも多いほうなのかもしれません。
しかし周りを見渡せば、数万から数十万というフォロワーを抱えるアカウントがたくさんあることに気づきました。

増えればいいとは限りませんが、フォロー数に対して、フォロワー数が明らかに多い人は、「この人の呟きを見続けたい」と思われる発信を大量にしているからこそ、それほど多くのフォロワーがついていることに他なりません。

自分もやるからには「有益な情報をたくさん発信し、多くの方にフォローしていただきたい」

素直にそう思い、ステイホームをしながらも、日々「良い発信とは」について考え続けていました。

ツイートで心がけていること

まずツイートのコンセプトを新ためて考え直しました。

ただその時思いついたことを、思いついたままにツイートしていたのでは、きっと誰のためにもなりません。

まずは軸を作るために、「自分の強みとは何か」を考え、専門領域である、ワインに関することを中心に呟いていきました。そうした中で、反応のいいものもあれば、当然ながら悪いものもあります。

発信内容をできる限り客観視するように努め、自己満足な発信にならないように気をつけながら、周りからのリアクションが全てと考え、一言一句に注意を払い、言葉の言い回し、伝え方に対しても勉強を重ねたのです。

自分がこれまでやってきたこと、得意なことで、人の役に立てることは何かを考える。

これを発信の基本原則とします。どれほどいいことを呟いたとしても、誰が、どのタイミングで言うのかが伴っていなければ、良い反応を生み出すことはできません。

そういう意味でも、テクニックに頼るのではなく、「自分は何者で、何を期待されていて、どう伝えるのか」を考えることが、発信で成果を出すために、最も重要なことであると理解しています。 
 
これは仕事で成果を出すために必要な要素と同じこと。つまり、ツイッターで成果を出すことができれば、仕事力の向上にもきっとつながる。

そして、ツイートで挑戦をすること。これもとても重要で、日常のルーティン的なツイートを繰り返しても、見ている方からしたら、次第に興味は薄れてきます。

そういう意味でも、これまでになかったようなツイートを何回かに一回入れるようにすることが、フォロワー様の新たな発見に貢献し、満足度を高めたり、今後、新たにフォローしていただくためにも、とても重要だと考えています。

インスタグラムとの向き合い方

ツイッターと同様に意識したのが、インスタグラムでの発信の再開です。

こちらも、日々自宅で過ごす中で、少しでも多くの方に、自分が持っている経験や情報ををシェアしたいと考えたからです。再開当初は、フォロワー数はおよそ1,300名様ほどでした。

「ツイッターとインスタグラムの毎日発信」

これに対して、ソムリエで本気で向き合っている人を私は知りません。だからこそやろうと決意しました。

この自粛期間、ワインの知識を深めるだけでなく、文章力を伸ばすための勉強、人が望むことを発信する力、書いて伝える力、これらを磨くことに集中しました。

フォロワー数が5,000名を越えているソムリエの方は、その時見た限りは一人も存在しませんでした。しかし、他の業界の方を見ると、もちろんたくさんいらっしゃいますし、料理人の方も数万人のフォロワーを抱える方が多くいる。「我々も負けずに発信しなければならない」そう思いました。

とはいえ、料理とワインではマーケット規模が違います。なぜなら、食べるもにはかなりの方が興味を持ちますが、「アルコール」に関しては、全ての方が興味があるわけではなく、そもそも体質的に合わない日本人の方も多くいらっしゃいます。

これはまさに、レストランにおける、ゲストのニーズにもそのまま当てはまるわけです。レストランにご来店されるゲストは、全員が食事をしますが、全員がワインを飲むわけではありません。まさにそういうことなのです。

そう考えれば、SNSの世界でもかなり厳しい戦いとなることは予想されますが、かと言って自分がこれまで積み重ねてきた道。これを今さら変える気は当然ありません。

自分の力を信じて進むのみ。たとえ市場規模が大きくなくても、それを言い訳にするのはあまりにもナンセンス。しかもワイン以上にニッチな世界は世の中にたくさん存在していることでしょう。であれば、自分のやるべきことは一つ。信じて発信するのみ。人にとって有益な情報とは何か。試行錯誤の発信の日々が続きました。

結果、復活してから約9ヶ月経った現在。ツイッターのフォロワー数は3,800名増加し、フォロー数に対して大きく上回る4,800名。
インスタグラムは、およそ1,000名増加し、2,300名ほどの方が、現在フォローしてくださっています。

インスタグラムは、言葉以上に写真の力が重要となります。ツイッターと同じことを発信するのではなく、ストーリーズも駆使しながら、インスタグラム独特の世界観を大切にしつつ、日頃から良い写真を取るタイミング、美しいものを切り取る瞬間を逃さないように気をつけています。

noteで伝えたい二本の柱

昨年より、まさに今書いているこのnoteをスタートしました。

対面でサーヴやセミナーができない以上、文章という形で発信することが、今の自分にできることだと考えたからです。

noteにおける二本の軸の一つが、「料理とワイン、日本酒のペアリング」

そしてもう一つが、「ワインテイスティング」です。


これらは、自分が最も専門としている領域であり、対面で伝えることができなくなってしまった以上、文章力を磨き、その上でオリジナリティをもって伝えようと考えたのです。

専門領域であることから、通常の仕事ではご料金をいただいている内容であるため、noteでの発信においても、有料記事として発信することが、日頃お支払いしていただいている企業や個人様への礼儀だと考え、そのようにさせていただいています。

毎日発信して気づいたこと

毎日発信していて気づいたことは、「フォロワー数が多いからいいというわけではない」ということ。

フォロワー数よりも、「どれだけリアクションをもらえたか」、「どれだけ自分の発信をシェアしてもらえたか」、「興味をもっていただきコメントをしてもらえたか」が、何よりも大切だと考えています。

たとえフォロワー数が1万人だとしても、いいね数が数人程度、リツイートはなしでは、良い発信とは言えません。であれば、フォロワー数が1,000人だとしても、数百人からのいいねがあり、リツイートもしてもらえるほうが、はるかに価値があります。

とはいえ、リアクションをもらうためにも、まずは多くの方にフォローしていただくことが大切です。

私は、毎日発信、有益ツイートを心がけてきた結果。ツイッターを通して、多くの魅力ある人達と出会え、YouTubeやブログでコラボをしたり、テイスティングや取材のお仕事も多くいただけるようになりました。結果的にフォロワー数も増加し続けています。

SNS発信は自己成長とチャンスの創出につながります。

見ることも大切ですが、自分から発信をすることが大切。発信を続けることで、「相手にとって有益な情報とは何か」を常に考えるクセがつきます。

発信を続けていくことで、多くのチャンスに恵まれる。そしてそのチャンスをしっかりと活かせるように、日頃から自分を磨いておくことが重要となり、そのこと自体が人生の大きなモチベーションとなります。

つまり、発信するということは、自分の強みを生かして、人に貢献すること。自己を成長させ、さらにそれをまた周りに発信するという循環を作るための、最適な形の一つだと私は考えています。

田邉 公一


最後までご覧いただき、心より感謝いたします🥂