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TikTok

先日、欧州連合(EU)の警告を受け、中国のBytedanceが提供するスマートフォンアプリ「TikTok」の簡易版アプリ「TikTok Lite」の一部機能が欧州圏内で停止された。米国議会でも「TikTok」の利用を禁止する法案にバイデン大統領が署名をするなど、法的な面からも規制が広がりつつある。
インターネットと接続されたアプリケーションの構造上、ユーザーのデータはサービスを提供する企業に収集されるが、中国製のアプリケーションの場合、中国政府が企業に要請をする事によって、国家が一般人を含む他国民の情報を掴む事が出来るようになっており、こうした背景もあり、世界規模で法規制が急がれているのであろう。
私は昨年、スマートフォン自体の利用を止め、フィーチャーフォンを利用する事にした為、TikTokのみならず、あらゆるスマートフォンアプリが孕むセキュリティ上の危険性や、それらが心身へ及ぼす悪影響とは無縁の生活を送っているが、スマートフォンの利用を停止した結果、オンライン上のプラットフォームに素人が投稿した低質なコンテンツや、真偽定かならざる情報を一切目にする事がなくなり、空き時間を自身にとって非常に有益に使う事が出来るようになった。現在、情報源として日本経済新聞の朝刊・夕刊を購読しているが、紙の新聞の方が、網羅的・時系列的に情報が得られ、且つ、大局的に時勢を捉えられる為、意思決定に用いる情報を手に入れるには、電子的なメディアでない方が良い事が分かった。
たかだか一四〇字の呟きでコミュニケーションが完結するSNSが流行して久しいが、TikTokに至っては殆ど意味の為さない映像を投稿するプラットフォームに過ぎず、最早、コミュニケーションツールですら無い。個人ユーザーは娯楽目的で利用するのであろうが、法人には有効な活用方法が見当たらないというのが正直な話である。私自身、インターネットの進化・発展をかれこれ二十年以上、自ら体験し、或る意味において歴史の証人と化しているが、ウェブ上のコミュニティというものは、分かり易く、利便性が増す程にユーザーの質の低下を招くものと相場が決まっており、TikTokに関しては映像メディア故に文字情報よりも中毒性が高く、セキュリティ上の脆弱性よりも、若年ユーザーの読解力の低下、それに付随して生じる教育上の問題の方が甚だ深刻である。


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