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○日本語教育・日本語教育学評論

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日本語教育と日本語教育学などで折々に感じたことを発信しています。
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#文法

Conform to the norm、つまり、「規範(正しく適切とされていること)に準じる」に注目するばかりでよいか

以下、Twitterの他の人へのレスの足し算です。  昨日の大会での議論でもそうだったけど、そもそも、言語の理解ってなんだ? 産出(運用?)ってなんだ?などを考えてほしい。また、昨日の習熟の議論は、conform to the norm、つまり、「規範(正しく適切とされていること)に準じる」という観点ばかりで論じられている。お笑い芸人は日本語熟達者!?  「まずはconform to the normが必要!」と言う人がいる。昨日も柔道の型などの話が出ていた。日本語教育に

日本語教育研究者と日本語教育の実践 ─ 研究で培われた「鋭敏な目」から洞察を

 この数日でTwitterで上のようなテーマとなる発信をしましたので、まとめます。 *便宜のために番号を付けました。ぜひ、おもしろいと思ったの、レスください。 1. 日本語教育に関心を寄せる研究も「研究」なのだから、研究者が「研究」として、「役に立つ」とか「役に立たない」とかは考える必要はなく、自立的・自律的にやればいい!? それだと、日本語教育が研究者の「ダシにされる」ような! そして、そんな傾向は以前から感じている。 2. 一方で、それまで長く日本語教育に従事していた

言語教育(日本語教育)を企画するときにまず認識しておくべきこと

 標記のこと、箇条書きで書いてみたいと思います。 1.学習者の第一言語(あるいはすでに習熟している言語)と目標言語の距離  2つの言語を考えた場合に、「兄弟言語」(や「親戚言語」)か、「他人言語」かをまず認識しなければなりません。ヨーロッパの諸言語は、端的に「兄弟言語」か「親戚言語」です。Language distanceの研究では、ヨーロッパ言語間ではざっくり言って、類似しているものも含めて語彙が70%重なっているそうです。  ヨーロッパ言語話者だけでなく、アジアやアフリ