160207_絵を描くねこスタンプ1-02

夢の絵を描いたねこ

01

あるところ、ある時代にねこがいました。

このねこは絵を描くことが大好きでした。

ねこはいつも楽しそうに真っ白い紙に

自分の好きなものを描いていました。

02

ねこはいつも何か面白いことを探していました。

自分の心がワクワクして震えてしまうようなこと。

想像しただけで飛び上がってしまうようなこと。

そんな面白いことはないものか。

ねこはいつも探しています。

03

ねこはいろいろと考えてみましたが、

なかなか特に何も思いつきません。

「なんかないかにゃあ」

考えることにも飽きてきて

ねこはごろりと眠りました。

04

ねこはいろんな夢を見ました。

その夢のほとんどを覚えてはいませんでした。

だけど何か素晴らしいことがたくさん起きたような気がします。

ねこは夢を見ると楽しい気持ちになるので

眠ることが大好きでした。


05

ねこは夢の中で、ウットリしていました。

あるいは恥ずかしい思いをしたのかもしれませんでした。

とにかく胸がドキドキして、

飛び跳ねたくなるような経験をしました。

だけど、ねこはそれがどんな経験だったかを覚えてはいません。

06

ねこは次の瞬間泣いていました。

これまでに経験したことのない悲しさが襲ってきたようでした。

恐怖と怒りも感じたような気がしました。

誰かとの別れだったような。誰かにすごくバカにされたような。

夢の中だということはわかっていたけれど

ねこの心は静まりませんでした。

だけど、ねこはそれがどんな経験だったかを覚えてはいません。


07

これが夢であると気がついた

ねこは思い切って高いところから

飛び降りてみることにしました。

ものすごく高いところから飛び降りたので

とても早いスピードで地面に向かって落ちていきました。

だけど地面すれすれのところでねこは空を飛ぶ方法を思いつきました。

ねこは自由に空を飛ぶことができることに気がつきました。

08

ふわふわどこまでも飛んでいきます。

上空からは色々な景色が広がりました。

見たことのない家。

見たことのない山。

見たことのない湖。

夢の中の世界だと気づいてはいましたが、

それはそれはものすごく美しい景色でした。

ねこはどんどん上昇して世界の果てにたどり着きました。

わあこんなに胸がドキドキしたのは初めてだぞ。

ねこはこの経験を絵に描きたいと思いました。

09

ねこは目を覚ましました。

いろんな夢を見たけどあんまり覚えてないにゃ。

010

考えても考えても楽しくてワクワクした夢を

思い出せなかったので、

ねこはぼんやりとしている頭の中を

得意の絵に描いてみようと思いました。

まずは鉛筆で下描きでもしてみようかな。

ねこはなんとなく鉛筆を走らせてみました。

011

「うん、これだ!」

ねこが描いたのは、「ジュース」でした。

そういえば起きてからまだなにも飲んでいません。

ねこは自分がジュースが飲みたかったことに気がつきました。

ねこはさっきの夢を描こうとして、

自分が欲しいものを描いたのでした。

「ジュースが飲みたいにゃあ」

012

ねこは冷蔵庫にジュースが入っていることを思い出しました。

「あー美味しい」

ねこは心がとても満たされました。

あれ?でも

いろんな夢を見たけどあんまり覚えてないにゃ。

ねこは再びワクワクした夢を思い出すために

絵を描くことにしました。

013

「うん、これだ!」

ねこが描いたのは、「スポーツカー」でした。
ねこはまだ小さかったので、車に乗れませんでした。

だからこそ、今車を運転してみたいと思ったのでした。

ねこはさっきの夢を描こうとして、
自分が欲しいものを描いたのでした。

「かっこいい車に乗りたいにゃあ」

014
次の瞬間

ねこの家の前に車が届きました。

「わー不思議だにゃあ」

そう思いながらもねこは初めて車を運転してみました。

ねこは心がとても満たされました。


どうやらねこが絵を描くとその通りになるようでした。

ねこは再びワクワクした夢を思い出すために

絵を描くことにしました。