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旅行時のスマホ運用(ネット接続)について

はじめに

旅行用のガイドブックっていつ頃から買ってないんだろう…スマホで地図や行きたい場所の情報がリアルタイムで調べることが出来るようになって何年も経ちますが紙媒体の利点はいまや電波事情や電池切れなどのトラブルに左右されない事ぐらいでしょうか。

僕は旅行中にSIMフリーのiPhoneとCellular版のiPad miniを持ち出すことにしています。地図に関してはあらかじめ地図データをダウンロードする必要がありますが通信不可能でもmaps.meというオフライン地図アプリやgoogle mapsもオフラインマップ機能が使えるようになっています。つまり限定的ですがネットに繋がってなくても地図を参照することは可能なのです。オフラインマップのお世話になったのは一昨年の暮れにバリ島に行った時です。空港で買ったSIMカードが何故か3日で使えなくなりホテルのWiFiで地図をダウンロードしてペニダ島であまり迷わず済んだという事がありました。

またタイではバンコクからアムパワー水上マーケットという場所に行く際にロット・トゥー(乗り合いバン)の乗り場が移転したのを知らずに無人の乗り場で途方に暮れましたがその場でスマホを使って移転先を調べ事なきを得ました。常に現地人と確実なコミュニケーションがとれるとは限らないですから日本語で情報が得られるのは大きいです。そもそも移動中に宿や交通手段を手配することも出来ますから世界中どこにいてもネットに繋がることで得られる利便性を利用しない手はありません。

もちろん、旅には偶然や現地人とのコミュニケーションで得られたうえでの”発見”という大きな喜びがあることは否定しません。しかし時間に余裕がない人や最後の命綱として通信手段の確保は重要です。

通信方式 WiFI・携帯通信回線

前置きが長くなりましたが要は旅行時も便利にスマホを使いましょうね、という事です。ではどうやって?ということですがネットに繋げるには①WiFi電波を利用するか②携帯通信回線の二通りです。個人的な意見ですがこの記事では海外旅行時の通信手段として②の携帯通信回線を使ったネット接続を推奨します。

まずは安全で無料、そして許容範囲のスピードのWiFiサービスがあればそれを利用するべきですが常時そうとは限りませんからね。

WiFi

①WiFiですががこれは空港や飲食店、ホテルなどにネット接続が出来るWiFiスポットが設置されてたりしています。そこに日本から持ってきたスマホをそのまま接続できる、そして無料もしくは店を利用すると無料というのがメリット、しかし数十メートルの範囲でしか電波が届かない、そして必要時に使えないかもしれないのがデメリットですね。まあ使えるあいだは使っておきましょう。

しかしリスクはあります。無料のWiFiスポットはそもそも偽装されていたり暗号化されてなかったり暗号化されていても古いWiFiルーターだと攻撃される可能性があります。安全なwebサイトにアクセス(URLがhttps://で始まる)するならそこでのやり取りは暗号化されますがそうでない場合は暗号化せずに通信されるため危険性が増します。これは海外に限った話ではありませんが。

またモバイル型のレンタルWiFiルーターといって根本的な通信手段は携帯回線を使いますがルーターからはスマホやタブレットにWiFi電波を使って接続する機材がありましてこれを一日あたり幾らでレンタルする、というサービスがあります。前述のWiFiスポットを持ち歩く、という感覚ですね。これのメリットは日本語でのサポート、WiFiルーターが一つあれば電波の届く範囲で複数人が同時使用可能、デメリットはそれなりの料金、荷物がひとつ増えてWiFiルーターの電池管理も必要というとこでしょうか。僕は使ったことがないので正直なところよく分かっていません。なにより機材が増える時点で却下です。

携帯通信回線

②携帯通信回線ですがメリットは電波さえ届けば移動中でも使えるという事。そしていつでも好きな時に使えるという事ですね。回線スピードはいろいろな条件で速くなったり遅くなったりしますが下手なホテルのWiFiは改善しようがありません。携帯通信回線なら居場所を少し変えるだけで良くなる場合があります。そして余計な荷物が増えない。ただし後述のSIMを入れ替えて使うため旅行中は日本で使っているSIMを失くさないようにくれぐれも注意して下さい。落とすと帰国した時しばらく不便になります。他にもeSIMと呼ばれる物理的なSIMが不要な物もありますがスマホが対応していないと使用できません。eSIMは使える機種が限られている、そして安いプランを知りませんのでここでは触れずにおきます。

SIMとは

皆さんが今使ってるスマホは通信サービスを提供する会社と契約して通信通話をしているはずです。docomo・au・Softbankなどの3大キャリアもあればMVNOと呼ばれる先程の3社の回線インフラを借り受けて客に対して通信通話サービスを提供する業者も存在します。いわゆる格安SIMとかと言われているサービスですね。いずれにしても電話機にSIMカードと呼ばれる電話番号や契約者を特定するための情報が記録された小さなカード、といいますかICチップを電話にセットして初めて通信と通話が出来るわけです。ほとんどの人はスマホの契約時にSIMを挿入したら見ることはなくなりますが。

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SIMの表裏 大きさは3種あるが最近は両端のnanoサイズが主流

スマホは最初SIMロックされている

基本的に電気通信事業者(以下キャリア)は顧客と長く契約したいのでキャリアが売るスマホには最初SIMロックが掛かっています。同一キャリアのSIMでないと使えないのです。つまりdocomoで買ったばかりのスマホに友達のSoftbankのSIMを挿しても使えないのです。スマホを買い換えるのに2,3年程度かかるでしょうから当分の間はそのキャリアと契約せざるをえない、という顧客囲い込み商法が数年前まで行われていました。これが2015年5月にルールが変わり今では条件を満たせば(同一電話番号で100日以上契約しているなど)どこのキャリアのSIMを挿れても通信通話できるようにスマホのSIMロック解除が出来るようになっています。条件さえ満たせばオンライン、しかも無料でロック解除が出来るのです。旅行前にはSIMロックが掛かっているスマホはSIMロックを解除しておきましょう。

SIMロック解除で不利益は発生するか?ですが基本的に不利益はありません。キャリアのサイトには”SIMロック解除を実施した場合、携帯電話機内に保存されていたデータが変化・消失する場合があります”などと書かれていますが設定やデータのバックアップ自体はスマホを持つ以上やるべき事ですから何か問題が発生すればバックアップからの復元をするだけです。強いてあげれば日本で契約中のキャリアSIMを外している間はキャリアメールが使えないぐらいでしょうか。ただこれもメールアプリの設定でキャリアSIMを挿れてなくても出来たような記憶がありますが僕は現在MVNO回線を契約してますので確認ができません。

海外データローミング

そのほか日本で契約したSIMのままで海外データローミングというサービスも存在します。日本のキャリアと手続きするだけで他国の提携先回線業者のインフラが利用できるという事ですね。ただしこれは契約内容や誤操作でかなり高額になるトラブルがありますからデフォルトでデータローミングがオフになってるはずです。おすすめはしません。

しかし楽天モバイルでは現在2980円/月の基本プランだけで海外66カ国でひと月2GBまで無料でデータ通信ができます。(2GBを超過した場合は最大128kbpsまで速度が落ちる)海外での利用オプションが無料と、ここは旅行者にはメリットですね。しかしどこまで有効に使えるかは分かりません。僕は楽天モバイルを1回線契約していますがなにせ海外に行けない状況が続いていますから試せないのです。

3大キャリアのSIMロック解除

どこまで海外で使えるか試したいが…

現地でSIM調達

これで晴れてSIMロックフリーのスマホを手にしたあなたはどうやって海外旅行先で使えるSIMを手に入れるか、という事になりました。国内もそうですが海外のSIM事情は一年経てば状況が変わってた、という事がしばしばあります。特にインフラを整備し始めた新興国などは前回行った時よりすごく便利になっている!という事があります。ですから現地でSIMを調達する場合は直近の情報をネットで入手して現地入りをおすすめします。

では現地調達でのメリット・デメリットについてふれていきましょう。

①買った時に通信設定をしてくれる(場合がある)。ただし言語設定を現地語か英語にしないと不要に時間がかかったりします。そして店員さんが忙しかったりすると自分でやってくれ、という事もあります。SIMを挿しただけで動く事がほとんどですが場合によっては設定が必要です。

②安い(場合がある)。物価が安い国では市中の店で買う場合、安く入手することが出来たりします。しかし空港で買う場合は到着時に通信手段が確保できるのは良いですが価格が高いこともあります。

例えばインドネシアはバリ島の場合、到着してイミグレ通過後メジャーキャリアTelkomsel社のショップがすぐ目に付きますが2千円以上とかなり高額になります。安いパッケージは売り切れと言われる説も。そして外国人が空港外でSIMを入手する時はハードルが上がります。キャリアの直営店でパスポート登録が必要だったり知人のインドネシア人に代わりに買ってもらったりなどが必要。僕は空港の割高SIMを買ったらなぜか3日間で使えなくなり現地ガイドを頼んだ時その人に代わりにSIMを買ってもらいました。

しかし空港からの送迎サービスやカーチャーターなど旅行事業をやっているKlook社が16GB/25日のSIMを800円ほどで売ってたりします。これは基本的にオンラインで注文するものです。しかし空港到着時に空港の無料WiFiから申請してすぐ手に入るかどうかはやった事がありません。送迎サービスだけを頼んだ時に”SIMカード要るなら売るよ。”と言われたのでその場で手に入りそうな雰囲気でしたが。

そうかと思えば香港やマカオなどは自動販売機でSIMが売ってたりシャムスイポー(深水埗)と呼ばれる街では有効期限が残り少ないSIMが安く売ってたりそこいらのコンビニで手に入ったりします。

訪れる場所によって身分証明書が必要だったり価格が異なったり状況はまちまち、しかも1年あれば更に変わる可能性がありますから事前の調査が重要ですね。

日本国内で海外用SIM調達

Amazonや楽天などで日本にいながら海外で使えるSIMが入手できます。僕はアジアに行く場合、AISというタイの通信業者が販売しているアジア・オーストラリア16カ国で有効なSIMを事前に買っておいて現地でアクティベーションして使う事が増えました。また、タイでは使えない、と思ったらタイ国内専用のもっと安い物が有りました。なぜかこれに関してはタイより日本で買うほうが安いです。

タイ以外のアジア16カ国用

タイ国内用

結構前の話ではありますが香港・マカオに行った時は香港用のSIMとマカオ用のSIMをそれぞれ差し替えて使ってました。2種類必要なので単純に高くつく、そして差し替えが面倒でしたが上記の16カ国用のSIMを使ったら1枚のSIMでボーダーを越えてもそのまま使えて便利でした。メリットは事前に日本で調達できるので現地で探す必要がないという事。(香港・マカオに関してはいたる所でSIMが手に入りますから入手性に関しては困りません)しかし日本語マニュアルが添付されている事が多いですが設定が必要な場合もありそのときに自力で出来るかどうかはあなた次第です。

SIMトラブル

現地で動かず困ったときはスマホの画面上端に①現地のキャリアっぽい表示があるか、②アンテナピクトは表示されているか、③APN設定は間違っていないか(アクセスポイント名設定。これが一番肝心ですが基本的に自動で設定されます、ただし手動で打ち込まないと動作しないこともあり一字一句間違えずに入力しないとネットには繋がりません)、④再起動する、⑤もしMVNO契約のiPhoneなら設定アプリから設定-一般-プロファイルからAPN構成プロファイルを削除する。これは国内の格安SIM業者の場合、SIMの接続設定がデータファイルの形で供給されているのでそれが邪魔している可能性があります。ただし帰国したら空港のフリーWiFiで契約業者のAPN構成プロファイルをダウンロードし、再度インストールしないと日本国内で使えません。⑥SIMカードを挿した時点でアクティベーションが始まりますがアクティベーション完了まで数十分、あるいは数時間かかる場合がある。これは手順に問題がなくても起き得る話です。

だいたい問題があるとすれば④か⑤だと思われますが使っているスマホによってどうにもならない事があります。比較的最近のメジャーな機種はトラブルが少ないと思いますがこれも事前にネットで使いたいスマホが目的地の国で使えたかどうかを調べればリスクが減ります。

あとSIMには幾つかのサイズがあります。現在利用されているものは標準SIM(Mini SIM)・micro SIM・nanoSIMの3種類というとこでしょうか。この2,3年の機種はnanoSIMという枠のプラスチックがほとんど無くほぼICチップのサイズのものが主流となっています。スマホを小さく軽くするためにSIMはほぼ限界サイズになってきました。いつかは物理的なSIMが無くなりeSIMのみのスマホが登場するかもしれませんね。SIMを買う際は上記の3種類のサイズで対応できるようにSIMカードサイズ毎に切れ目が付いていて必要なサイズで使用することが出来ます。保証は出来ませんがnanoサイズのSIMが手に入らず標準SIMをnanoサイズで切り出す際にICチップ部分をある程度削っても動作はしました。もちろん最近のものはnanoSIMサイズにICチップ部分が収まっています。

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必要なサイズの枠で切り離します

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nanoサイズに切り出したSIM 辺縁の金色の部分をある程度削っても動作しました

同一機種でも中身は違う!?

たとえば同じ機種名のiPhoneでも①北米版と②中国・香港・マカオ版そして③その他の国版と中身が3種類あったりします。これは単一モデルで世界中の通信方式と周波数をカバーすることが技術的、あるいはルール上不可能なので仕向地ごとに最適化を図っているからなのです。それでもiPhoneは世界の幅広い国や地域で販売されてますから最も守備範囲が広い機種、つまり何処に行ってもまず使えるスマホと言っていいでしょう。もちろんandroidも守備範囲が広い機種があります。詳しくは触れませんがルールの問題もあり日本で入手・使用できて世界中の通信キャリアで使える機種はそれなりに限られてくるわけです。

僕の結論

どの手法も一長一短は有りますが渡航先で動作報告、実績が確認出来たとしたらSIMを差し替えて携帯回線でネット接続をする、SIMの調達はどこからすべきかは渡航先次第という事、結果的にSIM運用が無理であれば安全なWiFiスポットを探す、というやり方が個人的には2020年現在で最善の渡航時のスマホ運用です。

ご参考になれば。あ、スマホを買った時に付いてくるSIMを抜き差しするピンを忘れないで。代用品はありますけどね。

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