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入管収容に司法審査を。上限も設けろ。仮放免者に就労を認めよ。〜規約人権委員会が日本の入管収容について勧告

2022年11月3日、国連規約人権委員会は、日本政府の定期報告書の審査をした結果、総括所見を発表しました。


勧告原文はこちら。

https://tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CCPR%2fC%2fJPN%2fCO%2f7&Lang=en


入管問題だけではなく、国内人権機関、ヘイトスピーチ、ジェンダー、刑事司法など幅広い分野に亘り勧告がされています。

以下、入管収容に関連する部分だけ、訳してみました。

27 以前の勧告を想起し、締約国は、逮捕又は拘禁された者が、実際には、自由の剥奪の当初から、規約第9条及び第14条に記されているすべての基本的な法的保護措置を享受すること、及び、拘禁が国連の被拘禁者の処遇に関する最低基準規則(ネルソン・マンデラルール)に完全に適合することを確保するために必要な措置をとるべきである。これには、弁護士へのアクセス、家族に連絡する権利、および必要に応じて医療処置を提供することを含む。

難民や庇護希望者を含む外国人の扱い
32 委員会は、難民および庇護希望者を含む外国人の処遇に関する締約国の対応に留意し、拘禁施設における処遇の改善計画の策定に関する情報、ならびに強制送還の予定日を決定に関する通告の送達後少なくとも2か月とすることとする退去強制手続の改訂を歓迎する。委員会は、締約国が、収容代替措置及び補完的保護の認定制度の導入を規定する出入国管理及び難民認定法の改正案の提案を検討していることに関心をもって留意するものである。さらに委員会は、締約国が長期拘禁を回避するための措置を検討する意思があることを歓迎するものである。しかしながら委員会は、2017年から2021年の間に3人の被収容者が死亡するなど、入管収容施設における健康状態の悪化による苦痛の憂慮すべき報告、ならびに在留資格またはビザを失い、「仮放免」中の個人である「仮放免者」が働くか収入を得るためのオプションのない、不安定な状況に引き続き懸念を抱いている。 委員会はまた、難民認定率が低いという報告(第7条、第9条、第10条および第13条)にも懸念を抱く。
33 これまでの勧告を考慮し、締約国は、次のことを行うべきである。
(a) 国際基準に沿った包括的な庇護法を速やかに採択すること。
(b) 移民が虐待を受けないことを保障するためのあらゆる適当な措置をとること。これには、十分な医療援助へのアクセスを含む、国際基準に沿った改善計画の策定を通じたものを含む。
(c)「仮放免」の状況下にある移民に必要な支援を提供し、移民が報酬を得られる活動に従事する機会を設けることを検討すること。
(d) ノン・ルフールマンの原則が実務上尊重されること、及び、国際的保護を申請するすべての者が、否定的な決定に対して効果的で独立した司法へ不服申立をするメカニズムへのアクセスを与えられることを確保すること。
(e) 収容代替措置を提供し、かつ、最長期間の入管収容の上限を設定するための措置をとるとともに、収容代替措置が正当に検討された場合にのみ、最短の適切な期間のみ収容が認められることを確保し、かつ、移民が収容の合法性を判断するために裁判所において効果的な手続をとることができることを確保するための措置をとること。
(f) 規約およびその他の適用可能な国際基準の下で庇護希望者の権利を完全に尊重することを確保するため、入管職員に対して移民に関する十分な訓練を保証すること。

パラグラフ4から45までにわたる、幅広い分野での勧告の中で、入管収容に直接関わるのは上記の部分なのですが、報道でこの点を中心に扱われるとは。関心が高まっているのですね。
1998年、最初に無期限長期収容について勧告された際、カウンターレポート作りに関わっていた者からすると、大変に感慨深いものがあります。

これまでのまとめは、こちら。


【2023/03/09 追記】
上記の勧告33は、以下のとおり、フォローアップ項目とされています。日本政府は2025年11月4日までに、委員会が行った勧告の実施に関する情報を提供するよう要請されています。つまり、勧告を真摯に受け止めてちゃんと改善したかどうか、情報提供する必要があるのです。それなのに、こんな法案出してしまって大丈夫なのでしょうか。


47.委員会手続規則第 75 条第 1 項に従い、締約国は、2025 年 11 月 4 日までに、パラグラフ 7(国内人権機関)、同 33(難民及び庇護希望者を含む外国人の待遇)および同 45(子どもの権利)において委員会が行った勧告の実施に関する情報を提供するよう要請される。

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