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「そこが知りたい!入管法改正案」 Q&A Q6〜Q8 長期収容と難民認定(完)
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「そこが知りたい!入管法改正案」 Q&A Q6〜Q8 長期収容と難民認定(完)

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「Q6 出入国在留管理庁の収容施設に収容される外国人は,どのような人ですか?」は制度の説明なのでほとんどコメントする必要は無いですが、

「もっとも,その外国人が日本から出国すれば,収容はすぐに終わることになります。」→在留特別許可を出しても、収容は終わります。

Q7 なぜ,長期収容の問題が生じているのですか? 長期収容の原因

「〇 現在の入管法では,日本から退去すべきことが確定した外国人については,原則として,退去させるまでの間,当庁の収容施設に収容することになっています。
〇 そのような外国人が退去を拒み続け,かつ,強制的に国外に退去させる妨げとなる事情があると,収容が長期化する場合があります。」

だから、これがおかしいのですよ。

上限なく収容することができることが長期収容の原因です。ならば、上限を設ければ良い。サルでも分かる話です。

そして、本来、入管収容は強制送還の準備のために必要最小限に用いるものです。

もしさらに詳しく、というのであれば、こちらの本に”入管収容の目的は何か――「在留活動禁止説」を批判する”という論考を書きましたので、ご一読を。

昨日書いたHardial Singh原則も

1 所管大臣は、当該人物を送還することを意図しなくてはならず、また、その目的のためだけに収容を用いることができる。

2 被送還者は、あらゆる状況から見て合理的な期間のみ収容される。

としています。

ですが、当局は入管収容を送還実施以外の目的で、合理的な期間を超えて収容しています。

それが長期収容の原因なのです。

そして、目的外収容が顕著になったのは、2018年2月28日に出された仮放免指示以後です。情報公開請求で得られた黒塗りだらけの文書が以下のものです。

画像1

画像2

ここには原則として仮放免を認めない類型が8つ挙げられています。

そのうち、以下の①〜④は治安維持のために入管収容を用いるというものです。これが予防拘禁にあたるので、許されないことは先に書きました。

①殺人、強盗、人身取引加害、わいせつ、薬物事犯等、社会に不安を与えるような反社会的で重大な罪により罰せられた者

②犯罪の常習性が認められる者や再犯のおそれが払拭できない者

③社会生活適応困難者(DV加害者や社会規範を守れずトラブルが見込まれる者など)

④出入国管理の根幹を揺るがす偽装滞在・不法入国等の関与者で悪質と認められる者

⑤仮放免中の条件違反により、同許可を取消再収容された者

⑧仮放免の条件違反のおそれ又は仮放免事由の消滅により、仮放免許可期間が延長不許可となり再収容された者

これって、送還のために必要な収容ではないですよね。条件違反の見せしめです。

そもそも仮放免中の条件自体が不合理なものが多いのです。住んでいる都道府県の外に出るのには許可が必要とか、引っ越しは事前許可が必要とか。

かつては、条件違反があっても注意して終わりということが多かったのですが、この指示以後、軽微な条件違反でも仮放免が取り消され、この指示に従い仮放免許可がされない人が続出しました。

厳格化問題はこちらに書かせてもらいました。

さらに、仮放免指示にある以下の2類型について。

⑥難民認定制度の悪質な濫用事例として在留が認められなかった者

⑦退去強制令書の発付を受けているにもかかわらず、明らかに難民とは認められない理由で難民認定申請を繰り返す者

入管は黒塗りの仮放免指示を出す1か月半前の2018年1月12日に「難民認定制度の適正化のための更なる運用の見直しについて」という方針を公表しました。

ここでは、当局が難民申請の濫用と認めた申請者については在留を認めない、つまり収容をすることを明言しています。

そして、収容を難民申請濫用防止のための手段として使うべく、仮放免許可を認めないとしたのです。

ですが、何度も言いますが、収容は送還準備のために、必要最小限に認められるものです。

入管は、難民申請の濫用を抑制するために収容を目的外利用していることを自ら認めているのです。

人の身体を拘束するのが、必要かつ最小限でなくてはならないのは、当たり前すぎてどこから根拠を持ってきたら良いかわかりませんが、例えば、日本も批准している市民的、政治的権利に関する国際規約(自由権規約)委員会が出している一般的意見35のパラグラフ18とか

2018年12月10日に日本も賛成して国連総会で採択された移住者のためのグローバルコンパクトとか(目的13)


2020年4月に出された国連移住ネットワーク 入管収容代替措置に関するWG COVID-19と入管収容の1.2とか

数え切れないくらいあります。日本の入管の立場を支持する国際文書はどれくらいあるのでしょう。

国際条約だけではないです。

日本国憲法も

第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

と定めています。

現在、入管収容は、送還の準備という本来の目的のためにではなく、治安維持と、難民申請の濫用防止、見せしめ、そして最終的には無期限収容することで自発的な送還に精神的に追い込むために用いられています。

これは、奴隷的拘束とか、意に反する苦役に服させていると言えるのではないでしょうか。

入管が収容の上限を定めないと送還ができない、などと述べているのは、収容を送還に追い詰めるための手段として使いたいからです。その認識を改め、あくまで送還の準備のために必要最小限で行うという前提で制度を組み立てれば、上限を設けている米・仏・独のように送還ができるでしょう。その実務を学びに行くべきです。

Q8 今回の入管法改正より先に,難民認定手続を出入国在留管理庁とは別の組織に行わせるなどして難民の保護を十分に行い,日本の低い難民認定率を諸外国並みに上げるべきではないのですか?

「確かに,日本の難民認定率が欧米よりも低いと指摘されることがあります。
しかし,大量の難民や避難民を生じさせる国との地理的要因などは,日本と欧米とでは大きく異なりますので,難民認定率のみを単純に比較するのは相当ではないと考えます。」

この話も色んなところで言われているので、詳しくは述べませんが、同じ国籍出身者の認定率が、諸外国と著しく異なることをどう説明するのでしょうね?トルコ出身のクルド人はいまだ日本では0人です。

海を越えてやってくるアメリカやカナダはどうなんでしょうか?

前にも書きましたが、もう一度書きます。

年間0.4%しか認定しない自らの非は省みず、申請する方が悪いという理屈ですね。

持続化給付金が0.4%しか認められなかったら、それは99.6%が濫用しているからだと考えますか?それとも制度がおかしいと考えますか?

どう考えても、制度運用が間違っているからと考えるのが普通です。

「難民認定申請者数は,平成17年には約400人でしたが,平成22年に申請から6か月後に一律に就労を認める運用を始めたところ,申請者数は,平成22年(約1,200人)から平成29年(約2万人弱)の7年間で,約16倍に増加しました。」

普通は、制度を作った側は利用者が増えたら喜ぶものです。ですが、なぜか

「そこで,平成30年に,こうした難民としての保護を求める本来の制度趣旨にそぐわない申請(濫用・誤用的な申請)の場合には在留や就労を認めないとする在留資格上の措置について,より厳格な運用を始めたところ,平成30年の申請者数(約1万人)は,平成29年から半減しました。」

こういう話になるのです。厄介者と考えている姿勢が良く現れていますね。

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東京生まれ、ほぼ東京育ち。早稲田大学卒。1994年弁護士登録。2009年から代々木上原で法律事務所経営 http://milestone-law.com/ Photo by Kanako Baba