名古屋出入国在留管理局スリランカ人女性死亡事件についての東日本入国管理センターカメルーン人男性死亡事件弁護団声明


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以下同文テキストです。

名古屋出入国在留管理局スリランカ人女性死亡事件についての声明

2021年3月26日

東日本入国管理センター内カメルーン人男性死亡事件弁護団

連絡先:弁護団長 児玉晃一

 03-5790-9886

 koichi.kodama@nifty.com

 2021年3月6日に名古屋入管収容場でスリランカ人女性がお亡くなりになりました。入管収容施設内で何度も繰り返し発生する死亡事件。本当に心が痛みます。

 私たちは、2014年3月30日、東日本入国管理センターで死亡したカメルーン人男性死亡事件の弁護団です。彼は、I'm dying!(死んじゃう)と何度も絶叫しました。後には大声を出す力もなくなり、弱々しい声で「みずー、みずー」と水を求めましたが、入管職員はこれに応じませんでした。その後、医師の手当てもなく救急車も呼ばれずに彼は亡くなりました*1。現在、水戸地方裁判所で国家賠償請求の裁判中ですが、国は入管の対応は適切であったと主張しています。何ら反省していません。2度と同じ悲劇を繰り返させてはならない。今回の名古屋の件は、そういう思いで訴訟をしている私たちをあざ笑うかのようなものでした。大変衝撃を受けています。

 入管に収容されている人の生命や健康に対する全責任は、拘束している入管側が負います。被収容者処遇規則30条は以下のとおり定めています。

(傷病者の措置)

第30条 所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。

 今回のスリランカ人女性について、支援団体からの情報提供により色々な事実がわかってきています。面会室でも嘔吐を繰り返し、3月に入ってからは嘔吐物を入れるバケツを自ら持つことすらできず、バケツを置くための椅子が置かれていたということでした。自力でトイレにいくことも出来ない状況だったという情報もあります。

 また、この女性は仮放免申請をしたが不許可になったとのことです。

 拘束されている状況で、自ら救急車を呼んだり、外部病院にかかることもできず、外に出してもらうことも許されないで、死を迎えなくてはならなかった彼女の苦しみ、絶望を思うと、胸が張り裂けそうです。文字通りに、見殺しではないですか。

 支援者からの情報によれば、最後は24時間監視体制の取られている単独室に移されていたということでした。そうであれば、必ずビデオが残っているはずです。

 出入国在留管理庁は、各議院による国政調査権または国会議員による資料要求があれば、直ちにビデオを開示すべきです。また、収容施設の運営について視察し意見を述べる立場にある、入国者収容所等視察委員会にもビデオを開示すべきです。

 その上で、国は、本件については国家賠償請求の訴訟を待たずに、ご遺族に謝罪としかるべき賠償をしてください。また、警察・検察庁は、不作為による殺人もしくは保護責任者遺棄致死罪の容疑で徹底した捜査を行い、関与者の刑事責任を追及して下さい。こういう思いをするのは、これで最後になるように。お願いします。

以 上

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