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「監理人は入管が選ぶから大丈夫」の欺瞞

前に書いた記事「監理措置のどこがダメなのか」で、監理人ビジネスへの危惧、ということを書きました。


2021年3月5日に参議院議員会館で開かれた難民問題に関する議員懇談会で入管当局がこれに回答しました。これに関して3月6日に連続Tweetしたので、ここで、Twitterでは省略した条文含めてまとめたいと思います。条文は政府が提出している改正法案です。

主任審査官が選ぶから大丈夫?

監理人に国から報酬が払われないなら、監理措置を受けた者が就労許可を得た場合ピンハネされてしまい、新たな貧困ビジネスが生まれるのではないかという質問に対し、主任審査官が適任かどうかを判断して選定するから(44条の3第1項、52条の3第1項)その資質が担保されるという趣旨の回答が入管からありました。

「監理団体」のある技能実習制度は法令違反だらけ

ですが、厚労省の発表によれば、技能実習では監理団体による監理のもと技能実習計画に基づいて実習を行っているはずの実習実施機関は2019年に厚生労働省が監督指導を実施した 9455 事業場 (実習実施者)のうち 6796 事業場(71.9%)において労働法令違反が認められたとされています。


監理団体は厚労大臣と法務大臣が許可(技能実習法23条)、技能実習計画は出入国在留管理庁長官と厚労大臣が適当と認定したものです(技能実習法8条)。
すでに、こういう実績がありながら、主任審査官がお墨付き出したくらいで不正行為防止できるというのは全く説得力ないです。

監理人選定取り消せば良い?

監理人が後に不適当なら監理人選任を取り消せる(44条の3第6項、52条の3第6項)ので、それで良いという回答もありました。
が、監理人選任が取り消されると、必然的に監理措置決定も取り消されてしまいます(44条の第1項2号、52条の4第1項2号)。監理人の非行のせいで、ピンハネ被害者となった外国人が収容されてしまうのです。

技能実習制度の反省なし

既にあまたの批判を浴びている技能実習制度の監理団体を参考にし、「監理」という名称も使っているあたりにも、自分たちは何一つ間違ったことをしていないという誤った前提で今回の政府案を出てきた入管の姿勢がよく現れていると思います。


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