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ウィシュマさんは仮放免許可しなかったのに同居していた男性B氏は申請もないのに仮放免していた名古屋入管主任審査官の判断は正に恣意的

敬愛する大橋毅弁護士の指摘を受けて、そのとおりだと思い、整理しておきます。


ウィシュマさんと同居していた男性B氏は2020年11月27日に職権仮放免されています(最終報告書本文61頁)。


ウィシュマさんは収容された2020年8月に、B氏からのDVを訴えていました(同頁)。

2018年2月28日仮放免指示(通達①)では、原則として認めない類型として、③社会生活適応困難者(DV加害者や社会規範を守れずトラブルが見込まれる者など)を挙げています。B氏はこの類型に当てはまるはずですが、職権仮放免、つまり自分では仮放免申請していないのに仮放免許可されているのです。これは、新型コロナの関係でなるべく被収容者を減らそうという入管当局の政策によるものとしか考えられません。

ですが、ウィシュマさんは仮放免許可されませんでした。

採取報告書に挙げられている令和2年4月27日付「現下の新型コロナウイルス感染症に係る状況を踏まえた仮放免の運用について(指示)」(通達②)では、2018年2月28日付仮放免指示に挙げられている8類型のう前半4類型を除く者については、仮放免相当と判断される場合にはすみやかにこれを許可することとされているとのことです(本文17頁)。

ウィシュマさんは、同類型の⑥難民申請の悪質な濫用事案として在留が認められなかった者にあたる(本文84頁)とされています。通達②によれば、仮放免相当と判断されれば速やかに許可すべき類型です。

それでも許可しなかったことについて、縷々述べていますが、通達①・②からすれば許可されないはずのB氏については、本人からの申請がないのに2018年11月に職権で仮放免許可をしました。同じタイミングでウィシュマさんに仮放免許可をしても良かったのに、後日申請があったときには通達②は有効なのに既に名古屋入管収容場は空いていたから、通達①を根拠として判断したというのです(本文85頁)。

私は通達①自体が間違っていると思いますので、B氏に対する身体拘束から解放をしたこと自体を責めるつもりは毛頭ないですが、この名古屋入管主任審査官の対応は、あまりにバランスを欠くのではないでしょうか。

名古屋入管主任審査官の判断は恣意的というほかありません。


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