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旅01-シベリアの止まった時間

富山からウラジオストックへのルーシー号は金曜午後発で日曜午前着。プールで泳げると聞いていたがそれはウラジオストックから富山の便。富山からは大量の中古車がプールに積まれるため、残念ながら泳げない。

ウラジオストックは28℃くらいあったから泳げた。ダブダブでも堂々ビキニのおばちゃんたちの隣で、地元の兄ちゃんたちと一緒に海の中にある人魚像から飛び込んだ。

駅。ロシア号は国歌が流れ、英雄を送り出すかのように出発する。僕が乗る電車はロシア号ではなく239号。格安の3等がある。深夜3:00過ぎ、ひっそりとモスクワへ向かって走り出した。

コンパートメント(部屋構造)でない3等であるが、夜は横になれる。向かい合わせのフラットシートは大人が横になれる大きさ。上にはもう1段。昼は上のベッドの乗客と下の座席に座って過ごす。実際、とても快適な電車だった。充電もできるし、24時間お湯が頂けるサモワールは使い放題。食堂車の料理はおいしく、毎日大きな駅で45分から1時間停車して大きく背伸びして日光を浴びる。バイカル湖固有種のオームリも買える(ウランウデでパッキングもあり)し、バラビンスクのいくらパンは美味でした。サバイバルナイフを持っていたからか、皆が僕のところに借りに来て、切った食材(ソーセージやサラミやら)の一部を僕に置いていく。ウォッカよりビールの彼らは僕にもどんどん飲ませてくれる。昼寝する。窓からの景色が変わらないから、時間の経過が分からない。
木の、茶と白。
葉の、緑と黄と赤。
草の、緑と赤
土の、茶茶茶。
そして、川と空の、青。
また、どうもエメラルドグリーンの建物が目立った。特に後半。エメラルドグリーンはロシア色。小説を3冊読んで、少女と新聞紙で鶴を折って、皆と食べて笑って。孤独でもなく、暇でもなく、ゆるやかな車中6泊の幸せ。

夕日が落ちて、景色は変わらず色彩が変わる。
シベリアの大平原が赤く染まり、暗闇の中をシベリア鉄道が走る。

#ロシア #2008年9月


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