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銀塩プリントとPCの画面の色味を近づけたい・番外編→ドライミニラボの可能性

これまで銀塩プリントの色表現を考えてきましたが、銀塩プリントを提供してくれるお店が減少していくばかりなのも事実です。そのような中でお店を継続していくという考えの中で、銀塩プリントではなくドライミニラボへ機器を入れ替えることに活路を見出そうとされているお店もあります。ドライミニラボはほとんどがインクジェットプリントです。昇華型など別方式では大きめのプリントには不利な形式だったりするからです。

幸いなことに、自宅から訪問できる範囲にドライミニラボを導入されたお店がありましたので、実際に注文をしてみることにしました。

まずは銀塩プリントのときと同様に、プリンターのiccプロファイルを作成することから始めました。手順は銀塩プリントのときと同様です。そのプロファイルを可視化するとこのような感じです。自分のノートPCの画面と比較してみました。

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ブルーは銀塩プリント同様かなり狭く、赤もかなり狭まっているように思えます。緑もそれなりに狭まっています。考えられるのは、フロンティア調の色を表現するためにあえて範囲を絞っているのではないかということですね。実際、メーカーサイトにはフロンティア調のプロファイルを用意しているとの記載がありますし。

DE100(ドライミニラボ)・LP5700R・QSS(銀塩ミニラボ)それぞれを比較してみました。

プリンター比較

黒線がDE100(ドライミニラボ)で内側の白線がQSS・外側の白点線がLP5700Rです。このことから、銀塩よりは広い色域が表現できて、フジフイルムのドライミニラボなので銀塩ミニラボに傾向を寄せたように思えます。

ドライミニラボとsRGBの比較も掲載しておきますね。

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では、実際のプリントとノートPCの画面との比較ではどうだったか。見ていきましょう。

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スキャニングの関係で微妙に色が違うように見えますが、実際のプリントではほぼ同じような色合いに仕上がりました。

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空だけでなく、地面の草の色合いが暖色にならず、ほぼ元データに近い仕上がりです。これだけ再現されれば校正機能も当てにできます。

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ホントに気持ち濃度が上がって暖色かなぁというくらいで気にならない差です。これくらいは充分許容範囲だと思います。

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背景の樹々が素直に元データに近い色合いでした。銀塩プリントではなかなか難しかった色合いが再現性高く表現されるのはインクジェットの優位性が分かるポイントですね。

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実際のプリントでは赤の色合いも問題なく再現されました。特に気になるところはありません。

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スキャニングの関係で色合いが若干違って見えますが、実際のプリントはかなり元データに近い色合いでした。色飽和も少なく、インクジェットの安定性を遺憾なく発揮している結果だと思います。

やはりインクジェットの仕上がりは安定性が高そうですね。お店の方にも少しお話を伺えたのですが、色の安定性を評価されていたのと、染料インクながら水にぬれても色落ちしにくいとのお話でした。また、DE100は富士フイルムが開発したプリンターヘッドで緻密で滑らかな印刷ができているとのことでした。

では、sRGBのデータをプリントするとどうなるか、1枚試してみました。

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富士フイルムの色変換がどんなものかという点でテストしてみたのですが、色飽和が大きく階調が失われている部分が多くて立体感がなくなってしまいました。これなら多少色相が変わっても階調の残る自作プロファイルで変換したものの方がモニター画面との差が少ないので実用的です。

紙の表面もインクジェットっぽさが思ったほどなく、かなり銀塩ライクな用紙でインクジェット用紙独特のにおいがなくて、インクを吸収させるためなのか凸凹の目立つ表面でなく、艶やかな表面です。

しかも、4色インクでこの色表現はコンシューマー向けの機種とはやはり違いますね。

耐久性に関してもお店の方のお話からは悪くなさそうな感じです。

個人的には色にこだわりたいときはドライミニラボでのプリントも選択肢に入ってくると思いました。というより、菜の花などの黄色がキレイにプリントできるのは、インクジェット=ドライミニラボだと思いました。これで、ブルーの色域がもっと広がってくれるとかなり優位になってくると思います。

インクジェット=ドライミニラボのテストをやってみて、銀塩との違いを実際に体験することで選択肢が増えました。なかなかドライミニラボ使用店を見つけるのは大変かと思いますが、近所にある方は試されるのもよいかと思いました。

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