見出し画像

最中のあづま袋「teiji(ていじ)」とは

◯ 着物からteiji(ていじ)は生まれました。

画像1


「着物」を、纏ったことはありますか?

現在では、もしかすると遠い存在の方が多いかもしれません。

人それぞれの印象があるかと思いますが、お好きな方も興味が無い方も最後までお付き合い頂けるとうれしいです。

ーーーー

まず、着物が形となる前の布の状態を「反物」と呼びます。
反物とは、着物一枚分の長さ約12m、幅35cmから成る布です。

わたしたちは、その布を用いて「teiji(ていじ)」と呼ぶバッグや「ひゆる」と呼ぶワンピースなどをつくっています。

画像10

着物を解き、各部位を使用し、3つのteiji(ていじ)は生まれます。
着物の再現性が失わないよう布を切らずに〝バッグの状態〟をつくっているので、端切れは出ません。

画像9


〝状態〟と不思議な言い方をしています。

形ではなくて「一時的な状態」と認識してもらえたらと。
バッグを解けば、布に戻ることに価値があると最中は考えています。

◯ 和と洋のちがい

あたりまえのように「洋服」を身に付けていますが、それが一般的になる過程の中で、区別する為に着物は「和服」と呼ぶようになったようです。

それまでは衣服とは着るものであり、全て「着物」を指していました。

ーーーー

わたしが考える「洋服」と「和服」のちがいは〝うつくしさ〟を何処に置いているのかと云う点だと思う。共に身に纏ったときの素晴らしさは当然で、和食だけ美味しい!洋食はまずい!なんてことはあり得ませんから。

この2種類の衣服を解いてみたら、ちがいが見えてきます。

「洋服」の縫代は、おおよそ1cm。身体のラインをいかに美しく見せるか、身体の可動域を考え抜かれたパターンにより、形の美しさが存在します。

一方、和服は基本的に手で縫われており、それは解きやすく、頑丈。その理由は「仕立て直すこと」が前提にあるからです。〝仕立て直す〟という少し先の未来のために残した余白の美しさを感じています。

ーーーー

最中としては、現代でワードローブの一つとなるように着物の本来の価値をそのままに、あたらしい形を提案しています。

◯ teiji(ていじ)の設計図

画像7

teiji(ていじ)は解体すると、このような状態になります。
左は[わ・WA]、右は[むすび・MUSUBI]です。

丁字路の「丁字」からていじと呼ぶようになりました。その後、生まれた[むすび・MUSUBI]は図らずして、小文字の「t」を模したような形。

◯ 「teiji」のフルオーダー

あなたがお持ちの着物、祖父母が着ていた着物で「teiji」をお作りすることができ、展示会やECサイトより受け付けています。

最中のあづま袋「teiji」フルオーダーの商品ページ

EC展示会25

本来は、ご自宅の着物が次の世代のご家族の方々へ繋がることを祈っています。もしそれでも不要な着物がございましたら、着払いでのお受け取りもしておりますので、それについてもご一報下さい。

◯ 何処で、生まれているのか。

画像8

現在、鹿児島県は南薩地方を拠点に「最中/sanaka」を行っています。
築70年以上の古民家で、70年以上前の足踏みミシンとJUKIのミシンで、薪でお風呂を沸かしながら〝暮らし〟に軸を置いて制作をしています。

大切にしたい感性をそのまま表現できるような環境を整え、生まれた衣服たちが家から溢れて、求めてくれた誰かの家でその続きの暮らしをしてくれることを願っています。

画像9

◯ 「最中」という状態を

わたしたちは、常に何かの〝最中(さなか)〟にいます。

わたしたちが生み出した衣服は、たった今この瞬間の状態を形に閉じ込めたものたちです。動画にある「ひゆる」というワンピースを解けば「ていじ」に仕立て直すことが可能です。ていじ(えり・ERIを除く)が2点あれば、ワンピースにすることもできます。

一見は洋服のようで和服のような、その最中な衣服を一緒に自由に楽しんでもらえたらとうれしいです。

ーーーー

あとここで、
ほんの少し、現代の社会状況や社会課題をお話に触れさせて下さい。

実は現在、着物は捨てられ続けられています。
かつて、換金ができる程の価値があった着物は燃やされています。祖父母の家や空き家を訪ねると、箪笥の中に残ったまま。それは全国的に起こってる現象と考えています。

画像10

悲しい話ですが、現実としてあと十年もすれば、地方で空き家は溢れかえるでしょう。きっとその空き家の中にたくさんの着物が埋もれているに違いありません。単に勿体ないと言っているのでなく、大切に着ていた人たちの記憶と共に技術そのものが消えていくことはどうしても見逃せないのです。

日本の民族衣装である着物の文化保存と捨てられ続ける先代の記憶が残る衣服を、現代に生きる我々が「愛着」で繋がるような衣服を仕立てていきたい。最中/sanakaは、そう考えています。

画像11

ーー

ただし、エコロジーやサスティナブルだけでは本質ではないと考えています。動物(人を含め)は、いつの世も種の保存のために着飾って、何かに立ち向かうとき気持ちを高めるために着飾ってきました。人のその部分は、きっと変わりません。だから、純粋に衣服を楽しんでいたら、その結果環境に良かったんだ!という世界にしたい。誰もわるくない世界がいい。

ーーーー

画像12

現在、使用している着物たちも全国各地から集まったものです。送って下さった方々へは本当に感謝しております。

ご実家にある着物をお好みの形につくり変えるフルオーダー、実際につくってみる「teiji(ていじ)」のワークショップを実施していきます。着物を捨てたくても捨てれずにお困りの方へは、お引き取りを行っております。

最中を通して、似たような世界を目指す誰かにとっての答えになれたらと、わたしはそうおもいます。どうぞ、お気軽にお尋ね下さい。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

ーーーー

問い合わせ先:sanaka.space@gmail.com
Instagram(DM):@sa_na_ka___

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?