水野洸也

小説を投稿したり、批評をやったりする予定です。

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日記#5 作者と主人公の近さについて

小説を書こうとしているのですが、いいテーマが見つかりません。最近は音楽理論を勉強しているので、それを使ったものがもう少しで書けそうだったのですが、主人公の考え方や立ち位置を、いつの間にか作者である水野洸也自身に置き換えてしまっていたので却下。以前はそのまま書き進めていたのでしょうが、最近では主人公の造形に少しでも手を抜いていると発覚すれば、即座に取りやめることにしています。 私小説と呼ばれていたものが過去にありました。フランスの自然主義小説を日本風に解釈した結果生み出された

    • 日記#4 ある程度はまともな人間性で、常識程度の知恵はあって、多少は冗談も言えるような、女としての魅力をしっかり備えている、同年代の超カワ社会人

      今回書くことは、書物というジャンルからは逸れます。ただ、一部関係しているところはあって、今回はそのあたりを掘り下げてみようと思います。 日記のタイトルですが、ある程度はまともな人間性で、常識程度の知恵はあって、多少は冗談も言えるような、女としての魅力をしっかり備えている、同年代の超カワ社会人となっています。これは何かというと、ストライクゾーン恋愛診断というものをやってみた際、自分が交際相手に求めている条件を羅列したものになっています。 どうしてこのような診断をしたかという

      • 日記#3 彼と彼女

        相も変わらず声の研究を続けています。まずは音楽の歴史から探ろうと思い、全三巻の新 西洋音楽史を読みました(私自身が欲する知識はほんの少ししか得られませんでしたが、ベートーヴェンの後世の受容のされ方について、ちょっとした知見を得ることはできました)。次に音楽分析の歴史という書物を手に取り、音楽という不可解な代物がどのような変遷を経て評価・批評されてきたのかを探りました。つまり、音を言語に落とし込むという、地獄のような難問を過去の人間がどのように取り組んできたのかを概観しました。

        • 日記#2 言語と音楽

          よく、音楽を聞きながら勉強する話を耳にします。私の母親は、高校時代にラジオを聞きながら受験勉強をしていたそうです。私自身はラジオという文化が大嫌いで、インターネットラジオも含めてほとんど聞きません。唯一聞いていたのが、荻原秀樹と風音がパーソナリティーを務めるほめられてのびるらじおですが、こちらも最近はぷっつり聞かなくなってしまいました。(CDは一枚持っていて、それが300回記念放送とか何とかで、私の好きな声優、桐谷華さんが出演しているからなのですが、この話は置いておきます)

        日記#5 作者と主人公の近さについて

        • 日記#4 ある程度はまともな人間性で、常識程度の知恵はあって、多少は冗談も言えるような、女としての魅力をしっかり備えている、同年代の超カワ社会人

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          日記#1 ラモーの和声論

          誰かが歌っているのを聞いて、特定の声に感動を覚えることがままあります。どうしてこうした感動が起こるのか、そもそも声ってなんなのか、その謎を解き明かすべく音楽関係の書物を漁っていますが、その中の一つ『音楽分析の歴史』(久保田慶一, 春秋社, 2020年)に次のような文章がありました。少し長いです。 ラモーの和声論の特徴は、実際の通奏低音の下に、「和音を生成する基音」、すなわち「根音バス」の連続を認める点にある。和声という構造体には「基音」という人の目の届かない土台(基礎)があ

          日記#1 ラモーの和声論

          【批評】井上光晴の引用文をめぐって ~そのときはじめては誰の言葉か~

           吉本隆明の『言語にとって美とはなにか』(晶文社、全集版)を読んでいたら、141頁に井上光晴の文章が引用されていました。以下がその文です。 「黒い異様な臭気を放つ穴の近くで珍しく通りかかった男が、今日は二十日ですか、二十一日ですかと彼にきいたが、彼がこたえようとする間もなくふうふうといいながら返事もきかずに通りすぎていき、そのときはじめて仲代庫男の眼の中に涙があふれた。」(井上光晴『虚構のクレーン』)  まず思ったのが、「黒い異様な臭気を放つ穴の近くで通りかかった男」とい

          【批評】井上光晴の引用文をめぐって ~そのときはじめては誰の言葉か~

          【短編小説】ガススター

           一  自転車は、ガソリンスタンドの脇を通過するさい、吸いこまれるようにして窪みへと導かれた。荷紐がゆるみ、学生鞄のふり落とされるにぶい音を耳にした椎名ほたるは、左右のブレーキに手をかける。すり減ったゴムがホイールの回転をとめる、つんざくような悲鳴が殺風景な大地に降りそそぐも、ほたるはあまり意に介さない。片足をつけ、横目で後方を眺める彼女の顔は、不快というより不満足げだ。  ほたるは普段と変わらない調子でキックスタンドをおろすと、きびきびとした足どりで事故現場に向かう。

          【短編小説】ガススター