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【2023年版】株式会社を格安で設立する方法と具体的な流れ(自分用の記録)。 



まえがきと本記事の目的




さて、2023年7月20日に無事株式会社サカマルを設立した坂本ですが、
それはそれは苦難の連続でした。

それはなぜかと申しますと
「株式会社 設立 方法」「株式会社 設立 流れ」など検索すればある程度の情報が出てきますが、それらの多くは体系化されておらず、細かい知識が抜け落ちており、
概念だけわかっても実務的にどのようにすればよいかわからない
、ということが非常に多かったのです。

さらに、私が行ったのは定款も登記申請も全て電子でオンライン申請。さらに定款認証と登記申請を同じ日に同時に行うという非常にイレギュラーなやり方。このようなイレギュラーな方法では検索してもほとんど情報は出てきません。

しかしなんとか司法書士さんなどに依頼することなく自分の力で株式会社の設立を成し遂げた私
偉そうに
「今度君が会社作るときは教えてあげるよ〜」などと友人に自慢するように言うものの、
果たしてその時に坂本は会社の設立手続きについて思い出すことができるのか
その自信はありません。
そこで!記憶がまだフレッシュなうちに(1か月以上たったので抜け落ちている部分もありますが)
自分がいつでも会社の設立手続きを思い出せるように
ここに自分用の記録として記事を作成し

願わくば自分のように困っている人のヒントになればいいなと思い
ここに公開しようと思った次第でございます。
あくまで自分用です。
過度な期待はしないでください。


会社設立のおおまかな流れ

通常バージョン

(1)設立準備
(2)定款作成
(3)定款の認証を受ける
(4)資本金の払込
(5)登記申請

登記と定款認証を同時にオンライン申請するバージョン

(1)設立準備
(2)定款作成
(3)定款の認証(テレビ電話認証)を受けたい日を調整
(4)資本金の払込
(5)その他の書類作成
(6)電子署名
(7)申請用総合ソフトにて登記申請(定款認証同時申請用をフォーム一覧から選択すること)
(8)テレビ電話で定款認証(通常の認証→登記申請と逆順であることに注意です)

本稿では坂本が実際に行った
登記と定款認証を同時にオンライン申請するバージョン
について詳しく解説します。通常バージョンと大きく順番が異なる部分がございますので、通常バージョンをご希望の方は混同なさらないようにご注意ください。



(1)設立準備(格安で設立するために)

定款作成前の設立準備として必要なことは多々あります。
会社によっても異なるでしょう。
例えば、以下のことを決定するのも設立準備に入りますね
・資本金をいくらにするか。
・資本金をどのように捻出するか。
・会社の本店をどこにするか。(どこで登記するか)
・事業内容をどのようなものにするか。

ですが、本項で述べるのは特定創業支援等事業を利用した設立準備です。

本事業に興味のない方、対象外の方は読み飛ばして大丈夫です。



この事業は各自治体により異なる部分があるので、こちらのウェブサイトから自治体ごとの各事業について調べてみたり、「○○市 特定創業支援」と検索したりしてみてください。

この事業がいつまで継続されるのか私は知らないのですが、良い制度ですので皆様が起業される際にも続いていることを願っております。(現状は令和6年までの計画となっているようです。)

特定創業支援等事業について簡単な説明
対象:
まだ起業していない方、創業5年未満の方(※後述の登記費用の補助を受けたい場合は未創業である必要があったかと思います)
事業内容:起業セミナーの規定回数の受講、中小企業診断士との起業相談(自治体により異なる)

坂本の場合:中小起業診断士の方との起業相談を1か月以上かけて4回以上実施しました。

支援後の特典(共通):
会社設立時の登録免許税を、「資本金の0.7%」から「資本金の0.35%」に減額。※株式会社の場合、登録免許税の最低額が15万円なので、15万円の場合は75000円に減額されます。
・日本政策金融公庫「新規開業支援資金」の貸付利率の引き下げ
・その他補助金の要件緩和など

支援後の特典(自治体による。)
<松戸市の場合>

・株式会社設立時の登録免許税を75000円まで補助(通常最低15万円の補助金が75000円まで減額され、後日75000円分キャッシュバックされます。)

・定款認証手数料50000円まで補助
(定款認証手数料は2023年10月現在、高くても5万円なのでキャッシュバックにより実質無料になります。)

・日本政策金融公庫からの借入時の利子を一部補給


ということで、自治体によっては私のように登録免許税(いわゆる設立登記費用)と定款認証手数料が全額実質無料になります。
松戸市のように無料にならなくとも、共通して登録免許税は半額になりますし、各自治体ごとに様々な特典を用意しているかと思うので調べてみてください。

(2)定款作成

定款を作成します。基本的には「定款 雛形」で検索して、出てきたdocxファイルなどを自分の会社に合わせて変更すれば大丈夫です。
ちなみに坂本は一部定款の書き方について、前述の特定創業支援等事業の中小起業診断士の方と相談したこともありました。

以下参考までに坂本がミスしたり修正を要求されたりした部分を公開します。
・取締役の名前をアルファベットではなくカタカナで表記するように修正

アルファベットはダメです、と言われました。

・設立時取締役の表記を下記のように訂正

よくわかりませんが設立時取締役坂本と設立時代表取締役坂本は分けて書く必要があるようです。

<訂正前>
設立時取締役 ギマランエス ヌネス イタマル ジョゼ
設立時代表取締役 坂本 光士郎

<訂正後>
設立時取締役 ギマランエス ヌネス イタマル ジョゼ
設立時取締役 坂本 光士郎
設立時代表取締役 坂本 光士郎

・電子認証の場合、定款の条項の最後に電子署名に関する文章を入れるように下記のような訂正指示を受けました。

<訂正前>
(法令の準拠)
第32条 この定款に規定のない事項は、すべて会社法その他の法令に従う。

令和5年7月13日
千葉県松戶市小金原3丁目13番地の18
発起人 坂本 光士郎

<訂正後>
(法令の準拠)
第32条 この定款に規定のない事項は、すべて会社法その他の法令に従う。
以上、株式会社サカマル設立のため発起人坂本光士郎は電子的記録である本定款を作成し、これを電子署名する。

令和5年7月13日
千葉県松戶市小金原3丁目13番地の18
発起人 坂本 光士郎

(3)定款の認証(テレビ電話認証)を受けたい日を調整

通常の公証役場の定款認証は認証手数料が3〜5万円と、4万円の収入印紙が必要ですが、紙ではなく電子定款の認証を受ける場合は収入印紙代がかからないのでおすすめです。

最寄りの公証役場に電話して認証のための流れと手続きについて聞いてみるのが一番スムーズです。その際、設立登記申請と同時に認証も受けたいのでテレビ電話認証を希望することを伝えてください。
この時、日程については設立登記申請をする予定の日と同じ日にするようにしっかりと確認してくださいね。
(※もしかしたら、各種書類を提出してからの日程調整だったかもしれません。)

その後、メールで下記の書類を送ります。発起人が複数の場合は全員分の提出が要求されると思います。

・株式会社サカマル定款案
・坂本光士郎(発起人) 印鑑登録証明書(ない人は登録し証明書をもらってきてください)
・坂本光士郎(発起人) 身分証の写し
・実質的支配者となるべき者の申告書(テンプレートが用意されています)

その後、振り込み口座を教えていただけるので定款認証手数料+紙での定款の発行手数料をお支払いします。紙での定款は必要だと思う方は1〜2部発行しておくといいかもしれません。

当日は自分の場合 Facehubというアプリでビデオ通話で認証を行いました。
登記申請でバタバタするかもしれないので、登記申請を朝から行うことにして、その後 テレビ電話認証を午後3時からとするように日程と時間の調整をしました。

(4)資本金の払い込み

基本的には会社の代表者個人の口座に、資本金として決めた額が払い込まれれば大丈夫です。
仮に資本金が100万円とし、すでに自分の口座に100万円ある場合は
(1)自分で口座から100万円引き出し
(2)その後そのまま100万円を預け入れ

という形をとる必要があります。
いずれにせよ、
資本金の額X万円が口座に入金されたという事実が通帳や取引明細から読み取れることが大事です。
その後、通帳や取引明細をコピーしておきましょう。

注意(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4 より引用)

株式会社の設立に伴う出資の履行(銀行への出資金の払込み)は、定款の作成日以降の日であって、かつ、会社の設立登記の申請がされた日までに行われる必要あることから、同時申請に係る定款の作成日を定款認証予定日の数日前とするとともに、定款作成日から同時申請の日までの間に現実の出資の履行を行ってください。

(5)その他の書類を作成しましょう。

登記申請には他にも数多くの書類を作成する必要があります。
様式はググれば出てきますので安心してください。

ちなみに坂本の場合
・取締役の就任承諾書(自分以外に取締役がいる場合必要ならしいです。)
・払込証明書(明細のコピー、通帳のコピーだけでは不十分です。〜円振り込まれたことを証明する、と自分の名を持って証明書を作る必要があります)
・本店所在場所決議書
・特定創業支援等事業の認定を受けたことの証明書(自治体発行)
を提出しました。

登記申請書はググるとフォーマットが出てきたり、登記申請書を作りましょう!って書いてあるWebサイトが出てくると思いますが
オンライン申請の場合は申請用総合ソフトに出てくるフォームに穴埋めしていけばいいのでその必要はありません。


ちなみにオンライン申請する場合、印鑑の届出は任意です。届出をする場合、オンライン申請だと印鑑届出書を印刷した上でそこに捺印し、それをスキャンする必要があるのですが
1ミリでも紙のサイズがずれていたりするとアウトなので、私は設立後にオフラインで印鑑を届出しました。

さらに余談ですが、株式会社サカマルは私と板丸の2名で創業しましたが、発起人は私1人で100%坂本出資で設立しました。
最初は発起人を20名くらいで設立しようと思ったのですが、公証役場に発起人全員分の各種証明書を提出したり、登記申請時に発起人の同意書を提出したりする必要があったりと面倒そうなので発起人を1人にしました。

(6)私にとって一番の鬼門だった電子署名

オンラインで登記申請したり、オンラインで定款認証したりするためにはPDFファイルに対し電子署名をする必要があります。
ここに私は一番苦戦しました。

公式(法務局)の推奨環境ではAdobe Acrobat DCという有料ソフトを購入し、PDF署名プラグインという公式配布のプラグインをインストールすることで
マイナンバーカード及びICカードリーダーを用いて電子署名することができます。

私の場合OSの関係でうまくいかなかったので別の方法を模索する必要がありました。
(詳述すると、Macbookで動かした仮想マシン上に動くWindowsが64bitだったため、32bit版AcrobatDCにしか対応していない公式プラグインと互換性がなかったのでは?と考えています。詳しくはわかりません。機械音痴ですみません。)

模索した中、発見したJPKI PDF Signerというソフトは私の環境ではうまくいきませんでした。皆様はうまくいくかもしれませんね。

そこで私が見つけたのがOpen SCというソフトを利用する方法です。
こちらのサイトがわかりやすいのでご参照ください。

このソフトを使うと無料版のAcrobat readerで、マイナンバーカードを用いて電子署名をすることができました。

追記(重要)
もしかしたら後述する申請用総合ソフトの中にある電子署名機能を使って定款も含めて一括で署名できたかもしれません。
私の苦労は一体なんだったのか。
試しにみなさんやってみてください。

(7)申請用総合ソフトで登記申請

まずはこちらに沿って、申請用総合ソフトのインストールや申請者情報の登録を済ませてください。

ちなみに申請用総合ソフトはMacは非対応なのでMacの方はWindowsユーザーにPCを借りるか、別途windowsを用意するか、Parallels Desktopのような仮想マシンでWindowsを動かすか、など対応する必要があります。
私はParallelsを使いました。

申請用総合ソフトでログインしたら、様式を選択することができるので必ず設立登記申請書(定款認証同時申請用)を選び、あとはフォームに沿って記入すればOKです。

ちなみにこちらのページの操作手引書がわかりやすくまとめられております。

下の方にある、
1-4申請情報作成例③
【株式会社設立登記・発起設立編】
(定款認証同時申請用)

をダウンロードしてください。
その後手続きを進めていって、ファイルを提出し
しばらく待てば電子納付ができるようになるのでインターネットバンキングなどで手数料を払えばOKです。

この申請ですでに定款も他の書類も提出しており、自動的に公証役場に送られているので、あとは公証役場と約束した時間に指定されたURLをクリックしFaceHubでビデオ電話すれば大丈夫です。
ビデオ電話での認証が終わればあとは勝手に法務局が登記書類を審査することになります。
通常は認証後の定款を法務局に提出する必要がありますが、この方式のみ特例で、公証役場が法務局に送信します。

登記申請は基本的には作成例に書いてあることの通りにやればよいのですが、
それだけだと面白くないので私が起こしたミスを公開します。

怒っちゃダメよ。申請用総合ソフトあるある

・なぜかマイナンバーカードを認識しない。
これめっちゃあります。
対処法、マイナンバーカードを入れるタイミングを変えてみたり、何度も繰り返したり、できるまで色々やってみてください。これはソフトの内部で何が起きていて違いが起こっているのか全くわかりません。
カードを入れてください。のタイミングでカードを入れて成功するときもあれば
カードを入れてください。が表示される前のタイミングでカードを入れて成功するときもあります。
どっちも失敗したけど5回繰り返したら5回目でできたこともあります。

・ご利用時間は月曜から金曜日の8:30〜21:00までです
私は基本的にオンラインによる手続きというものは反映に差はあれど24時間365日できるものだと思っていました(メンテナンスを除く)。
しかし、申請用総合ソフトは違います。
平日の上記時間以外は申請ができないのです。
ただし申請以外の作業(データ作成)はオフラインで実行するボタンを起動時に押すことによって可能です。
よくわからないですね。




登記申請時に私が起こしたミス


その1 電子署名できていなかった。

私は電子署名を、acrobat reader上の署名機能で適当に「坂本光士郎」と書けばいいものと思っておりました。
こんな感じで。

ですが、残念ながら登記に必要な電子署名は、法務局発行の電子署名ファイルやマイナンバーカードによる署名が必要です。

それがわからずに「署名ができているはず」と思い込んだ坂本は何度申請してみても2分くらいで下のようにメールが届くわけです。

みなさん電子署名は確実に行いましょう。


その2 別紙完全に書き忘れた


登記申請時に、登記すべき事項 別紙のとおり とありますが
右側に「別紙表示」というボタンがあるのを見落としてしまいました。

別紙表示を押すと会社名や事業の目的、資本金を書く欄が出てきますが
全部 会社名○○ 事業の目的 ○○の販売 資本金○万円
のまま出してしまいました。

やってしまった。

その3 松戸市からの書類に自分のマイナンバーカードで署名した

申請時に
特定創業支援等事業の認定を受けたことの証明書(自治体発行)
を提出しないと、登録免許税を半額にすることはできません。
しかしオンライン申請で提出する全ての書類には電子署名が不可欠です。

この証明書は松戸市が発行のものなのに、私は私の名前でマイナンバーカードで署名してしまったのです。

その4 登記申請前に定款を認証するものと勘違いし、定款認証手続きを行なってしまった


紙での登記申請とオンラインでの登記申請は、方法が大きく異なります。
紙での定款認証と電子定款の認証も方法が大きく異なります。

ここまではお分かりですよね。

さらに、電子定款の認証の中でも
通常の電子定款の認証と、登記申請と同時に電子定款認証を行う方法に大き
な違いがあるのです。

私の場合、勘違いして通常の電子定款の認証の手続き(下記参照)

https://www.moj.go.jp/MINJI/DENSHIKOSHO/denshikosho1-2.html

のように手続名 電磁的記録の認証の嘱託という手続きを申請用総合ソフトで事前に行なってしまいました。
今回の方法は登記申請と同時に行う方法なので、その必要はありません。

下画像のように定款と各種書類を同時に提出することになります。

ミスしたらどうなる?どうなった?

そこまで慌てなくても大丈夫です。

その1はメールがすぐにきたのでミスしたこと自体を認識できました。
不幸中の幸いだったのが、上記ミスは その4のミスで述べた
「誤って電子定款の認証の申請を事前にやってしまった」時に起きたので
本番の登記申請の日よりも前に「自分が電子署名できていないこと」を認識できたことですね。
これが申請日当日に知っていたらアウトだったかもしれません。
みなさんもリハーサルするといいですよ。

その2のような書類上のミスはすぐに法務局から電話かかってきます。
「補正」と言って、書類が差し戻されるので修正して申請用総合ソフトで再度提出すれば大丈夫です。

その3のミスはどうしようもありません。
法務局から「多分自治体が電子署名してくれるとも思わないし、電子署名ファイルを送ってくれるわけないから、持ってくるのが一番スムーズだとおもいますよ」とアドバイスいただいたので、すぐに千葉法務局に行って書類を提出しに行きました。

その4
すぐに公証役場から電話かかってきます。
で、一度却下するからテレビ電話認証の日の朝とかに同時申請すれば大丈夫、と教えていただき、そのように手続きしました。



最後に

だらだらした文章で失礼しました。自分用のメモですが、誰かの役に立つと嬉しいです。
何か細かいことでも質問あればいつでもX(twitter)のDMとかでご連絡ください。


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