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銃 病原菌 鉄

パプアニューギニアの政治家ヤリが問いかけた素朴な疑問「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私達ニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」
生物学者の著者はこの問いに答えられなかった。

この本は、人類の進化、歴史、言語などについて研究し、その疑問に対する答えを25年経て書いたもの。

1998年度ピュリツァー賞一般ノンフィクション部門受賞。

人類の長い歴史が大陸ごとに異なるのは、それぞれの大陸に居住した人びとが生まれつき異なっているからではなく、大陸ごとに異なる環境が大きく影響したと著者は説く。

栽培化や家畜化の候補となる動植物種の分布状況などが大陸ごとに異なるが、生態環境や地形上の障壁が、伝播や拡散の速度に大きく影響する。

近い緯度であれば、そう大きく気候が変わるわけではないので、食料となる植物等が伝播しやく、多くの人を養える食料が確保しやすくなる。そうなると人口を維持しやすくなり、人が増えると自ずと情報が増え、知識や技術が蓄積されることになり発展が見込まれる。

一方、緯度が異なると気候が大きく異なり、気候に適した植物の伝播が難しく、食料確保がままならない。人が集まらないと知識や技術も限定される。

こうした著書の主張に対し、環境決定論的との批判もあるが、読み応えのある一冊である。


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