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Agile Japan 2023 に参加しました

この記事は「AgileJapanEXPO Advent Calendar 2023」の16日目の記事です。


はじめに

先日、11月16日(木)・17日(金) に ベルサール新宿セントラルパーク にて開催された Agile Japan 2023 に参加しました。

Agile Japan って?

Agile Japanは、日本中にアジャイル(状況の変化に対して素早く対応すること)の価値を浸透させ、日本の変革を促進することを目指して、あらゆる業界や職種の方が集まり、実践者も初学者もともに建設的な意見交換ができる場です。

Rebuild our Agile!

今回のテーマは「Rebuild our Agile!
「再会」「再構築」「再開発」という3つの要素を含んだ今回のイベントで、共に新しい未来を創造し、アジャイルの再定義、再構築、そして再開発の旅を共有できることを楽しむというのがテーマでした。

今回のイベントでは、アジャイル開発の最新トレンドや成功事例、実践例の学びを得る為に参加しました。

Woven by Toyotaにおける高度運転支援ソフトウェアのアジャイル開発

どのスピーカーも内容の濃いお話だったのですが、Day 1 Keynote でご登壇された、ウーブン・バイ・トヨタ(株)   松山 一郎さん の内容にフォーカスしてみます。

言わずも知れたトヨタさんの自動車産業における、ソフトウェアのアジャイル開発。自動車のハードウェア部分はフォーターフォール型である一方、
ソフトウェアのアジャイル開発をどのように推進されているのかのお話でした。

ウーブン By トヨタのカルチャー

私にとって特に印象的だったのは、ウーブン By トヨタ さんのカルチャー「all hands」です。
Global / Diversity  / Offical lang / One on One / Dojo / Office / TRI time / Scrum traning の エレメントを すべて組織として環境を提供し、全員が同じ共通コンテキストを持って、取り組みをされていることでした。

ハイコンテキストな状況を仕組みを持って作る事で、円滑なコミュニケーションを可能にして理解を促進や意思疎通がスムーズになり、情報の一貫性や統一性が生まれ、チームや組織全体の一体感を高めます。
成果を最大化するための基盤として、共通コンテキストは非常に重要だと感じました。

トヨタさんにおけるアジャイル開発の歴史

トヨタさんは、トヨタ生産方式に基づいたリーン生産方式を確立しました。
この手法は、無駄を排除し、効率を高めることで知られています。
その中核には、ジャスト・イン・タイム(需要があるときに必要な分だけ部品や製品を供給する考え方)があり、在庫を最小限に抑えながら生産を行います。

カンバン(生産や補充の指示を示すカード)は、生産プロセスの流れを調整し、生産量を調節するための手段として利用されています。
トヨタさんのアジャイル開発への取り組みは、こうした生産方式の哲学と似ています。

アジャイル開発は、柔軟性と迅速な対応性を重視し、従来のフォーターフォール開発手法とは異なり、継続的な改善と顧客のフィードバックを取り入れながら、プロジェクトを進めます。
この手法は、トヨタさんのリーン思想と同様に、無駄を削減し、効率性を高めることを目指しています。

トヨタさんは、アジャイル開発の概念を組織内に取り入れ、プロダクト開発プロセスを改善するために、チーム間のコラボレーションや迅速な変更への対応を重視しています。
これにより、製品の開発サイクルを短縮し、市場ニーズにより迅速に対応することが可能となりました。こうしたアジャイルなアプローチの根底思想は、「顧客視点でのムダ取り」につながります。

車両開発 ✕ アジャイル開発のジレンマ

フォーターフォール開発とアジャイル開発は、それぞれ異なるプロジェクト管理の手法であり、車両開発とソフトウェア開発においてそれぞれの特性や適用性が存在します。
フォーターフォール開発は、段階的な進行を重視し、計画段階から設計、実装、テスト、そして展開という一連の工程を順次進める手法です。
車両開発などの物理的な製品開発においては、しばしば予測可能性と正確な計画が必要とされるため、フォーターフォールの手法が適しているケースがあります。

一方、アジャイル開発は、柔軟性と迅速な反応性を重視し、継続的な改善と顧客ニーズへの適応を重要視する手法です。ソフトウェア開発においては、市場の変化が速く、要求仕様が頻繁に変わることがあります。このような環境下では、アジャイルの手法がより適切であり、柔軟に対応しながら価値の高いソフトウェアを提供することが可能です。

しかしながら、車両開発におけるフォーターフォールのような従来の手法と、アジャイル開発のソフトウェア開発の間には、一定のジレンマも存在します。

特に、複雑な製品開発において、ソフトウェアとハードウェアの統合や調整が必要な場合、両者の開発手法の違いが調整を難しくすることがあります。ソフトウェアのアジャイル開発がスピーディかつ柔軟性を持つ一方で、車両開発のような物理製品の開発は計画性と予測可能性が求められるため、両者を適切に調和させることは容易ではありません。

このジレンマを解決(双方を成り立たせるには?)するためには、両者のメリットを組み合わせるハイブリッドなアプローチが求められるとの事で、車両開発側の開発日程(ウォーターフォール)において、一定のポイントを設け、それに合わせてソフトウェア側のアジャイル開発のスプリント(短サイクル)をうまく合わせるとのことでした。
ただし、このような統合は調整とバランスが非常に重要であり、チーム全員がハイコンテキストな状況だからこそ実現可能なアプローチと感じました。

気づき

ここまでのお話の中で、組織内で共通のコンテキストや手法を持つことが、円滑なコミュニケーションとチームの一体感を促進する上で重要であるという点です。
そして、チーム全員が共通のコンテキストもつ為に、学習の場や、仕組み・環境を設けている事で、情報の一貫性や統一性が生まれ、チームがより効果的に連携し、成果を最大化する基盤が整えられている印象を受けました。

また、「車両開発 × アジャイル開発のジレンマ」について述べられた内容は興味深く、伝統的なフォーターフォール開発とアジャイル開発の間に生じる課題や矛盾に焦点を当てています。
特に、物理製品開発とソフトウェア開発の違いから生じる調整の難しさや、両者を統合するためのハイブリッドなアプローチの必要性が示されています。

このお話から得た気づきは、複雑なプロジェクトにおいても、異なる手法や文化をうまく組み合わせることで効果的な解決策を見つけることができるという点です。
特に、ハイコンテキストな状況を作り出すことで、異なる開発手法を調和させることができることが示唆されています。チーム全体が共通のコンテキストを理解し、適切なバランスを保つことで、異なるアプローチを組み合わせることができるのだと感じました。

まとめ

アジャイルカンファレンス2023は、私にとって非常に有意義なものでした。新たなアイデアやベストプラクティスを得ることができ、これらを日常の業務に活かしていくことで、チームの成果につなげていきたいと思います。

最後になりますが、イベントを成功させたスピーカーのみなさま、J.K さん・あやなる さんを始め、運営のみなさまに対して心からの感謝を伝えたいです。みなさまの情熱と知識共有によって貴重な学びを得ることができました。本当にありがとうございましたっ!!

余談: 現地現物

海外(特にアメリカ)では、現地現物 Tシャツが流行っているのだとか(笑)

リンク集

Agile Japan 2023 投稿(Post)まとめ (1日目)
Agile Japan 2023 投稿(Post)まとめ (2日目)


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