私を離さないで
簡単にいうと提供と介護の話。読み進めていくと、どこにでもありそうな青春の話しかなぁと思うが、背景が少しづつ浮かび上がってくる。
その背景の異常さに芯まで震え上がってしまう。
一番残酷な生物は人間だと思わずにはいられない。
キャシーが感じた喪失感は言葉には表せないほど深いもの。。
心の核にズシリときますが、多分再読はしないと思う。「教わっているようで、教わっていない」(ルーシー先生)の言葉が後に残りました。
再読しないとかきましたが、再読です。
子供が大人になっていく過程で、未知な世界への不安、期待という複雑があるが
この作品では、特に不安が表現されている。自分たちの存在意義はという根源的な不安だ。
徐々にその不安の現実が明らかにされていく。
この作品では誰もが子供の時に感じた成長期の感情を克明に再現している。
内容(「BOOK」データベースより)
自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々がたどった数奇で皮肉な運命に…。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく―英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』に比肩すると評されたイシグロ文学の最高到達点。アレックス賞受賞作。
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