118A61【医師国家試験解説】妊婦健康診査、つまり妊婦健診(やや難問)
問題
28歳の初妊婦 (1妊0産)。妊娠31週6日、軽度の下腹部痛を自覚し来院した。 実家に帰省した際に不規則な下腹部痛を自覚したため不安になり実家近くの産科診療所を初めて受診した。それまで妊娠初期から自宅近くの産科診療所にて妊婦健康 診査を受けていたという。来院時、下腹部痛は消失し性器出血の自覚はない。意識は清明。身長 156cm、体重68kg(非妊時53kg)。体温37.1℃。脈拍72/分、整。 血压 136/88 mmHg。呼吸数 18/分。腹部は妊娠子宮により膨隆し、軟、圧痛を認めない。下腿に軽度の圧痕を認める。内診と経腟超音波検査で異常を認めない。持参した母子健康手帳の記載内容を下記に示す。
この妊婦に対する評価で適切なのはどれか。
a. 妊娠糖尿病である。
b. 胎児発育不全である。
c. 体重増加量は適切である。
d. 妊娠高血圧症候群である。
e. 妊婦健康診査の受診間隔は適切である。
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解説
概説すると妊娠高血圧症候群っぽい経過を提示して、症例についての判断を求める問題です。
ただ、実際には妊婦健診とは?という問題になっており、良問かつ難問と思われます。
妊婦健診の情報をもとに妊娠の生理的変化について異常を検出できるか?という問題になっています。
この妊婦さんは初産の帰省中にお腹が張って(子宮収縮が増強して)いつもとは異なるクリニックを受診しました。
よくあることです。
妊娠中の母子手帳の存在意義はこの時のため、と言っても過言ではありません。
現症では子宮収縮があったという以外に異常はないようです。
来院時の情報で怪しいもの、異常なものを解説します。
まず、d. の妊娠高血圧症候群は明確な診断基準があります。血圧140/90mmHgです。
ただし、やや血圧が高く、体重が急峻に増加しており、浮腫があるという、今後妊娠高血圧症候群を発症しそうな妊婦です。
そして、a. b. ですが、胎児発育不全(FGR)を証明するような検査も、妊娠糖尿病を確認するような検査も行われておりません。
FGRは児の推定体重が-1.5SDを下回るのもの、妊娠糖尿病も診断基準があります。
ここまでは大丈夫だと思います。
難関の2択。
正解はeです。
この手の問題が増えたことが、臨床実地の経験が必要な問題が採用されるようになったと言われる所以です。
妊婦健診の間隔か適正体重という、むしろ妊婦さんたちの方が詳しい内容で、医学性たちは選択を迫られることになるのです。
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医師国家試験対策 産婦人科
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