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117A17 医師国家試験 誰でもわかる解説【双胎妊娠】【TTTS】【長文】

問題

A17 38歳の初妊婦。 妊娠24週に急激な腹囲の増大と体重増加を主訴に来院した。体外受精-胚移植 <IVF-ET> で妊娠した。妊娠初期の超音波検査で1絨毛膜2羊膜性双胎と診断されている。超音波検査で両児間の推定体重に差を認めない。第1児の最大水深度を計測した超音波像 (別冊No3A) と両児間の隔壁を示す超音波像別冊No.3B、矢印は隔壁) とを別に示す。

第1児について正しいのはどれか。 2つ選べ。
a 貧血になっている。
b 高血糖になっている。
c 腎血流が増加している。
d 胎児発育不全になりやすい。
e うっ血性心不全になっている


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解説

双胎妊娠(ふたご)の問題です。

問題を言い換えると「一絨毛膜二羊膜性双胎の双胎間輸血症候群で受血児に何が起こるか?」ということです。

この言い換えのためには診断を確定する必要があります。


<ふたごにも種類がある>

双胎は絨毛膜(胎盤)の枚数と羊膜の枚数で分類します。

妊娠後、胎嚢を確認した時点で胎嚢が二つ確認できれば二絨毛膜性双胎です。

この時、二つの胎嚢がくっつき、雪だるま状に見え、「首の部分のくびれ」のことを「ラムダサイン」といいます。

この場合必ず二羊膜性になります。

全く別の二つの妊娠(つまり二つの受精卵)が一つの子宮に起こる場合と、一つの受精卵が二つに分かれて、2つの絨毛膜(胎盤)を形成する場合があります。

つまり、二絨毛膜二羊膜性双胎は必ずしも二卵性ではないということになります。

全く別の妊娠であり、子宮内容が他の人の2倍になることでの合併症しか起こしません。

とはいえ、母体の負担は強く、臨床的には早産と弛緩出血が主に問題となります。

もう一つは一絨毛膜性双胎で、2人の赤ちゃんに対して絨毛膜(胎盤)が1枚しかできないものです。
妊娠の確認を行う5-8週には胎嚢が一つしか確認できず、その後羊膜で二つの部屋に分かれているかを8週以降で確認します。
分かれていれば一絨毛膜二羊膜性双胎、分かれていなければ一絨毛膜一羊膜性双胎です。
これらは必ず一卵性で、性別など遺伝的背景は同じになります。

<ふたごの何が問題なのか?母体の合併症について>

 母体の合併症としては、すべての双胎妊娠に共通して、子宮内容および子宮自体の過度な増大により、
・内圧の上昇→切迫早産・前期破水→自然早産
・母体の負担→妊娠高血圧症候群→人工早産
という転機となることが半数程度に見られます。

 また、子宮の過進展により、分娩後の弛緩出血を起こし、輸血のリスクはもちろん、子宮全摘となることもあります。早産によるその後の子どもに後遺症を残す可能性、母体も子宮を失う可能性もあるということです。子宮を失うと日本では嫡出子を持てなくなります。

<加えて何が問題なのか?(胎児について)>

さらに、一絨毛膜性双胎では、「絨毛膜=胎盤がひとつである」ことが問題となります。

双胎間輸血症候群(2人の血管がつながっている):

 ・胎盤内で2人の赤ちゃんの血管がつながっていることで、血液の不均衡(バランスが取れていない状態)が起こります。

 ・遺伝的には同じ子なので血液が混ざることはあまり問題がありません。

 ・絶対的な特徴は「羊水量の差」です。


Selective IUGR(胎盤の使っている面積に差がある):

 ・こちらはTTTSに加えて、胎盤の占有面積の差で、体重差が出現するもの と考えられています。
・絶対的な特徴は「体重差」です。片方の子が小さいことが特徴です。

一番怖い臍帯相互巻絡:
 一つの空間に赤ちゃんが二人いる一絨毛膜一羊膜性双胎(MM双胎)では臍帯(へその緒)が絡まってしまうことがあります。絡まったへその緒は時に血流が遮断され、最悪の場合子宮内胎児死亡の原因となります。MM双胎ではMD双胎と比較し、TTTSを発症しにくいとされ、MM双胎の予後は相互巻絡のが多くの部分を占めています。そして、MM双胎の胎児死亡率は過去には50%、現在では20%といわれており、かなり予後不良です。

<ようやく問題の解説>

今回の問題の診断は「双胎間輸血症候群」です。

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産婦人科領域の国家試験対策をしています。 近年の臨床の肌感が問われるような問題に対応しています。 解説希望があればコメントしてください。

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