敵はそこには居ない~「底辺同士」で足を引っ張り合うな | 生活保護を考える不動産屋
申請の希望者を追い返すのは違法~一人社長の広告代理店
SNSで外国人は簡単に生活保護が受けられるのに、日本の若者がもう限界だと意を決して窓口を訪ねても「まだ若いのだから」、「働けるでしょう?」、「家族は助けてくれないの?」などときつく言われて追い返されるみたいな投稿(イラスト入りの図)を目撃しました。
ある意味、真実が述べられている面もあって、特に後者は「水際作戦」などと言われて、生活保護に詳しい学者や支援者などから、ずっと問題視されてきている話です。
そもそも、生活保護の申請希望があったら、行政の窓口担当者が断ったり追い返したりするのは違法です。
わかりやすく言えば、お金持ちで知られるユニクロの柳井正さんやソフトバンクの孫正義さんからの申し出であっても、申請があったら受理しなければならない。その上で必要な調査を行い、認められませんという判断をするのが行政の仕事です。
これまでの生活保護を取り巻く経緯から、あえて乱暴な言葉で表現すると、「窓口の担当者ごとき」がその場で決められるようなことではないわけです。
冒頭のSNSの投稿は、「外国人」と「日本の若者」の対立を煽るかたちになっている点で良くありません。外国人であろうと、日本の若者であっても、現に困っていれば救済すべきです。
もちろん、申請があったら話も聞かず、事務的に受理しろというわけではなく、丁寧に聞き取りは行うべきでしょう。ただ、これが申請を思いとどまらせることが前提になっているところがいけません。
生活保護受給の経験者は語る~一人社長の広告代理店
実は私も大人になってから生活保護を申請して、受給していた時期が半年くらいありました。自分で当時住んでいた市役所の窓口を訪ねましたが、若い男性の担当者は頬杖をつきながら、不機嫌そうに私の話を聞いているではありませんか。
「それが相談にやってきた市民に向き合う態度ですか?」と強く抗議したところ、渋々という感じで謝罪してきましたが、事前に準備していった申請書は市のフォーマットとは違うので書き直せと言われました。
これが実は大嘘で極端な話、生活保護の申請はたとえばレシートの裏の殴り書きであっても、その人の申請する意思が伝われば問題ありません。
その担当者が不勉強だったのか、嫌がらせだったのかはわかりませんが、それ以上もめたくなかったので従いました。また、いろいろ身の上を調べられるからな、家族にも連絡が行くからなみたいな脅しの捨て台詞までご丁寧にいただいた次第です。
実際には私のように肝が据わっている申請者はほとんどいません。みんな心身ともに疲れ、弱り果てて勇気を振り絞ってたどり着いた役所の窓口で、さらに傷付くという体験をさせられるわけです。私だってつらくて、申請後に知り合いの司法書士に電話をかけました。
誤解だらけの生活保護制度~一人社長の広告代理店
生活保護に関しては、本当に誤解が多いと思います。何がぜいたくで、何が楽をすることで、何が良い思いすることなのかは人それぞれ感じ方が異なります。しかしながら、不特定多数のニュートラルな感覚の持主であれば、生活保護に頼って生活するなんてちっとも愉快なものではありません。
生活保護は自治体ごとの上限が決まっていて、足りない部分を補てんするというのが建前です。
健康保険証も取り上げられるので、医療にかかるときはいちいち担当のケースワーカーにお伺いを立てる必要があります。また、収入があったときはすべて報告しなければなりません。
私は受給中の半年間、蔵書を売ったわずかなお金までぜんぶ報告していました。また、ある程度若くて健康な人だと大したキャリアコンサルも無しに、その人の個性や属性に関係なく、とにかくどこかへ就職させて生活保護をやめさせようという圧がすごいです。
あわてて入社した会社が劣悪な労働環境だったり、自分に合わなかったりしたらどうしましょう。そんな生活をしたいと思いますか。
生活保護は施しではなく権利だ~一人社長の広告代理店
生活保護は施しではなく、権利です。
生活保護でしか生きられない事情をかかえた人もいるし、ずっと生活保護でも良いという価値観の人生を否定するわけではありませんが、困ったときは迷わず利用できて、もう一度立ち上がることも容易な制度であってほしいと願います。
ただ、述べたようにまだまだ申請希望者が一人で行政の窓口へ行くというのは敷居が高い状況は変わりません。生活保護に詳しい人や法律家などに付き添ってもらうのがよいでしょう。私でもよければ、お気軽にご相談ください。