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早慶のお金事情を比較してみた。

はじめまして。こーへいです。今日は「早稲田大学と慶應義塾大学のお金事情を比較してみた。」というテーマでnoteを書きます。本当は北京大学の決算を読もうと資料を用意していたいのですが、その資料は「peking university resources」という株式会社の資料でした(だせぇ)。

最近、東洋経済 ONLINEで以下のような記事が出ていました。

この記事によると、事業収入(営業収益)は慶應義塾大学が3位、早稲田大学は10位でした。経常収支差額(営業利益)は慶應義塾大学が8位、早稲田大学は12位でした。なんですけど、この記事を見ても、「慶應の方が儲かっているんだな。たぶん、医学部の収益があるんだろうな。」「早稲田は生徒数が5万人?ぐらいいるらしいから、生徒の授業料が多いから、この位置なのかな。」という推測しかできません。実際はどの収入源があるのか調べてみます。

それに肝心なのは「各大学が何に使っているのか?」だと思います。大学とは思うに「学生に対して高等教育を行う機関」「研究を行う機関」の2つの役割がある気がしています。つまり、「稼いだお金/調達したお金をその役割を果たすために使う」というのを知る必要があります。

ちなみに、大学の役割についてはもっと堅い言葉で書いたものが文部科学省から出されているので、そちらを読んでください。

あと、見出し画像は煽りっぽくなったのですが、別にどっちが良いとかを書きたいわけではないので、あんまり気にしないでください。

早慶の収益はどうなっているの?

下に慶應義塾と早稲田の収益を表にしたものがあります。ただ、資金収入調整勘定という項目だけ除きました。理由は表にマイナスの数字を計上すると、表が見づらくなるので、除外しています(理由がしょぼい)。

各々の合計収益は慶應義塾は2314億5733万6987円、早稲田は1544億5277万9481円です。ちなみに、慶應義塾の合計収益から医療収入を引いたら、1734億3979万3189円です。早稲田には附属病院がないので、この数値を出してみました。

学生生徒等納付金収益について

学生生徒等納付金収益は早稲田が653億8791万2628円、慶應義塾が540億2358万5875円でした。ここで不思議なのは学生数の差に対して、学生生徒等納付金収益の差は少ないと思ったことです 。wikipediaでは慶應義塾が33,625人、早稲田が52,078人とあります。学生生徒等納付金収益は学生数と比例する収益です。ざっと2万人の差があります。一人あたりの学生生徒等納付金を120万円とすると、240億円の差があるはずです。ですが、実際の差は73億7036万8830円です。もっと差があって良いはずです。ちょっと調べてみました。調べるポイントは学生数と一人あたりの学生生徒等納付金です。

慶應義塾は大学院/大学/大学(通信教育課程)/附属高校/附属中学があります。それらの総数は48,657人です。対して、早稲田は大学院/大学/附属高校/附属中学があります。それらの総数は53,240人です。差はざっと5,000人です。
一人あたりの学生生徒等納付金が120万円だとすると、だいたい60億円の差になります。だいたい合致します。要するに学校法人として見ると、学生の総数が全く異なるということです。よって、学生生徒等納付金収益の差が小さく感じたのは大学にいる人数で比較していたが、学生生徒等納付金収益は学校法人全体の数字です。そこに誤差があったので、学生生徒等納付金収益の差が少ないと感じた理由です。

資産売却益について

慶應義塾は206億8374万0492円ですが、それに対して、早稲田は2億9715万0517円です。ざっと100倍の差があります。一体どうしてこの差が生まれたのでしょうか。資産売却収入とは施設売却収入と有価証券売却収入に分けられます。全ての大学がこの2つに分けることができるのか分かりませんが、今回の2法人はこの2つで分けることができます。

どちらも桁が違います。どちらもどのような内訳になっているのか調べてみようと思ったのですが、どちらにも詳細はありませんでした。何をどのくらいの価格で売ったのでしょう、、、。もし、数字の算出方法を知っている方は教えてください。

あと、慶應義塾って寄付金がすごいイメージがありましたが、そんなに多くないんですね。

早慶の費用はどうなっているの?

下に慶應義塾と早稲田の費用を表にしたものがあります。ただ、資金収入調整勘定という項目だけ除きました。理由は表にマイナスの数字を計上すると、表が見づらくなるので、除外しています(理由がしょぼい)(二回目)。

ちなみに、合計支出額は収入と等しくなるのが学校法人会計です。なので、支出の合計額は収入の方を見てください。

これを見ると慶應義塾と早稲田で大学の根幹を成す「教育」「研究」これら2つを支える「人件費」に大きな差があることが分かります。では、この人件費と教育研究経費の内訳はどうなっているのでしょうか?調べてみました。

教職員人件費

教員人件費はそこまで差がありませんが、職員人件費はすごい差があります。ここで、慶應義塾と早稲田の教員・職員数を見てみます。

慶應義塾の方が教員と職員数にかなりの差があります。慶應義塾の職員が多いのは附属病院に務めている看護師(1,015人)や事務職員(240人)などの職員が1,810人いるからです。ちなみに、医学部がなければ、職員数は1,151人なので、早稲田とほとんど変わらないです。
要するに、慶應義塾の附属病院に所属する職員が多い分、職員人件費も慶應義塾の方が多いということです。

教員数も慶應義塾の方がかなり多いですが、このうちの904人が附属病院所属の教員です。なので、医学部がなければ、2,057人と差は少なくなります。それでも差は大きく感じますが、この教員数には更に慶應義塾附属高校・中学に所属している教員も含まれています。その数は418人です。早稲田も附属高校がありますが、2016年度(2017年度は情報を見つけられなかったため、参考程度に)の附属校に所属している教員数は128人です。その差は290人です。慶應義塾の総教員数 - ( 医学部教員数 + 附属校教員数 )は1,767人でした。早稲田の総教員数 - 附属校教員数は1,576人です。この数字は医学部を除く大学教員の数を表しているはずです。
ただ、教員人件費は人数の割に慶應義塾は少ないですね。実際のところ分かりませんが、もしかして、慶應義塾の教員は給料は低いでしょうか、、、。

教育研究経費

そもそも、教育研究経費とは何なのでしょうか。文部科学省の文書「教育研究経費と管理経費の区分について」を読んでみて、僕なりの解釈をしました。この文書にはこうあります。

次の各項に該当することが明らかな経費は、これを管理経費とし、それ以外の経費については主たる使途に従って教育研究経費と管理経費のいずれかに含めるものとする。
1. 役員の行なう業務執行のために要する経費および評議員会のために要する経費
2. 総務・人事・財務・経理その他これに準ずる法人業務に要する経費
3. 教職員の福利厚生のための経費
4. 教育研究活動以外に使用する施設、設備の修繕、維持、保全に要する経費
(減価償却贅を含む。)
5. 学生生徒等の募集のために要する経費
6. 補助活動事業のうち食堂、売店のために要する経費
7. 附属病院業務のうち教育研究業務以外の業務に要する経費

要するに、この項目に当てはまらないかつ、特定の使途に従った経費のことを教育研究経費と呼ぶみたいです。この特定の使途とは十中八九、教育と研究のことでしょう。

教育研究経費の項目を見てみましょう。光熱水費支出を例に挙げてみましょう。この項目は管理経費にも同じ項目があります。光熱水費支出は授業の実験で使用した場合は恐らく教育研究経費に分類されるでしょう。しかし、日常的な学校運営で使用された場合は恐らく管理経費に分類されるでしょう。

では、研究や教育に早稲田は力をいれておらず、慶應義塾の方が圧倒的にお金を研究や教育に力をいれているのか?と言うと、そんなことはなさそうです。これまた、慶應義塾は医学部・附属病院があり、そこでの経費がとても大きいです。慶應義塾の635億0637万1177円に対して、医療経費支出は264億7374万7088円と実に42%も占めています。この医療経費支出を除くと、慶應義塾の教育研究経費は370億3262万4089円になり、早稲田の328億2363万3558円とだいぶ近くなりました。こう見ると、医学部以外の大学機関を比較すると、そんなに大差ないのでは?と思えました。

総括

本当はB/Sも見ようと思ったのですが、見ていてもあんまりおもしろくなかったので、やめました。ごめんなさい。
日本の私立大学で2強と思われている慶應義塾と早稲田を要する2法人を比較しましたが、医学部があるかどうかで収入と支出が大きく変わるが、医学部のそれを除けば大差ないんだなぁと思いました。
ただ、MITは学生数がおよそ1万人と早慶4分の1~5分の1であるが、収入は3倍もあるのを見ると、もっと早慶もお金を稼いで、教育研究や人件費にお金を使うことができるのではないでしょうか?国公立であれば、国からの予算管理等がありそうですが、私立であれば、国公立ほど厳しくなさそうなので、もっと良い教育、研究を行うために貪欲になっても良いのでは?と思いました。もちろん、「生徒が大金を用意すれば、入学できる。」という状況を作って欲しいわけではなく、「学費は高いが、卒業後は研究機関や民間企業で素晴らしい成果を残すことができる。」状況を作るために収益を上げようとするのは、悪いことではないと思います。
研究や教育には金が掛かるものなはずで、その金にアメリカとの差があるのは恐らく間違いありません。その差を埋めるためにも何か収益を上げる仕組みを作って欲しいです。



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