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人生を共にできる暮らしの道具に出合う。

先日、録画していたNHK番組『美の壺』の「食卓を彩る 銅」を観た。

草刈正雄さんが、台所の棚から、銅製の明石焼き器を取り出すところから、番組は始まるのだが、持っている器は黒ずんでいた。塩と酢を混ぜたものをスポンジに染み込ませて器を磨き込むと、黒から光沢を帯びた赤褐色に変化。

美しい。

番組では、主婦、フランス料理人、ジャム作りの料理研究家、一枚の銅から器をつくる鎚起(ついき)職人、どら焼き職人など、様々な現場の立場の視点から、銅という存在が描かれていた。

彼らの銅製品を使う姿や語られることばから、銅の性質、銅への思い入れ、銅の持つ魅力が伝わってきた。

銅は、熱伝導率がステンレスの24倍とのこと。熱しやすく冷めやすい。酸味を含むフルーツを煮込む時に、銅から溶け出す銅イオンの効果で、色止め効果があると言われている。結果、ジャムにしてもフルーツの色が落ちない。

銅を加熱することで、色は変化する。銅の融点近くまで温度をあげて、水で急激に冷やすことで、色鮮やかで、美しい赤が生まれる。

番組の中で、約90歳になる料理家の方が、若い頃、師匠の方にプレゼントされた銅鍋を、今でも大事に手入れして使っている姿をみて、いいなぁと思った。

おいしい料理をつくるには、いいお鍋を買いなさいという、90の彼女のことばが、妙にぼくの心に残っている。

銅でつくられた道具が、暮らしの中で愛着が持てる存在になって、長く大事にしたい存在になっていく。使う人の記憶、想い、年月が刻まれていく銅の魅力に、ぼくは憧れを持った。

銅に限らずだけれど、使う人間の過去を包んでくれる道具に、少しずつ出合って、人生を共にしていくのも、たのしいだろうな。

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現在、目玉焼き用の鉄製フライパン、銅製(たぶん)のコップが自宅にある。なぜか使い続けているうちに、愛着が持つようになった。

長く大事にしていきたい。


最後まで読んでいただきありがとうございます。日本の表現に「モノには魂が宿る」とありますが、今回の番組を観て、それを意識させられました。ぼくの場合は、道具以上に、ぬいぐるみにも魂が宿っていると、子供の頃から、ずっと思っています。

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