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【締付体操】日中-体位・基礎クラスの授業風景(30分動画)

ここでは尾山ヨガ教室の日中-体位・基礎クラスで行っている「締付体操しめつけたいそう」を紹介する。
この「締付体操」とは、ハタ・ヨガにおける技法の中核をなすであろう『バンダ(bandah)』をリズム化した尾山ヨガ教室独自の体操法である。尾山ヨガ教室においては、「締付=伸び」であり、それは身体の自然を目覚めさせ元気を通すための「伸び体操」といえるものである。

動画をご覧になる前に、以下の大前提、要領・注意をよく読み、心地よい締付を実践されたし。

大前提

以下に説明する要領・注意は、あくまで心地よさ、気持ちよさと呼ばれる快感を生むための姿勢作りを促すためのものである。ゆえに要領・注意に従っていてもそこに快感が生まれていなければ意味がない。逆に快感が生まれてさえいれば、それ以上に従うことなど何一つ無い、ということである。

頭脳ではなく、身体・生命の声に耳を傾けながらそれに従い、誰にでも自然あたりまえに起こりうる「伸び、欠伸あくび」の快感を味わえたなら、これ以上に何の御託ごたくを語る必要もないというのが結論である。
つまるところ、以下の御託ごたく(要領・注意)は、「どーしても心地よくない」という方々のための手引きに過ぎない。

要領

まず、「締付しめつけ」をめて心地よく「伸び」を成功させるためには、全身が協力した姿勢が必要である。そのためには次に示す3種類の演技をすることが役に立つ。

1.チカラを込めようとする(締付体操Ⅰ~Ⅴ)

ふんぐぅぅぅ…(≧_≦)

全身が協力した姿勢を作るために役立つ方法の一つは、チカラを込めようとするときの勢力(チカラの勢い、流れ)を生み出すことである。
例えば「こぶしを握る」形体においてこの「勢力」を生み出すためには、拳を「ギュウッ」っと「握る」のではなく、拳を握った形体のまま「ふんぐぅぅぅ…(≧_≦)」とチカラを込めて拳を「握ろうとする」ことである。

チカラを入れて拳を握ってしまうと「手」だけの運動に陥りやすい。つまり全身が協力することのない部分的な運動になりやすいのである。
一方、チカラを込めて拳を握ろうとするとき「全身」の運動になりやすい。つまり全身に勢いが生まれやすく、全身が協力した全体的な運動になりやすいのである。

全身に「勢力」が流れると、全身の「姿形」がおのずと変化していく。例えば先程の「拳を握る」形体の場合、ひじが曲がっていき、わきが浮き首がすくみ背骨が前屈していき(猫背になっていき)、眉毛が下がり歯が噛み合っていき(しかめっ面になっていき)、そして腹部が凹んではら(下腹部)に勢力チカラが集まっていくなどの変化が起こっていれば成功である。(参考:締付体操Ⅱ ①)

2.痛がる(締付体操Ⅵ アイタタ体操)

アイタタタッ(>_<)

全身が協力した姿勢を作るために役立つ方法の一つは、痛がる、あるいは痛みを我慢しようとするときの勢力(チカラの勢い、流れ)を生み出すことである。
例えば「口を閉じる」形体においてこの「勢い」を生み出すためには、口を「ギュウッ」と「閉じる」のではなく、口を閉じた形体のまま「アイタタタッ(>_<)」と「痛がる」ことである。

人体は危険に注意を向けさせるための感覚である「痛み」に対する反射作用を備えており、例えば膝をぶつけて「痛み」が起こったなら、膝を抱えて、わきが浮き首がすくみ背骨が前屈していき(猫背になっていき)、眉毛が下がり歯が噛み合っていき(しかめっ面になっていき)、そして腹部が凹んで肚(下腹部)に勢力チカラが集まっていくなどの変化が起こるものである。

3.驚く(締付体操Ⅵ ビックリ体操)

うわぁぁぁーっ(⦿0⦿)

全身が協力した姿勢を作るために役立つ方法の一つは、驚くときの勢力(チカラの勢い、流れ)を生み出すことである。
例えば「目を開ける」形体においてこの「勢い」を生み出すためには、目を「パアッ」と「開く」のではなく、目を開いた形体のまま「うわぁぁぁーっ(⦿0⦿)」と「驚く」ことである。

人体は危険と認知したことに対する反射作用である「驚き反応」とでも呼べる機能を備えており、例えばスズメバチが頭上に迫ってきて「恐怖、驚き」が起こったなら、体勢を低くし、わきが浮き首がすくみ背骨が前屈していき(猫背になっていき)、眉毛が歪み歯が噛み合っていき(しかめっ面になっていき)、そして腹部が凹んで肚(下腹部)に勢力チカラが集まっていくなどの変化が起こるものである。

補足
尾山ヨガ教室においては、「締付イコール伸び」であり、いずれの要点を実践するしても、「のびのびイキイキ」とした感覚のなかで取り組むことが肝要である。
ご承知のように「伸び」も「のびのび」もストレッチではない一概いちがいには言えないが「伸び」も「のびのび」も身長が長く伸びようとする状態である。例えば立位姿勢であれば、下腹部の勢力エネルギーが圧縮され、その勢力エネルギーが上下に力強く流れ、下半身は地に上半身は天に方向付き、身長がしなやかに伸びる力強い感覚を伴うものである。この流れが快を生む根幹であり、ハタ・ヨガでは「上昇の締付(ウディヤーナ・バンダ)」などと大層な名称で呼ばれている。

とにもかくにも、ラジオ体操のように部分的で機械的ロボットのような決まりきった動きではなく、のびのびイキイキと全身【脚の付け根から足先まで、腕の付け根から手先まで、頭の付け根からあごくちびるしたほおまぶたまゆひたい・頭皮周りまで、骨盤から背骨、鎖骨さこつ肩甲骨けんこうこつ周りまで】と【呼吸(いきみ、発声)】が協力し合い躍動している生命自然の縦横無尽な動きを表現されたし。

注意

以上3つの要領を役立て、心地よい締付をめるためにも、以下に示す2つを明確に区別しておくと良い。

1.「動作」と「締付」を混同しない

形作る「動作」とチカラを込める「締付」を混同してはいけない。お話をしたように、締付体操では故意にチカラを入れてはいけない。例えば「拳を握る」形体であれば「拳を握る」という動作にチカラを入れてはいけない。ただ「そお〜っと」形作るだけで良い。
締付の要点はチカラを入れることではなく、全身が協力するチカラの流れ、勢いを生むことにあることを忘れてはいけない。リキむことなく空っぽになって、一つの動作に向けて全身が連れていかれるような流れを感じながら行えるように「チカラを込める」を練習してみると良い。

2.「チカラを入れる」と「チカラが入る」を混同しない

動作はリキまない範囲で動くことが肝要である。例えば「拳を握る」形体であれば指先が手のひらに触れるまでの動きで良い。さらに握ろうとすれば指先が手のひらにめり込んでいくが、1ミリもめり込ませてはいけない。その1ミリが"チカラの流れの衝突"であり"リキみ"であり"頑張り"である
ただし、1ミリもめり込んでいない姿勢においてチカラを込めたその結果、全身の流れのなかでおのずとチカラが入り、指先はめり込んでいくものである。

言葉の定義によりけりではあるが、ここでいうところの「チカラを入れる」とは部分的であり勢力の衝突である。一方、「チカラを込める(締付ける)」とは全体的であり勢力の一致であり、全身同時に「チカラが入る(流れる)」ものである。
このチカラを「れる/はいる(流れる)」を混同してはいけない。

これらの混同を避けるためにも、姿形かたち作りは大きく動こうとせず「小さな動き」、ふわふわ〜っと「軽やかな動き」を心がけておくと良い。

そろそろ御託もこれくらいとするが、つまるところ形体かたちがどうであろうと快感が生じれば良いのである。あくまで締付の要点は正しい姿勢作りにあり、それは正しい姿形かたちを作ることではなく、正しい勢力いきおいによる快感を生むことに本質があることを忘れてはいけない。
この快感こそ、身体が求めていることであり、身体が自ずから調整され、最適化していくための正しい姿勢といえるはずである。

⚠︎ caution
・ 軽やかに小さなチカラで動こうとする☝︎
・ 大きく動こうとしない☝︎
・ 快感が生じるようにチカラを込める☝︎

やってみよう、締付体操

では、動画を見ながら上記の要領・注意を考慮しつつ、快感きわまる締付体操を行ってみよう。下記にはその内容説明と補足事項を載せておく。

締付体操Ⅰ 動画02:42~

主に「脚の形体」を変形させて締付を行う体操
① 指:閉じる ↔ 開く
② 踵:引く ↔ 出す(足首の底屈と背屈)
③ 脚:内捻り ↔ 外捻り(脚の内旋と外旋)
④ 足:内回し
⑤ 足:外回し

締付体操Ⅱ 動画06:46~

主に「鼠蹊窩そけいか」を起点にして締付を行う体操
① 鼠蹊窩:出す ↔ 引く
② 鼠蹊窩:左
③ 鼠蹊窩:右
④ 踵:上げる ↔ 膝:曲げる(鼠蹊窩:引く)
鼠蹊窩そけいか:恥骨の両サイドあたり、いわゆるハイレグライン上にあるくぼみであり、脚の付根にあるくぼみ

締付体操Ⅲ 動画10:27~

主に「腕の形体」を変化させて締付を行う体操
① 指 :閉じる ↔ 開く
② 手首:内折り ↔ 外折り(手首の掌屈と背屈)
③ 腕 :内捻り ↔ 外捻り(腕の内旋と外旋)

締付体操Ⅳ 動画13:17~

主に「腋窩えきか」を起点にして締付を行う体操
① 腋窩 :下げる ↔ 上げる
② 腋窩 :前 ↔ 後
③ 左腋窩:下げる(右腋:上げる)
④ 右腋窩:下げる(左脇:下げる)
⑤ 腋窩 :前回し
⑥ 腋窩 :後回し
腋窩えきか:いわゆるわきであり、腕の付根にあるくぼみ

締付体操Ⅴ 動画17:55~

主に「頸窩けいか」を起点にして締付を行う体操
① 頸窩:引く ↔ 出す
② 頭 :左傾げ(左頸窩:左)
③ 頭 :右傾げ(右頸窩:右)
④ 首 :左捻り(右頸窩:出す)
⑤ 首 :右捻り(左頸窩:出す)
頸窩けいか:いわゆる盆窪ぼんのくぼであり、頭の付根にあるくぼみ

締付体操Ⅵ アイタタ体操(>_<) 動画21:53~

主に「口の形体」を変化させて締付を行う体操
① 口 :閉じる ↔ 開ける
② 下顎:出す ↔ 引く
③ 下顎:左
④ 下顎:右
⑤ 下顎:左回し
⑥ 下顎:右回し
下顎したあごを動かす体操であり、噛み合わせをズラす動作

補足
①で口を開けるさいは、「あああぁぁぁ〜(´◯`)」と大きな欠伸あくびをするように、あるいは「アアアァァァーッ(`Д´)」と怒り叫ぶように、あるいはネコが「ナアアアァァァーッ(`Д´)」、ライオンが「グアアアァァァーッ(`Д´)」などと威嚇するように行うと良い。

締付体操Ⅶ ビックリ体操(⦿0⦿) 動画25:45~

主に「視線の位置」を変化させて締付を行う体操
① 視線:近く ↔ 遠く
② 視線:上 ↔ 下
③ 視線:左
④ 視線:右
⑤ 視線:右回し
⑥ 視線:左回し

補足1
①で近くを見るときは目を閉じてまぶたを見ようとし、遠くを見るときは実際に遠くを見るか、あるいは遠くに山などをイメージしてそれを見ようとすると良い。
また⑤⑥で見回すときは、ハチハエなどが飛び回っている姿をイメージして、怖がりながら、あるいは驚きながら、あるいはネコが獲物を目で追っているかのように見ると良い。(以下、参考動画 ↓)

補足2
締付体操Ⅶは、いわゆる「眼の体操」になってはいけない。それはつまり眼球を動かそうとしてはいけないということである。ここでは「眼球」を上や下に動かそうとするのではなく、「視線」を上や下に動かそうとする、つまり何かを見ようとすることが肝要である。

眼球を動かそうとしてしまうと「眼」だけの運動に陥りやすい。つまり全身が協力することのない部分的な運動になりやすいのである。
一方、視線を動かし何かを見ようとするとき「全身」の運動になりやすい。つまり全身に勢いが生まれやすく、全身が協力した全体的な運動になりやすいのである。

そもそも「目」は見るための器官である。「見る」という行為をしてこそ、その自然な動きは発露されるはずである。

眼球に限らず、部分的で機械的な動作は疲れる。しかし全体的で自然な動作は疲れにくく快適、快感、爽快、疑いなく心地よいものである。
それは1人よがりに仕事をするより、みんなで一致協力して仕事をする方が楽なのと同じなのである。

参考

参考ウェブ

参考図書


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