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【解説】各広告媒体の計測乖離について

こんにちは!!キンジョーです。
本日は最近ご相談を受けることが多くなったことについて書いて見ようと思います。

それは各媒体や計測ツール間の計測乖離についてです。

今回は計測乖離が発生する原因を理解することで各広告媒体の効果を正しく比較、評価する手助けになれば良いなと思いこのnoteを書いています。

想定する読者

  • 最近アプリ広告運用に関わりはじめたマーケティング担当者

  • 複数媒体を運用している担当者


計測乖離とは何なのかというところから説明し、乖離が起きる可能性のあるいくつかのパターンをご紹介します。

計測乖離とは

まず、計測乖離とはその名の通りで説明する必要もないかもしれませんが、各広告媒体管理画面や計測ツール間で計測数値にズレが発生することです。

ここからは各媒体の計測乖離が起きる理由について記載をしていきます。

API連携媒体とMMPの計測乖離が起きる理由

まずはSelf Reporting Networkや、Self-attributing networksと呼ばれる、MMPとAPI連携をしているGoogleやMeta、Twitterのような媒体の広告管理画面と、MMPの管理画面上の数値に乖離が起きる要因について説明します。

成果の判定主体の違い

API連携媒体とMMPの計測乖離の原因の1つがアトリビューションの判定主体が異なることです。

一般的な広告ネットワークは、アプリがインストールされた際にMMP側でアトリビューションの判定を行い、その結果を広告ネットワークに通知します。
そして、広告ネットワークはその通知をベースに管理画面にデータを表示します。
その為、MMP > 広告ネットワークの成果連携に問題が無い限り、MMP管理画面で表示される数値と一致します。

下記図のようにユーザーがトラッカー(広告)をクリックや視聴すると、一度MMPのサーバーにアトリビューション情報が送られ、アプリを初回起動した際にアプリに設置されたSDKが起動し、MMPのサーバーにあるアトリビューション情報と紐づけを行い成果を判定します。

一方、API連携媒体は、自らアトリビューションの判定を行います。
下の図のようにトラッカー(広告)をクリックや視聴するとMMPのサーバーにリダイレクトすることなく、自社のサーバーにリダイレクトし、アプリストアへ遷移します。

そしてユーザーがアプリ起動を行った際にSDKが起動します。

その後MMPから媒体社のサーバーにすべてのインストールユーザー情報(IDFA等)を送り、媒体社側で該当のインストールと紐づくアトリビューションを確認してMMPにアトリビューション情報を送ります。

API連携媒体は、MMPから送られてくるインストールしたユーザー情報を自社のサーバーにあるアトリビューション情報に紐づけて成果判定を行います。
一方MMPは様々な媒体のアトリビューション情報を受け取り、最後に有効なアトリビューションを付与した媒体の成果として判定を行います。

例えばあるユーザーがGoogle広告をclickしたがインストールせず、時間をおいて別の広告ネットワークの広告をclickしてインストールしたとします。

その場合、Googleは自社のサーバーにあるアトリビューション情報をもとに自社経由のインストールとして管理画面に表示します。
その一方MMPの管理画面上では、他広告ネットワークのインストールになるためGoogle広告の管理画面と乖離がおきます。

この判定基準の違いが管理画面上の計測乖離を生みます。

インストール定義の違い

その他にApp Search Ads(ASA)の管理画面とMMPの管理画面の数値に乖離が起きる事があります。

アプリストアではユーザーの【インストール】を計測できるが、MMPは【初回起動】しか計測出来ないためです。

例えばASAの広告をクリックしてアプリをインストールしたが、起動せずその間に他ネットワークの広告をクリックした場合などは、ASAの管理画面にはASAのインストールとして計上され、MMPの管理画面には他ネットワークのインストールとして計上されるため乖離が起きます。

リアトリビューション期間による新規インストールの定義の違い

MMPのリアトリビューション期間が原因でインストール数に乖離が生じる事があります。

リアトリビューションとは、ユーザーが一度アプリをアンインストールし、その後リアトリビューション期間内に、再インストールした場合にリアトリビューションとして計測され、新規インストールとしては計測されない機能です。

逆に言うとリアトリビューション期間を過ぎると、MMP上では新規ユーザーとして計上されます。

例えばユーザーがアプリを一度インストールしてから、アプリを削除、そして初回インストールしてから90日経過した後に再度インストールした場合を考えます。
この場合はAPI連携媒体の管理画面では再インストールとして上がりますが、MMP側では新規インストールとして計上されるため乖離が生じます。

ちなみにリアトリビューション期間は広告主側で設定可能です。

タイムゾーンの違い

管理画面に表示するレポートのタイムゾーンの違いでも数値に乖離が起きます。

弊社に乖離の相談があった際の原因として意外と多かったりするのですが、計測乖離がありそうなときは一度タイムゾーンがどこになっているか確認しても良いかもしれません。

これまで各広告管理画面とMMPの計測乖離についてご説明してきましたが、MMPの管理画面のみを確認すれば各広告プラットフォームの成果を正しく比較できそうに思えます。

各広告媒体の成果がMMPにまとまっているのであれば、MMPだけを見ればアトリビューションの判定基準やタイムゾーンについて気にせず正確な広告評価ができるのではと。

実は、そうではないのです。
その理由は、MMPに送るアトリビューションの定義が異なるためです。

各媒体のアトリビューション定義について

先程API連携媒体と一般的な広告プラットフォームではアトリビューションの判定主体が異なるというお話をさせていただきました。

実はAPI連携媒体は自らアトリビューションを判定するだけではなく、他広告プラットフォームがMMPで計測されるのとは異なるアトリビューションの判定基準を持っています。

例えばGoogle広告は10秒以上の動画を10秒間視聴(10秒未満の動画の場合は動画の完全視聴)した場合は、クリックスルーアトリビューションとしてMMPにアトリビューションを送信します。

動画視聴後のインストールですので、本来はビュースルーアトリビューションのインストールとして計上すべきな気もしますが、MMPの管理画面上ではクリックアトリビューションの成果として計上されます。

またTwitter広告の場合は、2秒の動画視聴でMMPにクリックアトリビューションとして成果を送信します。

API連携媒体以外にも、ビュースルーアトリビューションをクリックアトリビューションでMMPに送っているアドネットワークもあります。

ちなみにMMPではクリックスルーアトリビューションは、ビュースルーアトリビューションよりも常に優先してインストールにアトリビューションが紐付けられます。

アトリビューションの優先順位に関しては弊社の正田がまとめておりますので、ご興味ある方は読んでみてください。

このようにAPI連携媒体をはじめ各広告プラットフォームが、異なる基準でインストールに紐づくアトリビューションをMMPに対して送っているため、MMPの管理画面上だけだと正しい広告評価が出来ない懸念があります。

正しい広告評価をするために

MMPの管理画面ではアトリビューションの判定主体が異なったり判定基準が異なったりしてMMPの管理画面に表示される数値だけを見ていては正しい広告評価が出来ないように思えます。

では我々マーケターとしてどのように広告を評価し、マーケティングに関する意思決定をするべきでしょうか?
私は

  • まずは各媒体のアトリビューション判定基準が異なることを理解すること

  • その上で各広告媒体の管理画面とMMPの管理画面を行き来しながら、なるべく判断基準を揃えて広告評価を行うこと

  • そして、可能な限り評価軸を揃えた状態で各広告媒体を比較し、正しい意思決定をすること

が必要だと考えます。

正しい広告評価をするうえで、正確なデータを確認することは欠かせません。
各媒体が異なるルールで計測している現状では、なかなか正しいデータを見て、各広告施策を横並びで判断する事は難しいかもしれません。

しかし、なるべくデータの計測定義を揃え、横並びで比較、評価する努力を怠るべきではないと考えています。

クリックスルーコンバージョンとして計測されている成果は、本当にユーザーが広告をクリックしたものなのか?
各広告ネットワークのアトリビューションが有効と判定される期間は同じ期間なのか?

まずは自分が今見ているデータがどのように計測されたものなのかを考えることで、広告価値がより鮮明に見えてくるのではないでしょうか?

ここまで読んでいただきありがとうございました!

この記事で何か間違っていることがあれば、教えていただけると嬉しいです!!

noteのネタは常に探しております(実際どんな記事に需要があるのかか知りたい、、)ので、気になることや詳しく知りたいことがあればぜひご連絡いただけると嬉しいです。

この記事に関することでもそうでないことでも、色々と情報交換をしたいと思っているのでぜひ飲みにいきましょう!!

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