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Mendelssohn Op.63 Nr.5 (#038)

“r”の発音に関してあまり説明してません。これはドイツ語に有る特有の問題が沢山有る為です。今回ここで説明したいのは単純に舌での”rrrrr“の話です。この“r”はドイツ、イタリアは勿論ほぼ全てのヨーロッパの言語(フランス語やオランダ語の発音は勿論別です。)で使用されており、この“R”が使えなければ正直先には進むことは難しいです。勿論、歌う場合ですよ。

この“r”に触れてこなかったのには幾つか理由が有りますが一番大きな問題は、この”r“が日本語にない事です。発音をするのに多少なりの訓練が必要です。そして次に表記上の問題です。日本語に無い音を表記するのには限界が有ります。

外国語をカタカナで表記するのには限界がある事は理解されていると思います。以前にも“s”と“t”の発音だけはアルファベット表記のままにしました。これは表記上の問題だけでなく、発音を比較的に簡単に改善出来ると考えたからです。しかし“R”はそう言うわけにはいかないかなぁと思います。

どうしてもカタカナで読み方を振ると“ラリルレロ“と表記してしまうかと思います。それでは”L行”と“R行“の区別をつける事が出来ません。”L行”をひらがな表記し、“R行“をカタカナ表記にしたところで、発音を区別する程効果は出ないと思います。どうしてもカタカナ表記を付ける場合は”L“なのか“R”なのか、また区別が必要な箇所だけでも“R”はそのままアルファベットで表記し発音する必要が有ります。

舌で”rrrrr“さえ出来ればほぼ解決出来るのですが…

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それでは今回のテキストで“R”を見ていきましょう。一旦すべての”r”を見ていきます。同じ単語は割愛していきます。

der, dort, Sturme, vor, Sturm,
dir, wär, Herz, Zufluchtsort, Gern,
braun, dürr, Paradiese, würde, Wärst,
mir, Erde, meiner, Krone

間違いがなければこの19個になります。ここから色んな形でふるいにかけていきます。先ずは語尾の”r”を割愛していきます。語尾の”r”には2種類あると思って下さい。一つは単純に”r”がついたものもう一つは”er”になります。これらは”ァ”に近い発音をするのでとりあえず”カタカナ表記可”と考えて良いかと思います。

der, vor, dir, mir, meiner(デァ、フォァ 、ディァ、ミァ、マイナー)

この5つになります。”dürr”は?と思われるかもしれませんが、”r”が2つ重なる場合は強調しないといけないので同じように扱えません。次は”er”を見ていきます。これは勿論語尾につく場合もありますが、単語の冒頭や真ん中に入った形も多くあります。

Herz, Gern, Erde(へァツ、ゲァン 、エァデ)

この3つも一応”カタカナ表記可”と言えるかと思います。次は”子音+r”の二重子音の形です。

braun, Krone(ブラォン、クローネ)

これは正直賛否両論あるかと思いますが”カタカナ表記可”でギリギリ目を瞑っても良いかと思っています。勿論出来れば巻き舌で発音出来るに越した事はありません。この”子音+r”を練習する際は一旦言葉を分解して練習する事をお勧めします。

例:b+raun, K+rone のようにして後ろの言葉”raun”もしくは”rone“から練習してその後冒頭の子音を足すように練習するととても良いと思います。最後に”母音+r”の形で”er“以外のものになります。ここからカタカナ表記に限界が出るところです。

dort, Sturme, Sturm, wär, Zufluchtsort, würde, Wärst,
(ドルt、シュトゥー(r)メ、シュトゥー(r)ム、ヴェァ、ツゥフロッホツ / オルt、ヴュルデ 、ヴェァst)

初回、この様にカタカナ表記したかと思いますが、やはりこのパターでは出来れば“r“を巻いて頂いた方がより一層ドイツ語っぽく聞こえると思います。今後はこちらの方法でカタカナ表記をしていきたいと思います。

(ドrt、シュトゥーrメ、シュトゥーrム、ヴェr、ツゥフロッホツ / オrt、ヴュrデ、ヴェrst)

例外が今回2つあります。

dürr, Paradiese

”dürr”は語尾に”r”があり、尚且つ”母音+r”の形です。これがもし1つの”r”だけなら”ドュァ”で良いのかもしれませんが、元々この小さな”ァ”は子音扱いなので”ドュァァ”と重ねることが出来ません。また”ドュrァ”も”ドュァr”も無理です。こればかりは”ドューrr”と語尾をしっかり巻く必要があります。

”Paradiese”は”母音+r+母音”なので自然な読み方で良いと思います。”パラディーゼ ”で大丈夫です。でも”Paladise“ではありません。

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細かく”r”について話をしてきましたが、まだまだ例外もあったりして話尽きません。今回一番大切なのはとにかく舌で”rrrrr“が出来るようになることです。まだ慣れない方はひたすらこれを練習し続けて下さい。

Kohei S.

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