既婚でありながら男を好きなった一年を振り返る

note を開始したのが12月ということもあり,2度目の投稿が一年の振り返りとなった.年末になると,Facebook で1年を振り返る人をよく見かける.見かけるだけではなく,今年は自分も書いてみよっかなあ,なんて思ったが,今年は「自分と男との関係」ばっかり考えさせられた特別な年で,どうもFacebook には書けそうにない.そこで,ここに書くことを試みる.赤裸々に書く(そのためか,ですます調にすらないっていない)ので,場合によっては後日,削除するかもしれない.

自己紹介で述べた通り,僕は既婚バイである.ただ,これまで浮気をすることはなく,出張のときに発散する形で処理していた.妻とはときどき,する.少し前は,2つの違う世界が混乱してうまくできない時期もあったが,最近はそんなことはない.それは,考えないようにしていたからか,本当に気にならないのかわからない.

基本的に仕事が忙しいため,仕事のことばかり考えてきたからかもしれない.「忙しい」の字のごとく,「忄(こころ)」を「亡」くしていた.でもそれは,辛かったわけではまったくなく,公私ともに充実していた.「考えないようにしていた」というより,考える機会(暇?)がなかったのだと思う.

2020年も同じスピード感で,オリンピックを脇目に忙しく過ぎ去っていくのだと思っていた.でも,そうではなかった.

コロナの感染拡大とともに出張がなくなった.すると,今まで溜まりがちだった仕事も片付き,仕事に余裕が生まれた.一方で,周りの環境は「新しい生活様式」に慣れていなくて,オンライン会議などの波はまだ到来していなかった.今の仕事を始めて以来,初めて「忙しくない」日々を過ごした.

すると,今まで出張で発散していたものが発散できなくなり,バランスが崩れた.ちょうどその少し前(2月頃),ネットで知り合った人にゲイアプリの存在を教えられた.これが良くなかった.

それまで,お店で発散することで「男と H する存在」をお店の中に限定し,何となく境界を作ってきた.ところが,何気なくアプリを覗くと,お店の外にも,職場の近くにも,それどころか,家の近くにまで「そうした」男性が身を潜めている(もちろん,堂々と自己紹介している方もたくさんいる)ことを知った.ついには,出張ではない普段の仕事を抜け出して何人もの男と会い,する始末.そんな上半期だった.

7月になると,体の関係では飽き足らず,友達関係を求めるようになった.1回会ってさよなら,ではなく,他愛のない会話を含めて「何でも」話し合える友達が欲しくなったのだ.友達募集で何人かアタックすると,1人だけ,真摯に会話を続けてくれる人が現れた.彼とは共通点も多く,たくさん話して,会う約束をした.下心がなかったとは口が裂けても,マスクをしていても言えないが,それでも,自分の秘密を明かしたうえで普通に話せることが嬉しかった.

そこで止めておくべきだった.1人の人を愛するべきだという考えで真面目なパートナーを探していた彼をそそのかし,そういう関係にしてしまった.

今思えば,でも,そこで止めることはできなかった.それは彼を本気で好きになったからなのか,下心が強かっただけなのか,今でもよくわからない.ただ,彼が他の男とははっきり異なることだけはわかっていた.毎日のように連絡を取り,会話や電話が続くと嬉しくて仕方なくて,逆に連絡が途切れると寂しくなり,何度も連絡してしまう.結局,そんな日々は長く続かず,2週間ほど経った頃,彼から会うのを止めようと言われた.仕事が忙しいと言って会う予定をキャンセルする彼にどうしても会いたくなり,夜中にタクシーで会いに行ったのだ.「そんなことをされても困る,元々,こういう関係は良くないと思っていた.ちょうど良いからやめにしよう」と.

それからというもの,彼への行動に対する後悔,アプリなんかを始めたことに対する後悔,男性が恋愛対象になり得ることに対する驚き,そもそも家族にとんでもないことをしたという反省が渦巻く日々.

特に,妻と子供に対して改めて考えさせられた.ここまで読者を呆れさせておいてダメ押しの一打だが,自分の性癖を結婚前から認識していた.当時も何度も考えたが,これは自分の変わった趣味で,まず恋愛対象ではないから,と片付けていた.ところが,もし男が恋愛対象になるなら話は別だ.正直に話して別れるべきではないか.でも,それってもっと無責任ではないか.そんな夏休みだった.

下半期になると,少しずつ仕事も忙しくなった.ただ,こんな夏休みを経験した自分は,これまでの自分とはまるで違う.もはや別人の気分だ.「忄(こころ)」を「亡」くすことはできず,悶々としながら過ごした.とりあえずアプリは止めて,色んな人(と言っても限られるが)に相談して,そのくせ Twitter で裏アカを作り,投稿動画を見て1人で発散するという中途半端な日々.

でも,それほど忙しくない(というか自分のエンジンが止まってしまった)下半期は,家族との時間が増えた(実は上半期は,他の事情で家族との時間は意外と少なかった).近くの公園に遊びに行ったり,たまに遠くへ出かけたり.何気ない時間がとても愛おしくて,「性」だけを除けば,こんなに素敵な日々が目の前に広がっているんだなと感謝するようになった.

そのうち,Twitter を見てもあまり興奮しなくなった.正確にいうと,Twitter のそうしたアカウントはあまりに過激で,アレを見るのに少しうんざりするようになった.自分でも驚きだった.大好きなご飯を食べ過ぎてトラウマになるあの感覚に近いのかもしれない 笑.

そんな,様々な心境の変化を経て,「今は」あまり男性への興味がない.単なる適応かもしれない(さらに言えば,自分を騙して適応しているふりをしているだけかもしれない).でも,夏休みを経て,少し年を取った,そんな1年だった.このまま家族と平穏に暮らいていけるのか,もし彼とまた話をする機会に(ないと思うが)出会えた時に笑って話せるのか,これからの楽しみにしたい.また気が向いたときに記事を書こうと思う.

書いているうちに年が明けてしまった.コロナをきっかけに大きな変化を迎えた,と言うよりパンドラの箱を開けられた2020年が終わった.2021年は,仕事と家庭に集中できるパパになりたい.

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