言わないのは、考えていないのと一緒。

ちょうど10年前のこと。
上司から、人事考課のフィードバックを受けていて、評価についても大きな不満はなく、順調に終わろうとしていた。
終了間際に上司から、「今の部署とか、チームについてどう思う?」と聞かれた。

そこで自分は、普段から感じていたことを、軽いノリで話した。

「今の組織って、こういうとこが問題だと思っていて」
「やっぱり、こうすべきだと思うんですよねー」

みたいな感じて、若手のクセに評論家気取りで、それこそ居酒屋にでもいるような軽いノリで話をした。
そんな若手の話を、静かに聞いていた上司が、一通り話を聞いたあと、

「オマエ、それだけ問題だと思っているなら、なんで言わないんだ」

軽いノリで話をしていたオレは、ちょっとだけ納得いかない顔をしながら、

「いやいや、こんな若手の言うことなんて、誰も聞いてくれるわけないじゃないっすか」

と言い訳じみた受け答えをしてしまったあと、上司が一言、

言わないのは、考えていないのと一緒だぞ。
 オマエ、そんな調子じゃ、この先ずっと周りから、何も考えていないやつだと思われるぞ」

上司から言われた、「言わないのは考えていないのと一緒」という言葉にハッとした。

言わないのは考えていないのと一緒。
この言葉は、他人よりは物事を考えているつもりになっていた評論家きどりの自分に、ものすごく大きな衝撃を与えた。
同時に、評論家きどりで、考えを口にすら出さない自分自身のことを、大きく恥じた。

この一件以来、「言わないのは考えていないとの一緒」という言葉は、自分自身の軸になった。
自分自身が考え抜いた結論ならば、相手が部長だろうと社長だろうと誰だろうと、忖度せずに伝えている。
そして、単なる評論家にならないように、自分自身がハンズオンで関わるつもりで、相手に伝えている。

もちろん伝えることでハレーションが起きてしまうこともあるけれど、本当に器の大きな人は、誰の意見でもフラットに聞いてくれることも分かった。

「言わないのは考えていないとの一緒」、この言葉は、多くの若手ビジネスパーソンに伝えていきたいと考えている。

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