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活躍する現役ライターに聞く!案件を獲得するコツや愛用する仕事道具は?~カメライター小澤さん編~

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東日本から西日本まで、「取材に行けますか?」と聞かれれば、幅広い地域の案件を請け負っているというカメライターの小澤志穂さん。小澤さんの写真は、見る人の心にほっこりとした優しい気持ちや爽やかな感動をもたらしてくれます。

多いときには月に40人に取材をする超多忙な小澤さんですが、実はリフレッシュ上手な一面もあるのだとか。カメライター初心者はもちろん、地方に住んでいてこれから活躍の場を広げたいライターさんにとっては、小澤さんのライター道が参考になるかもしれませんね。

今回は愛知県で活躍する小澤さんから、地方在住の強みを活かすコツやカメライターとしての極意までじっくりとお話を伺いました!

1カ月に40人取材することも!自分のペースを守るコツとは?

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ーーまずは、小澤さんの現在のお仕事について伺えますか?

私は専業ライターとして活動しています。お取引先としては、継続で毎月お仕事をいただけるクライアント様と、決まった月にお仕事をいただけるクライアント様が4社ほど。他にも、忘れた頃にお仕事をいただけるクライアント様が3社ほどあります。あとは、ブログやクラウドソーシングなどから新規にお問合せをいただくこともありますね。「条件が合えば大丈夫ですよ」とお答えして、単発の取材案件としてお受けしています。

ーー非常にたくさんのお仕事をなさっているんですね。でも、それだけたくさんの案件を受けて、納期が重なってしまうことはないのでしょうか?

そうですね。ただ、自分の限界もあるので、ガツガツ詰め込んでいるわけではありません。毎日毎日、キリキリ働きたくないので(笑)。目安として、取材案件であれば、なるべく上限は月20本までにしていますね。

ーー月に20本も取材をこなされているんですか!?

私、「記事は他のライターさんで、私はインタビューと文字起こしだけ」という案件も請け負っているんです。それも合わせると、多い月で40人くらい取材することもあります。1件の場所で、「2時間以内に3~4人」のような形で取材をする場合も多いので。ただ、毎月このくらい忙しいわけではなくて、内容やボリュームによって、ペースはまちまちです。少ない時期だと、月に1本っていうときもありますね。

ーーなるほど、比較的ゆるやかな月もあるんですね。その「月に1本」のときには、自分から新しいクライアントさんへ連絡することもあるのですか?

いえ、あまりしないですね。というのも、私にとっての閑散期は、8月とか9月と決まっていることが多くて。「10月、11月になればまた仕事が来るだろう」と思って、どっしりと構えています(笑)。とはいえ、あまりにもお仕事がないときには、クラウドソーシングサイトで文字起こしを受注することもあります。

ーークラウドソーシングサイトというと、クラウドワークスなどでしょうか?

利用するサービスは案件によって分けています。具体的には、文字起こし案件はクラウドワークスで、取材案件はランサーズで、というふうに。利用スタイルも変えていて、ランサーズでは顔出しをしているのですが、クラウドワークスでは顔も名前も出さず文字起こしだけやっています。私はどちらかというと、クラウドソーシングサイトが向いていなかったタイプなので、業務委託や直接契約の実績を載せるようになってからのほうがお仕事が来るようになりましたね。

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ーークラウドソーシングサイトでは、プロフィールに実績を載せていると、やはり反応も違ってくるのでしょうか。

そうですね。たとえば、ランサーズのアウトソーシング事業部から「こんな案件ありますけど、どうですか?」とご依頼を受けて、取材案件をいただけることもありますね。こうした仕事をアクティブに請けていると、また違う事業者の方から問い合わせがあったので、実績は載せておいたほうが良いと思います。
ーーそうなんですね。私はプロフィール文をあまり手入れできていなかったので、実績をしっかり載せていこうと思います!

ええ、良いと思いますよ。あとは、単価にも気を配るとよさそうです。というのも、ランサーズは顔と名前を出しているので「この人は低価格で請けてくれるんだな」って思われたくなくって、取材案件でも2万円以上しか請けていないんです。実績評価で金額も表示されているので、そこは気にしていますね。

ーー私はライターとして実名・顔出しを公開しようか迷っているんですが、小澤さんは実名・顔出しを公開に踏み切ったきっかけって何かありましたか?

私の場合は、以前は、Twitterを匿名・顔出しで利用していたんですね。ところが、それからお堅いビジネス系のインタビューをする機会が増え、「そろそろちゃんと名前出しをしないといけないな」って思いました。ペンネームでも全然良かったんですけど、使い勝手が良いから、この際実名にしようかなと。人によっては、メディアで使い分けていると思いますよ。あとは、私が独身だからというところもありますね。結婚してからも、本名・顔出しでいこうと考えていますが。自分なりの考えがあれば、顔出しでも匿名でも、どちらでも問題ないと思いますよ。

ーーちなみに、小澤さんは週にどれくらいお休みをとっているんでしょうか?

どうだろう、あまり定まっていないですね。私、自分が気が向いたときしか仕事ができなくて。集中すると寝るのもご飯を食べるのも忘れて執筆できるんですけど、集中できないとゴロゴロしちゃって何もしない時もあるんで(笑)。

ーー私も一緒です(笑)。

なので、確実に「この日は休み」というのは決めていないですね。毎日やっているときもあれば、週休4日くらいのときもあります。

私は旅行が趣味なので、1週間単位で長野に行ったりとか。旅行中も仕事の連絡をとることはあるので、完全に休みではないんですけど。今は、コロナで旅行できないのが残念ですね。

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ーー上手にリフレッシュされているんですね。ちなみに、旅好きな小澤さんが観光されて「良かったな」って思った場所はどこですか?

私、メジャーな観光スポットよりも、どちらかというと静かな山の方に惹かれるタイプなんです。その中でも最近のお気に入りは、長野の志賀高原でしょうか。国立公園なので、自然そのものの景色で「すごく良かったなあ」って思いました。

観光名所は人がたくさんいて、物価も高いですよね。若い頃はお金もなかったので、なるべく観光地化していないところに行っていました。最近はお金は気にしなくなったんですけど、志賀高原は初めて行ったときに「有名な高原だけど混んでなくて最高!」って思いましたね。

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(小澤さんが志賀高原で滞在されたホテル。薔薇の季節には、温泉に浮かべることもできるんだそう)

ライターを目指したきっかけは、趣味のお出かけブログが始まり

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(小澤さんが運営されているガサゴソ旅女会:http://okumikawalove.blog.jp/

ーーそんな小澤さんがライターになったきっかけって、何だったんでしょう?

私がライターになったのは2017年の4月で、それまでは病院で言語聴覚士として働いていました。その頃から旅行が趣味で、毎月行っていたんですけど、そうすると出費がすごくて。「これをなんとか黒字にできないかな?」と思って、ブログを始めたのがきっかけです。ブログで旅行先を紹介していたら、なんだか褒められて調子に乗ったんです(笑)。それから、簡単な初心者ライター講座を受けたり、カメラマンの知り合いに写真の撮り方を教えてもらったりとかして、ライターの道を歩み始めました。

ーーブログがスタート地点、私もおんなじです。

そうなんですね!私の場合は、お出かけブログを1年くらい続けていたら、テレビ局からもお問合せをいただいて。「これ、仕事にできるかも」と思ったんです。仕事を辞めて、フリーランスになってみてもいいかも、と。

というのも、仮にお出かけライターを目指すとしても、多くの企業は「平日に出勤してね」というスタイルじゃないですか。フルタイムで働いている限り、お出かけライターの仕事はできないなと思って、思い切って退職しました。

といっても当時はお試し感覚で、3ヵ月くらい頑張ってみて、仕事が1本でも得られたら続けてみようかなというスタンスでした。もし仕事が得られなくても医療系の国家資格があるから、最悪は戻れば良いかなという計算もありましたね。

ところが、ライターとなった初月に、書きたかったお出かけメディアさんからスカウトが来たんですよ。

ーーおおお!!おめでとうございます。

問い合わせが来るように意識して作っていたので「ラッキー!」って思いましたね。初月に1本お仕事をもらえたので、もうちょっと頑張ってみるかって。そこから今に至ります。

ーーその後は、お出かけ系の記事をコンスタントに執筆されていたんでしょうか?

いえ、そちらはコンスタントにとはいかなくて、多くて月に1本だったので「これでは食べていけないな」と。それから、SEO記事を書き出したり、インタビュー取材が受注できるようにメディアに応募したりしていました。ライターデビューしてからは実践!実践!の心構えで、初心者でも雇ってくれるところを探していましたね。ときにはメディアの人からマンツーマンで教えてもらうこともありました。

ーー駆け出しライターの時期に困ったことはありましたか?

書き方をわかっていなかったので、企画が全然通らなかったりもしましたし、「記事が面白くない」って赤を入れられることも多かったです。インタビューが上手くいかなくて、へこむこともありましたね。そういうことが続くと心が折れてしまうので、クラウドソーシングサイトのなかでも、レギュレーションや要求が多いところはなるべく避けていましたね。

小澤さんの現在の仕事と得意ジャンル

ーー小澤さんにとって、得意ジャンルはどのような記事ですか?

今やっているのは、基本的に取材案件です。インタビューをして記事を書くというのが多いですね。人物や事業者のインタビューもあれば、商品のインタビューもあります。私はJTBが運営するふるさと納税サイト「ふるぽ」で地域ナビゲーターとして取材をしているので、よく、ふるさと納税の返礼品の取材に行きます。

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(画像引用URL:https://furu-po.com/goods_detail.php?id=739230

ーーふるさと納税の返礼品!楽しそうな取材ですね。取材をされて、今までに面白かった・おすすめだなと思った返礼品はありましたか?

それぞれに面白いんですけれども、ひつまぶしの会社のセントラルキッチンを取材したときは面白かったですね。生きたウナギをさばいて、焼いてパック詰めするっていう工程を見せていただいたんですけど、「普段食べているものは、こうやって作られているんだな」って。細かなこだわりも見られたので、感動しました。

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(画像引用URL:https://furu-po.com/goods_detail.php?id=739230

ーーそんな小澤さんがライターをしていて、やりがいを感じるのはどのようなときでしょうか?

ズバリ、私の記事で、取材対象の方が利益を得たときですね。「記事を見たお客様から引き合いが出たよ」とか、メディアから「お客様から喜ばれたよ」って言ってもらえたとき。そういうときに、ライターとしてやりがいを感じますね。

ーーちなみに、小澤さんは「カメライター」さんですが、カメラに関しては、どのように勉強されたのでしょうか。

カメラマンの知り合いに「ランチをおごるからカメラを教えてほしい」と頼んで、一緒にお出かけして写真の撮り方を教えてもらったこともありました。所属しているメディアさんが勉強会を開いてくれたことも。あとはもちろん、独学もしています。最近、入会したWebデザインのスクールにはカメラのコースもあるので、そこでも動画学習をしていますね。

ーーなるほど。参考までに、メディアさんから「NG」と判断されるのは、どのような写真なんでしょうか?

代表的なのは、ピントが合っていない・構図が下手・同じパターンばかり・動きがない写真ですね。あと、インタビューでは喋っている風景の写真を撮ることが多いと思うんですけど、明らかに記事の雰囲気と違う写真を撮ってしまったりすると、当然ながらNGになります。

ーー実は、動いているものを撮影したときに、写真が全てブレていたことがあったんですが、そのような場合はどのように対処したらいいのでしょう……?

うーん、ブレている写真は載せられないので、どうしても写真がほしいときには提供してもらうこともありますね。取材って、文章の完成度はもちろんだと思うんですけど、写真の満足度がとても重要だと思います。写真が良い感じに撮れていると、満足してもらえることが多いですね。だから、写真提供をしてもらう場合は「こういう写真はありませんか?」と先に聞くようにしていますね。

カメライター愛用のバッグと在宅ワークが心地よくなるデスク環境

小澤さんのバッグ


ーーそれでは、小澤さんのこだわりの仕事道具をご紹介いただけますか?

実は、あまりこだわりがないので(笑)、カメラもパソコンも一般的なものを使っています。バッグに関しては、私はカメライターなのでカメラを持ち歩くんですけど、プロのフォトグラファーさんほどは多くの機材を持ち運ばないので、こちらのカメラバッグを使っています。下が開いて、カメラを収納できるようになっているんです。前まではパソコンもカメラも一緒にバッグに入れていたんですけど、こうして分かれていることで、カメラも汚れないのですごくおすすめだなって思います。

――使いやすそうなカメラバッグですね!

私は下に本体も入れているので、普通のレンズを付けた本体と広角レンズを入れています。取材先によっては望遠レンズを入れたりもします。

ーー望遠レンズを使うときに、ポジション取りなどは工夫されていますか?

場所によりますね。前に出られるところなら前に寄りますし、後ろからの撮影ならズームで狙いますし。どちらでも行けるところなら、欲しいカットによって会場内を走り回っています(笑)。

ーー今はコロナ禍で在宅ワークのライターも多く、思うようにストレス解消ができない!と聞きます。小澤さんの場合は、筆が乗らないときには、どう対処していますか?

気持ちが乗らないときでも、不思議なことに、書き始めると書けるんですよ。なので、とりあえず椅子に座って、パソコンを開きますね。文章が書けないなら写真だけ入れておこうとか、構成だけ箇条書きにしておこうとか……。とにかく、手を動かすしかないです。気持ちが乗ってくるまでが長いですが(笑)。

ーー私も気持ちが乗るまでが苦労しています(笑)。ノマドをするライターさんも多いかと思いますが、小澤さんは気分転換に場所を変えて仕事をされることもあるんですか?

いえ、家を完璧に仕事しやすい状態にして、基本は家で作業しています。移動時間がもったいないし、どうせ移動するなら仕事せずに、その場所を楽しみたいなと。昔は「旅行先にパソコンを持っていって仕事ができれば、黒字になるじゃん!」と思っていたんですけど、あとから「いや、しんどいな」って気付いたというか。

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ーー写真を拝見すると、小澤さんの仕事現場はとてもスッキリされているんですね。恥ずかしながら私は整理整頓が下手なんですが、家を気持ち良い仕事場にするために工夫されていることってありますか?

物を出さない。クローゼットから出てしまうものは捨てる、ですかね。デスクに出ているのは、パソコンとペン1本とメモくらいです。あとは最近、フォトショップを使うときに、本を置く台が増えたかな。

ただ、大学の教授や出版社さんを見てみると、足元や机の上が物に溢れている人もいますから、「整頓が得意な人は仕事ができる」わけでもないんだなって思いますよ。本人にとって心地よい空間なら、それで良いんじゃないでしょうか。

これからのライターとしての展望

ーー小澤さんは地方で活躍中とのことですが、東京在住でなくても、いま住んでいる地域から活動を広げていくためのポイントはありますか?

それぞれの方のご事情によって、一概には言えないですね。私の場合、独身で子どもがいないので、時間が拘束されないことが大きいです。その強みを最大に活かすため、先方には「交通費をもらえればどこへでも行きますよ」と伝えています。実際にとある東京のメディアさんからは、山梨の取材をもらったこともありますね。

私の最寄り駅は新幹線が止まるので、速く移動できる環境ではあります。大阪や東京なら日帰りでも行けますし、車も持っているので「山奥も行けますよ」と伝えています。どこまでなら行けるという条件はあらかじめ先方に伝えているので、仕事がだんだんと広がっていった感じですかね。「行けますか?」と聞かれて「行けますよ」と割とすぐに答えていると、「この人使い勝手良いな」と思っていただけたのか、どんどん遠方の取材が増えていきましたね。

愛知県はちょうど中間なので、東京本社からも関西本社からも仕事を得やすい位置なのが嬉しいポイントです。

ーーちなみに、あえて聞きますと、小澤さんの弱点やライターとしての弱みなどはありますか?

うーん、弱点は、専門的な取材や記事執筆はできないのと、早く納品できないことですかね。未だに文法を直されたりとか、構成を直してくださいと言われることもあり、なかなか「一発OK」の記事を納品できない悩みはあります。

あとは、いち事業者として地方でライターをやっていると「ホームページ作れない?」とか「チラシ作れない?」と声をかけていただけることがあり……。今でも出来なくはないけれど、自信を持って「出来る」って言い切れるほどでもないという、中途半端なレベル感がストレスですね。

今は、そうした悩みも仕事にできたら良いのかなと思って、Webデザインやマーケティングを勉強しているところです。もともと、社内報の仕事をデザイン段階から請け負っていたこともあり、コーディングやPhotoshopをもっと自由に使えたら良いのかなと、HTMLやCSS、JavaScriptなどなどを勉強中です。

ーー今は「できます!」と言い切れない……とおっしゃっていましたが、たとえば他のフリーランスに仕事を依頼する(再委託する)ケースもあるのでしょうか?

ありますね。カメラマンさんやデザイナーさんと一緒に仕事をすることもありますし。ただ、私に依頼をする人に共通しているのが、予算がそもそも少ないのと、発注慣れしていないんです。限られた予算からさらに人を雇うと、私が赤字になってしまうので、「私ひとりで請け負えたら効率が良いじゃん!」と思って勉強を始めています。

私と同じく、地方のライター達は「Webなんでも屋さん」みたいになっているケースが多いですね。ご要望に答えていると、自然とそうなっていくんでしょうね。ライター1本でやっている人はすごいと思いますが、私はそういうタイプではないなと思ったので、柔軟に対応できるよう、成長していかなきゃなと思っています。

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ーー最後の質問になりますが、今後はどのようなライター活動をしていきたいですか?

ライターとしてやっているものの、相談されたことに対して「できない」というのがストレスなので、「できますよ。こういう風にやりましょうか」って言えるようになりたいです。お店や企業のホームページを作るなら、JavaScriptを使って動きのあるホームページが作れるようになりたいですね。スキルアップできるように、Webデザインとマーケティングを身に付けていきたいです。

ーー本日は、ありがとうございました!これからのご活躍を楽しみにしています!

自分の「好き」や「求められること」を仕事につなげるための工夫

今回、お話をお伺いした小澤さんからは、自分の「好き」や先方から「求められること」を仕事につなげるためにどのような工夫をすれば良いのか、たくさんのヒントをいただきました。今、自分ができることや求められていることを見つめ直し、私もたゆまず勉強していきたいと思います。

次回は、紙媒体で活躍されているベテランライターの大橋礼さんに取材させていただきます。
お楽しみに!



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