受動態に乗っ取られる人

その知らせに私は驚かされた。

思えば弟には幼い頃から何度も振り回されてきたが、これほど急に大事な報告をされるのも久しぶりである。

私は電車に揺られながら、そんなことを考えさせられていた。

チャージされたSuicaが私によって改札を通され、私は駅の外に出された。生まれ育てられたこの町に来るのも高校が私に卒業されて以来だから、10年ぶりとかになるだろうか。実家が私に向かわれる途中、私はにわか雨に降られた。

弟の彼女がプロポーズされ、婚姻届が出されて結婚式が行われることが決定された、という知らせを聞かされたのがつい二日前。兄としてはもっと早く報告されたかったものである。

にわか雨に止まれたので実家への道が私によって歩かれていると、私に通われていた高校が私に通り過ぎられ、ついに昔私に住まれていた実家が私によって到着された。ドアが私によって開かれ、玄関が私に入られると私は親戚に出迎えられた。親戚から放たれた言葉によって挨拶が表され、親戚に出迎えさせられるという行為をされた私によって挨拶が返された。

弟に申し訳なさそうな顔をさせられることをされ、心に驚きが生み出される瞬間を見られた。こんな言葉が弟によって言われたのだ。

「結婚、取り消しになったわ」

弟の口から放たれた言葉に驚かされさせられ、困らせられさせられた私の膝が私によって地面につかされさせられこすらされさせられた。摩擦が生み出されさせられた所を見せさせられさせられた弟の目によって涙がこぼされさせられながされさせられたことを私は忘れさせられさせられはしないだろう。

おわらせられり